05
「いや、違う!俺はお前のこと・・・」
「じゃあなんで避けるんです!?」
「それは・・・やから俺は、」
「もういいです!坊が、私のこと嫌いなら、私も嫌いになります!」
もう、いやだと私は逃げるように駆け出した。
「おい待て!」
坊の声が後ろから聞こえたけれど私は一生懸命走った。
一週間、ずっと避けられ続けた。
話しかけても余所余所しい態度をとられて、ずっと寂しいて思うてた。
なんでこんな風に思うんやろとかずっと悩みまくった。
それで廉造に話し聞いてもろたりして、ようやく自分の気持ちに気づいた。
私は、坊が好きやったと。
でも坊はほかの子みとるしだからせめて避けないでほしいと言って、ああなってしまった。
『嫌いになったから避けてるんとちゃいますか・・・っ。』
われながらひどいことを言うたと思った。
だってそんなはず無い。
坊はすっごく優しくてええ人なんやから。
私を恋愛対象としてみとらんでも家族みたいに思うとってくれとるはずやから。
私も坊が恋愛感情抜きにしてもそれくらい大切だから。
言ってしまった後のあの坊の悲しそうな表情。
本当はそんな風な顔してほしくなかった。
なのにそうさせてしまったのは紛れも泣く私で。
逃げ切ってついたのは体育館の裏。
私は声を押し殺して泣いた。
泣かせるつもりは無かった。
ただ距離をとっとったんが避けられてると思われてたようで。
結果、なまえを泣かせてしもた。
「おい待て!!」
そういって逃げようとする手をつかもうと手を伸ばしたけれどその手は届かなかった。
俺はもう後姿も小さくなったなまえを一生懸命追いかけた。
昔から、かくれんぼは得意だった。
いつも最後に鬼にギブアップさせてそれから「ああそんなとこおったんか!」ってみんなを驚かせて。
だけど今回のかくれんぼは坊に見つけてほしいとどこかで思ってる自分がいたから。
「なまえ・・・!!」
私は、坊に見つかってしまったのだろう。
そのときの坊はひどく安心して笑ってて。
ああその顔が見たかったと正直思った。
坊は私の腕を引っ張ってたたせるとその腕の中に私を閉じ込めて。
「悪い、俺は、お前が好きやったんや・・・!!」
そう信じがたい言葉を言い放った。
「でも、だって好きな人おるて・・・」
「誰かとは言うとらんやろ。勝手に勘違いしたんはお前や。」
「っ・・・好きなら好きってはっきり言うてくださいよ・・・!!」
私も坊が好きです・・・!!
かすれそうな声でそう伝えて。
私たちの思いは通じ合った。