吹雪兄弟別個体
「お前ってさ」
アツヤがいきなり喋りかけてきた。
「何?」
「絶対恋愛ニブい方だよな」
はあ、意味わかんない。そんなの自分でわかんないよ。「そうだ」とも言える訳じゃないし。
「さーねー。よくわかんない」
「ふーん」
つまらなそうな一言。私はこれで会話を終わらせたつもりだった。
「いーや!!お前はニブい!本っっ当ニブい!!」
「えぇっまだ続いてたの!?ていうかさっきから何なの?」
一瞬、アツヤが硬直した。
「あー…いやー…別に、何でもねぇよ」
「えー?もぉ…」
「牛かお前は」
「ちょっ失礼なこと言うな!」
ガタッと立ち上がった瞬間、何もないところでコケて前のめりに倒れた。
――所を、アツヤに助けられた。
「だ、大丈夫かよっ!」
「へ、平気だからっ、離し…んぅっ!?」
喋ろうと顔を上げたら、
キスを、された。
「〜〜っ俺がお前を好きだって事、早く気づけよっ!!」
そういってアツヤは教室から出ていってしまった。耳まで真っ赤にしながら。
…おいてけぼりにしないでよ。
「…私だって、アツヤが好きだよ」
教室が一段とうるさくなった。