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誰にでもスキだらけ




「おーい、なまえ!!」


「わっ。、燐!!びっくりしたじゃん!」


「わりぃわりぃ、なぁさっきの授業のノートみしてくれ!」


「もー、また?別にいいけど、き れ い に! 返してよね!
こないだ貸したとき、へんな風に曲がって帰ってきたんだから!」


「あ、いやあの時は・・・・・」


「いいわけ無用!とにかく、綺麗に返してよ?」


「お、おう・・・・」


「自信もって言ってよ。・・・・これじゃ先が思いやられる。」


・・・・・・・・気に食わない。

なまえと奥村のやり取り。

会話だけを聞いていれば別にたいしたこと無い。

しかし、会話以外を見れば問題が大有りだ。

最初、奥村はなまえと肩を組んだ。

それからそのままなまえと話をして・・・・

決して俺はなまえと付き合うてるわけやない。

が、なまえのことは好きやった。だから俺は奥村がなまえに触れるのが嫌いだった。



なまえは鈍感でしかも無防備だ。


「・・・・坊。」


「・・・・・・」


誰にでも触れさせて明るく振りまいて・・・


「坊?」


「・・・・・・」


なまえに少し苛っとくるがそれよりもなまえに触れてくる男どもにもっといらつく。


「坊!!」


少し語気を強めに自分の名を呼ばれたと思ったら、子猫丸が隣にいた。


「へっ・・・あ、なんや、子猫丸。」


待ったく気づかず、変な声を出して子猫丸のほうを向く。


「坊、どうしたんです?手に持ってはるプリント、ぐしゃぐしゃですよ。」


「・・・・あ。」


そういえばと思い出し右手を上げ開く。

右手を見てみれば見事にぐしゃぐしゃになったプリントがあった。

が、宿題では無かったので安心する。



・・・・・ただ安心できないのはあの奥村となまえのほうだった。

俺と子猫丸が話している間にあっちはなにやら和やかに話していた。

なまえは奥村に時折なでられたり肩に手を置かれたりしていた。


スキンシップが多すぎやないかと思う。

つーかなんで奥村となまえはあんなに親しそうにしとるんや、もしやあの二人は付き合うて・・・・!?


「坊、またプリント・・・」


「はぁ・・・・・またやってしもた。」


「いったいどないしたんです?さっきから様子が変ですよ。」


俺は心配そうに顔を覗き込む子猫丸に俺は「いや・・・・」と曖昧に答えた。

ずっと見つめ続ける視線の先。

なまえと奥村はまだしゃべってるしスキンシップが多い。

またプリントを握り締めそうになるのをこらえ、俺は唇を引き結んだ。

子猫丸が俺の視線をたどり、おずおずと聞いてくる。


「・・・・まさか坊、ナマエさん見てはるんですか?」


俺は一つため息を吐いてから答えた。


「・・・・俺もあんなふうに気軽に接することができたらええんやけどな。」







いつか、思いを伝えたい


(坊もナマエさんに話しかけてみたらええやないですか。)


(あ、阿呆!!んなことできるわけないやろが!)







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