01
「うえぇ・・・・」
ラ「おえぇぇ・・・・」
船に乗ってからおよそ30分ほどたった。
初めて船を見たというレイラとラビはもちろん船に乗ったことはない。
ゆらゆらと不規則にゆれる船に船酔いしてしまった。
船体はぎしぎしと音を鳴らし海をかき分けて進む。
まっすぐとたち前を見据えれば潮風が体全体に当たって気持ちいが、たつこともままならない二人は船の縁から海へ顔をだし胸からこみ上げる気持ち悪さ、そして吐き気と戦っていた。
「う・・・・なんで神田は船酔いしないの・・・」
「そうさ、なんでユウだけ・・・うへぇ・・・・」
苦しそうに息をしながら、彼らは顔を海へと船の外へと出す。
神田はため息とともに、二人の隣の縁に腰掛けた。
「まっすぐ視線を固定させろ。どうせ吐き気は襲ってももうお前らの胃の中は空っぽだ。」
まったく、そのとおりである。
二人は、胃の中のものをすべて吐きつくしていた。
しかし二人はまっすぐ視線を固定できなかった。そのせいで船酔いはさらに悪化した。
神「・・・・この五日の間に、これからの旅の方針を定める。」
「あーい。」
ラ「あいあいさー・・・」
神「真面目に取り組め。」
「まじめに取り組んでるし!・・・うっ・・・」
ラ「こんなんでも真面目に取り組んでるさ・・・」
神田は二人のだめっぷりにため息をついた。最近、どうもため息の数が多いと感じてきている。もっと旅の仲間がしっかりした奴らであれば、と神田は心の中で舌打ちした。
酔い止めをもらってもまだ気分は優れないようだ。
神「・・・・今日は中止だ。もう休め。」
神田はこんな二人と話しても無駄だと判断した。蝋燭のように吹けばすぐに消えてしまう小さな炎のように、彼らはちょっと触ればばたんきゅーしそうだ。
そんな彼らと話してまともな答えはえられそうに無い。
神田は二人に休めといって、ラビとレイラをめんどくさそうに送った。