02
しばらく歩いていると洞窟の中の広い空間へと出た。
ここが、洞窟の最深部であろうかと周りを見渡す三人。
広い空間のど真ん中には少しもりあがった地面がありその上に宝箱があった。
「ん、あの宝箱って・・・もしかするとフルートじゃない?」
ラ「罠かもしれないさ。」
神「気をつけて近づくぞ。」
三人は盛り上がった地面の一番上、宝箱に慎重に近づいた。
「あ、あけるよ?」
ラ「お、おう。」
神「・・・・」
レイラが手だけを伸ばして宝箱のふたに手をかけた。
ごくり、つばを飲み込む。
緊張した面持ちで宝箱を見つめながら息をすって勢いよく、
バァンッッ!
宝箱のふたを開けた。
「っっっ、」
レイラはすかさず宝箱から離れ神田とラビのもとへと戻る。
「あ、あけたけど・・・」
きゅっと、無意識に右隣にいる神田の服の袖のすそをつかむレイラ。
神田はそれに気づきながらも知らぬふりをした。
ラ「・・・なんも、おきないさ。」
神「・・・あぁ。」
「う、ん・・・だね。」
しーん、としばらく固まる三人。
ラ「ユウ、見に行ってみろよ。」
神「・・・・・ファーストネイムで呼ぶんじゃねぇ。」
ラ「そうやってはぐらかすあたり、怖いんだろ?」
神「怖かねぇ。」
「なら、行けば?」
ラ「そうさ、そうさ。」
神「・・・・・・」
神田ははぁとため息をつくと袖をつかむレイラの手をやんわりと払い宝箱に近づいた。
すたすたと、近づいていく。
と。
神田は何も臆すことなく宝箱を除いた。
神「・・・何もない。」
「・・・は?」ラ「・・・は?」
神「・・・宝箱は空っぽだ。」
神田のその一言でレイラとラビは力が抜けてその場にへたり込んだ。
「っ、はぁ、なんか損した気分。」
ラ「そうさね・・・」
と、そのとき。
?「やっほぉ〜!」
「っ!?」
びくりと体を震わすレイラ。
ラビと神田は声のするほうを見た。
声のしたのは上のほうからだった。
そこには、傘に乗ったかわいらしい少女がいた。
「っ、誰!?」
レイラはキッと少女をにらみつけた。
少女は褐色肌に、額に十字架の聖痕があった。
予期せぬ正体不明な人物の出現。
魔物たちの動きの変化。
そのキーとなったのは。
額に聖痕のある少女の存在。