煌いて羽ばたいて
「金造〜。」
「おう、どないした。」
「ちゅーして。」
だるそうに、腰あたりに腕を回し俺の胸板に顔半分をつけてきたなまえ。
俺は、またなんかあったなと思いながら頭をなでてどうしたのかと聞いた。
するといきなりちゅーしてとは。
やっぱりこいつなんかあったな。
「お前、どないしたんや。」
「えーえーかーらっ、ちゅう!」
ぶう、と上目遣いにこちらを睨んできた。
そんなん睨んどるうちにはいらんてわからんのやろかこいつには。
「目ぇ瞑れ。」
「ん。」
素直に言うことを聞くなまえにああやっぱりなんかあったなと悟った。
いつもは反抗的な態度なのに今日は妙に素直だ。
何かあったときこいつはいつもと全部真逆になる。
ちゅ、と軽く触れるだけのキスをしてやれば、きゅうっと腰にまわした腕をきつめて胸板に顔をうずめてきた。
「・・・どないしたんや。」
優しく俺も背中に腕を回して片手で頭をなでてやる。
するとしばらくしてぽつりぽつりとしゃべりだした。
「・・・・お母に、祓魔師なりたい、言うたら『だめ』やて。
お母、お父が祓魔師なって死んでしもたから・・・私も二の舞いになってまうかもって。
でも、私はお父の祓魔師姿にあこがれて祓魔師なろう思たんや。
・・・・お母はお父が死んだことにとらわれすぎとる・・・もしかすると東京のほうに行けんかもしれん・・・それでどないしよ思て・・・」
「・・・そうやったんか。」
俺は頭をなでる手を止めぎゅっと抱きしめる力を強めた。
「・・・俺がお前のお母にいったる。お前は、俺が守るて。
そんなら許してくれるかもしれへんやろ。」
「いいの?」
「おん、今から結婚の約束や。」
「きんぞう、だいすき。」
「阿呆、俺はあいしとるで。」
「私かて、愛しとる!!」
顔を上げて明るい笑顔でこちらを見つめてきたなまえに俺は今度は触れるだけやなくて深いふかーいキスを送った。
煌いて羽ばたいて
夢に向かって突き進め
(ほんなら、いくか!)
(え、どこに、)
(きまっとるやろ、お前のお母のとこや。)
(い、今!?)