酔いのさめるころには
今日は新しいエクソシストの歓迎会だった。
新しいエクソシスト、といっても私はすでに彼と任務をこなしていた。
額に水晶が出ていて、笑顔もかわいいけど怒ってむすっとしている顔もかわいいし泣いているこえも顔もかわいいしとにかくかわいいかわいい子供なエクソシストだった。
そう、ティモシーだ。
エロ餓鬼でいたずらっ子だがそこが魅力だ。
「ティモシぃ〜、たのしんでる〜?」
楽しそうに少し照れくさそうにまわりとしゃべっているティモシーの肩を私は引き寄せ抱きしめた。
「うえ!酒臭い!」
ティモシーは顔をしかめて離れようと私の肩を押す。
しかし男といえどまだまだ子供。
私はよりいっそう腕に力をこめてティモシーを抱きしめた。
「もう、なまえったら。ティモシーがお酒の匂いにあてられちゃうでしょ。」
と、リナリーがそこへやってきて、私とティモシーを引き剥がす。
ティモシーが逃げていってしまったので私はぶぅ、と顔を膨らませた。
「リナリー、せっかくティモシーで遊んでたのにぃ。」
「もう酔っちゃったの?相当お酒臭いわよ?」
「酔ってなぁ〜い!!」
「完全に酔ってるわね・・・・」
私はティモシーが逃げたので今度はリナリーに絡んだ。
「リナリーも一杯、どお?おいし〜よ?」
「ちょっと、未成年にお酒なんか飲ませないでよ!」
「なぁにいってんの!あのぱっつんなんか18で酒飲んでるっつの!」
ほらほら、飲め飲めと手に持つグラスをリナリーの口に近づけていると。
リナリーが目で助けを呼んだ様だ。
ひょい、っと首根っこをつかまれたと思ったら私は宙に軽く浮いていた。
神田だ。
「あらら〜ぱっつんじゃあないの。」
「・・・・てめぇどんだけ酒飲んだんだ。」
「いつものことよ、ほんのワイン2、3本。
クロスのよりかは安モンだけど、ね〜!!!」
クロス、という言葉を強調すれば、どこかで誰かが背筋をぞっとさせているに違いない。
にやにやといやらしい笑みを浮かべていた私は神田におろされた。
「ちょっと、なまえを部屋まで送ってくれる?神田、早く抜け出したいっていってたでしょ。」
「・・・・ああ。分かった。」
「えぇ、帰らないとだめ?もう少しお酒のみた〜い。」
「これだけ酔ってるんだからだめよ、早く神田に送られちゃいなさい。」
「帰りたくないけど、リナリーの可愛さに免じて帰っちゃう!!」
ばいばーい、とすでに神田に首根っこを引きずられながら私はそうリナリーに叫んだ。
「・・・・いつまで引っ張ってくつもりよぉ。」
会場となっていた食堂から連れ出され今は廊下をずるずると私は引かれている。
そろそろ苦しくなってきたので神田の首根っこをつかむ腕をぽかぽかと殴りながらいえば、
「あでっ、」
ぱっと手を離され床に落ちた。
「乱暴だなぁ・・・・・」
よろよろとふらつく足で立ち上がれば、今度は優しく支えられた。
神田は意外と優しい。私は彼の優しさに甘えてしまう。
「ツンデレめ!」
優しくされた照れ隠しのようにそういえばでこピンされた。
「う〜。神田って本当に意地悪だ!!」
・・・・・・・・うそ、意地悪じゃない、優しい。
「悪かったな。」
額をさすっていると少しふらっとしてよろけた。
神田がすかさず手を引いて私は神田の胸に額をつける。
私はその状態から、あははと笑うと神田を見上げた。
「やっさし〜、神田ぁ。わたしそんなかんだもきらいじゃないかも・・・・」
自分でも何言ったのか分からなかった。
「・・・・は?」
と目を見開く神田になんだか無性にキスしてやりたくて。
私は、んふふ〜と笑いながら、ちゅ、と神田に口付けた。
それから私は夢の世界へころりと落ちた。
酔いのさめるころには
私はすっかり歓迎会での出来事を忘れていた。
(・・・・Zzzzz)
(どうすりゃいいんだ、これ・・・・)
キスされた神田は、赤い顔で戸惑っていたとか。
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