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「犠牲があるから救いがあるんだよ、」by神田




「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


教団の修練場。

そこには竹刀を持ち合った私と、神田。


無言で、両者ともに地を蹴った。


竹刀が交わるごとに集中力と緊迫感と両者の殺気が上がっていく。

瞬きをするだけで隙ができやられてしまいそうだ。


「・・・・・・やるね。」


「はっ、当然だ。」


短く鋭く響き渡る竹刀の音は私にとって心地よかった。

もともと私は戦闘種族のようなソカロ元帥の弟子だ。

それが私にも伝染したらしい。

戦うことが何より大好きになってしまい、戦いたくてうずうずするのだ。


「よくやりますねぇ・・・・」


「あやつらは戦闘種族だからのう。」


「や、あやつらじゃなくて、なまえだけさ。」


「なまえはソカロ元帥に似ちゃったからね。」



周りでお茶や紅茶、お菓子を食べながら私と神田の一線交えている様子をのんびりと眺めているのはアレン、ブックマン、Jr.、リナリーだ。

暇つぶしに来たらしい。

暇なら任務にいけよと思ったがそれは今は口に出したら油断しそうなので今は神田のほうに集中することとする。


「この勝負っ、私が、勝つよっ!」


「はっ、無理だ。俺が勝つ!」


余裕な表情の神田にムカッと来る。

その余裕の表情を崩してやろうと私は隙を作らぬように防御しながら攻撃を繰り出していった。

こちとら戦闘種族の師匠がいるもんだからすっかり死ぬことへの恐怖は忘れてしまった。

傷ついても、痛みは感じるがその傷と痛みすらも戦った証として私をよりいっそう戦う喜びへといざなう。

思わず笑みをこぼせば。


「なに、笑ってやがるっ。」


「べつにっ!!やっぱ楽しいねぇっ、こうやって、戦う、って!!」


実は私は一ヶ月前大きな怪我を任務で負った。

それがあまりにもひどかったので二ヶ月ほど任務にいけないのだ。

しかし一ヶ月たった今。

私はこれほど動ける。

神田と対戦できるほどに、だ。

なのにまだ任務につかせてもらえないというのは私にとって苦しいことこの上ない。

AKUMAを早く真っ二つに切り裂いてやりたくてうずうずしている。

そんな憂さ晴らしにと今、私は神田と対戦していた。


「もう少し、体、大切に扱え、よっ!!」


「あんたに言われたか、ないなっ!!」


永遠に続いていくかと思われるほど長く攻防を繰り広げること一時間。

周りにいた四人のギャラリーは談笑を始めていた。


そんなとき。


「そこにいるけが人エクソシストは、だぁ〜れが病室でていいって言ったのかしら?」


修練場に突然地を這うように響いた私を呼ぶ声。

神田と私はいったん、竹刀をふる手を止め、その声の方向を見た。

それはリナリーでも、アレンでもブックマンでもラビでもない。




・・・・・・・・・・・・婦長だった。


私は逃げるようにさっと神田の背に隠れる。


「・・・まさかお前逃げてきたのか。」


「だったら、なに!?早くAKUMAと戦いたくて仕方ないのにベッドに寝てらんないよ。」


ひそひそと話す。

婦長はじわりじわりと近づいてきた。

私は冷や汗だらだらだった。


「でてきなさい、なまえ。」


怒った婦長の後ろには鬼が見える。

なおさら出て行ってやるかと思った。

が、その決意はある人物の裏切りで崩れ去る。


「神田、なまえをださないとあなたも同罪よ。」


婦長のその一言で。






「いぃっだだだだだだ!!裏切り者!!神田!!あとで、覚悟しとけ!」


「はやく行くわよ!!」


「い゛ったい!!耳、痛い婦長!!」



私は、連れて行かれながら神田をにらんだ。

はっと、鼻で笑った神田が前に言っていた言葉が思い浮かぶ。





by神田


いつか私から言ってやると誓った。


(神田!また一戦、どう?)


(懲りない奴だな、お前・・・・)







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