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好きだ




「好きな子のタイプ?」


「なまえはもてるんだから、男子は知りたいんじゃないかな!?
ね、どう?答えてくれない?新聞部部員として私からの一生のお願い!」


友人の頼みに私は少しうーんとうなった。

別に彼女の頼みにうなったわけじゃあない。

ただ好きな人のタイプといわれてもそんなのは元からあったわけではないので悩む。

好きな、人でいいかな、なんて考えていると。


「なまえの好きな人のタイプってどんな奴なんだ!?なぁ教えてくれ!」


と今まさに思い描いていた(かなり美化しまくった)張本人が現れた。

少年のようにきらきらと目を輝かせる彼に私は少し苦笑した。

鈍感そうだからアピールするためにもいいかなとか考えながら私は答えることにした。


「私の好きなタイプはね、料理上手で、勘違いされやすい人だけどまっすぐな優しいひとで、けっこう尖った八重歯とかだしてきらきら輝くみたいに笑ってかわいい人。」


ふふふ、とにやけながら言えば「ほうほう」と友人はメモを取りながらだんだんとにやけてきた。


「まさに、恋してるね!」


「え、好きな奴いるのか!?」


「さあね。」


そうやってはぐらかすように言えば奥村君は私の先ほど答えたタイプの人と自分を重ねているようだった。


「え、俺料理できるし勘違いされやすいけど・・・だめだ、ぜんぜんほかはあてはまらねぇ。」


やっぱり本人には他人の評価なんてわかりっこないだろう。

自分のいいところは少し否定したくなるものだ。

そこへ友人が助け舟をだそうとしていた。


「ちょっと私トイレ。」


目の前で言われるのは恥ずかしいから、逃げるようにそそくさと教室外へと行く。

廊下を歩いて少ししてから突如後ろからダダダダダ・・・なんて音が聞こえてきたものだから私はびっくりして後ろを振り返った。


「なまえ!!」


後ろからダダダダ・・・なんて音をだしながら走ってきたのは奥村君。

彼は満面の笑みで、廊下にいる人にもかまわずこういった。


「好きだ!!」



キラキラの笑顔に、見える八重歯。

その私の大好きな表情で言われたものだから私は不覚にも胸をきゅんと高鳴らせた。





(私も、好きだよ。)


(うお!よっしゃ!!)


(でも奥村君、場所考えたほうがよかったね。)


(・・・あ)















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