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いちばん近くできみの恋を見てきたんだ

「俺、蝮と結婚しよう思うてんねん。」


柔造がその報告をしたのは不浄王討伐したその翌日だった。

八百造様と蟒様に報告する前に、幼馴染である私に報告したかったのだそうだ。

なんとなく、二人がくっつくのは分かっていた。犬猿の仲に見えても私たちはずっと一緒で、お互いのことは何でも知ってたからだ。


「おめでとう。」


だから結婚すると聞いて、やっとこのときが来たのか、とそう思った。

私の初恋が終わる瞬間がとうとうやってきたのだと。


「・・・驚かへんな。」


私の反応に目を見開く柔造。彼らが結婚することを聞いて、私が驚く様子を想像していたのだろう。


「だってずっと前から、二人はくっつくだろうなって予想してたから。」


私は静かに微笑んで言った。


昔から私は、誰かと誰かの間に立って、仲を取り持つことが多かった。

それは柔造と蝮が離れ離れになってしまわないように、私が二人の手をつないでたからだ。

それが私の役目なのだと、そう思っていたからほかの人にもそうしていたんだろう。

私は誰かと誰かを結びつけるためにいるような存在なのだ。

そういう役割なのだ。私は本能でそれを感じ取っていたのだ。

だから自分の恋は決して叶うことがないことも私はなんとなく分かっていた。


結婚すると聞いたとき、それほどショックだと思っていない自分に驚いた。

ちくりと一回だけ、胸が痛んだだけで。やっぱり、と思う自分がそこにいたのだ。


ずっと、好きだった。片思いだと分かっていたし、叶わないことも分かっていた。

それでも私は柔造に片思いをし続けた。その思いが砕け散るまで。

私は自分の思いが砕け散る瞬間をこうして待っていたのだ。


「幼馴染なんだから、分かるよ。」


「やっぱなまえには適わんな。」


「おめでとう、本当に。
蝮ちゃんは素直じゃないけど、二人が思いあってるのは確かだよ。」


「ありがとおな。なまえ。」


「幸せになって。」


二人が幸せになってくれるなら、それでいい。





大好きな二人、おめでとう。




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