泣くなよ
「す、勝呂君・・・!!」
体育館の裏。
彼女は顔をほんのり染めながら彼に言った。
「付き合って、ください・・・!!」
竜士も満更でもなさそうに戸惑って、頬を染めていた。
なにあれ。
なんで竜士が顔赤くなってるの。
竜士は、私と付き合ってるんでしょ。
やめてよ、私以外に顔赤くしないで。
やめてよ、私以外の女の子と仲良くしないで。
竜士が女の子に返事をしようと口を開いたのをみて私は駆け出した。
「・・・・?」
今、かすかになまえの気配がしたのは気のせいだったか。
返事を一瞬止めて俺は斜め左後ろを振り返る。
なんでもなかったかと思いながらももしかしたらという思いから俺ははやくなまえのところへ帰ろうと思い丁寧に「ごめんな。」と告白をしてきた女子に返事をしてなまえがいそうな場所へと歩を進めた。
「っく・・・ひっく・・・」
案の定、なまえは泣いていた。
「なまえ・・・・」
そう名前を呼べばびくりと体を震わして後ろを振り向く。
「りゅ、じ・・・・」
ぐすりと鼻をすするなまえの隣に座った。
「ね、今から別れ話なの・・・?あのこと付き合うの・・・?」
あの時気配がしたのは気のせいや無かったかと思いながら俺は答える。
「あほか!付き合うわけないやろ。」
すぐに答えてやればなまえはさらに大粒の涙をぼろぼろとこぼす。
「な、なんで泣く!?」
「だってほっとしたら出てきたんだもん。」
ふぇ、なんてかいらしい声を出すのは反則や。
俺は名前をこっちのほうへ向かせて、
「泣くんやない。」
そういって涙をぬぐってキスをした。
ぴたっと泣き止んだかわりになまえは顔をタコみたいに赤くした。
(・・・再確認やけど、好きや、なまえ。)
(私も、好き。)
ちゅ
(な、それ反則やろ・・・!!)
(竜士も、さっき反則したからそのお返し。)