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村人A「いってしまったな・・・・」
村人B「いってしまったねぇ・・・・・」
村人C「こうやって送り出すと・・・」
村人D「レイラちゃんも・・いや、勇者様も大きくなられたんだなぁ・・・・」
村人E「寂しいな・・・・」
レイラたちが盛大に送り出された肌寒い朝。
送り出す際にあった熱気はもう冷え、ただ空しさのような寂しさが村には残った。
村人たちはもう見えなくなったレイラたちの背中を瞼の裏に思い出していた。
この村は、勇者のためだけに存在する"勇者村"。
彼らは勇者が大人になり旅立ちの時が来るまで勇者を守る役としてずっと昔から代々この村に住んでいた。
村人たちは、勇者が生まれたときから、彼女と一緒に過ごしそして見守り続けてきたのだ。
そんな彼女が旅立った姿を見れたのは嬉しくも、寂しい気持ちがいっぱいだった。
できればまだまだ旅立ってほしくなかった、というのが村人たちの本音であった。
村人C「まだまだ子供だと思ってたけど、もう大人の仲間入りだ・・・」
村人B「そうだねぇ・・・ちっちゃいころが昨日のことみたいだよ。」
しみじみと感慨深げにレイラがいなくなって寂しい、ということを村人たちが言う中。
ある一人の村人がこういった。
村人?「レイラちゃんがいなくなって寂しいけど、次に生まれる勇者が楽しみだな!!!」
その一言で村人たちのざわめきはぴたりと静まり、数秒後ざわめきは、どよめきに変わった。
村人D「そうだなぁ!!レイラちゃんはお婿さんを連れて帰ってくるはずだ!!」
村人B「ねぇねぇ!どっちかしらあの二人の!!」
村人?「あの赤髪のほうじゃない!?」
村人E「いーや、俺はあの黒髪だと思うな!!」
村人A「なんでだよ、あの黒髪のほうは無愛想だったぞ!?」
村人B「そういう人に限って、優しさがあるってものよ?」
村人C「女って、ギャップに弱ぇもんなぁ!!」
村人?「俺は赤髪のほうだな!」
村人?「私はあの美形の黒髪のほうね!!」
村人D「美形だからいいってわけじゃねぇぞ!!」
村人?「あら、でもかっこいいじゃない?」
村人E「おいおい、勘弁してくれよ。お前はかっこいい奴が好きだったのか!!?」
村人?「付き合うとしたらかっこいいほうとっちゃうじゃない!!
・・・・・でも、あなたも十分かっこいいわ。」
レイラたちが去り、寂しくなったかと思いきや、村には新しい楽しみが生まれた。