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別れてもなお




私と金造が別れて四ヶ月がたった。



おととしの三月。

高校の卒業式の日に私は金造に告白した。

金造は京都に帰ってしまうそうだったから、最後にと私の気持ちを知ってほしかったのだ。

玉砕覚悟で告白したら金造も赤い顔で俺も好きだといってくれて私はその返事に涙した。

私たちは遠距離恋愛を続けた。

私は東京の短大に行くことが決まっていたから、そこを卒業したら京都に就職先を探していっぱい金造に会うと決めていた。

実際そんな話を金造とよくした。


けれど。

私たちはだめだった。

私たちに遠距離恋愛は乗り越えることができなかったようで。

私たちは四ヶ月前に別れた。


理由はわからない。



『悪い・・・別れてくれ。』


振られているはずの私よりも苦しそうな顔で、金造は言った。

私はそんな金造の顔をみて怒ることも、涙することも理由を聞くこともできなかった。

ただ、私はずっと金造を苦しめていたのだとその表情からわかった。


『・・・・私、金造をそんなに苦しめてたんだね。』


『っ・・・』


声が震えた。

泣きそうになったけれど必死に熱くなる目頭をぐっとこらえて話を続けた。


『ごめん、ね?金造。私、金造が苦しんでるのに気づけなかった。彼女の私が一番に気づくべきなのに。』


金造は、何かを言おうとしてやめるという行為を繰り返した。

伝えていいのか、迷っていた。

そんな金造を分かっていたのに、私は見てみぬ振りをして。


『あの、ね。金造。』


これ以上、金造を苦しめたくなくて。

少しでも悩みが飛ぶようにと笑顔を作って私は、


『好きだったよ。』


そういってこれで最後にするから、これで私あきらめるからといってうつむく金造を抱きしめた。

金造は、どっと泣き出して。

私は金造が泣きやむまで服がぬれるのもかまわず抱きしめて。

最後にバイバイと、彼の耳にささやいて。

お別れをした。



あれから四ヶ月。


二年間、遠距離恋愛を続けた私たちの間に愛があったのだろうかと考えるときがある。

金造がもしかしたらこの携帯に、この番号に電話をかけてくれるのではないかと思うときがある。

『好きだ』『愛してる』という声が不意に聞こえる気がする時がある。



・・・・・・・私は未だにあの金造の苦しそうな表情が忘れられない。







私は、彼を、まだ・・・・


(もしあのとき、)


(別れを拒んでいたのなら)


(未来は少し、変わっていただろうか。)







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