Short | ナノ


はじめての恋




「・・・・はぁ・・・」


「え、まさかリナリーにも恋到来?」


食堂で不意にリナリーがため息をついているのを見て私は面白半分にリナリーに近づいた。


「・・・・どうなんだろ。」


リナリーは虚空を見つめてまたため息をつく。

そりゃあそうだ。

リナリーはずっとシスコンなあの兄貴に守られて育ってきたのだから彼女も当然兄を一番に考えてきたはず。

ほかの男など眼中に無かったはずだ。

だが。

今リナリーは"兄離れ"なるものを果たそうとしている。

こういういい方したら、リナリーもブラコンになるだろうか。


「リナリー、ブラコンだもんね。」


ためしにそういってみれば。


「・・・・そうかもしれない。」


いつもは違う反応を示しただろう。

しかし恋の悩みに比べたらこれくらいどうってことないらしい。


「相手は?どんな人?」


「すごくね、優しくて・・・見た瞬間すごくドキってしたの。」


「一目惚れ?」


「ううん、ただ最近になって意識し始めたっていうか・・・・」


「え、じゃあ教団内の人?ねね、そうなんでしょ!!」


「な、そ、そこまではいえないわよ!!」


急に赤くなった顔。

おやおや・・・?と思い顔を覗き込みながら私はにやりと意地悪く笑った。


「今、顔思い出した?」


「っ・・・!!」


「図星、だね。かわいいリナリー。」


ぷにぷにとほっぺをつつく。

リナリーはみるみる内に真っ赤になって、お風呂上りの体温が上がった状態みたいな体になった。


「か、からかわないでよ!」


「あ、それ傷ついた。私の性格知ってるくせに。」


傷ついた顔をして見せればリナリーは素直に謝った。

そこがリナリーのいいところだ。いい子いい子。


「でもリナリーがねぇ、恋って、初めてだよね?」


「え、えぇ。だってずっと兄さんのことしか考えられなかったもの。」


「プラスすると、『兄さんがいつも邪魔してたもの、』でしょ。」


「ちょ、ちょっと!!」


「まぁまぁ、リナリーは思って無くても私がリナリーの立場だったら思っちゃうって話。」


私もちょっとは思っちゃうけど・・・と申し訳なさそうにうつむくリナリーに私はいいのいいのと肩を優しく叩く。


「あんね、世の中には完璧な人間なんているわきゃないんだから。
少しくらい思ったっていいの。そんな罪悪感感じること無いって、誰だって思うときあるんだから。むしろ思わない人がいたらそれは決して人間じゃない。アンドロイドだ、ヒューマノイドだ。」


「あ、ありがとう・・・・・」


「私、リナリーの恋応援するよ!
だからリナリーもさ積極的にアピールしてっちゃえ!」


顔を赤らめてうなずくリナリー。

くっそう、私が男だったら絶対あの兄貴の猛攻撃にあったとしてもリナリーをものにするのに。


私はリナリーがやっと恋を始めたことに安堵すると同時にあのシスコン兄貴をどう"妹離れ"させようかと計画を練るのだった。








がんばれ、リナリー


(・・・ところでさぁ。)


(肝心の好きな人って、誰よ?)


(そ、それは教えない!!)


(アレン?ラビ?神田?・・・・まさかのリーバー班長?それともマリ?あ、デイシャだったり。)


(どの人も違うから!)


(あ、こん中にいるな?)


(っ・・・・)


(リナリー、恋に関しては分かりやすい。)




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