「添い寝兄さん」に引き続きなんと、リクエスト頂けたので(ありがとうございます!)雪男くんver.です。
前作同様奥村二人空間ですが雪男しかお喋りしません。雪男しかお喋りしません。苦手な方はご注意下さい。
ガバッ、ガタッ
「?、兄さん…どうしたのさっきまでぐっすり眠ってたの…に…、え?ちょ」
「え、…どうしたの?なんで泣いて…ええ」
「なに、どうしたの…?…泣いてたらわからないよ……ね、そっち行っていい?」
「うん。ありがとう…。……なにか嫌な夢でも見た?」
「……また泣くし…。うーん、ゆっくりでいいから…落ち着いて…側に居るから」
「構わないよ。予習もちょうど区切りが良かったところだしね」
「だからほら、一人で泣くな。……こっちおいで」
「…ああもう、意地っ張りだなぁ。…涙の止め方も知らないくせに大丈夫とか言うな」
「いいから。文句なら後で聞くからちょっと黙ってて。僕のことはいいからまず落ち着いて、息吸って、大丈夫。大丈夫。……なにが、って?…さぁ、なにがだろうね」
「……ん、なに?」
「うん。そう……神父さんの夢かぁ…。うん」
「うん…、うん。」
「そう…うん。ふふ、ああごめん笑って」
「ううん。夢の中でもケンカしてばっかりなんだな、って」
「兄さんらしいよ。神父さんは気の毒だけどね」
「それで珍しく夢を見て泣いた理由は?」
「……うん…そうだね。うん。うん…」
「かっこ悪くないよ。なにもおかしくない」
「本当。もう会えない人を想って泣ける人を人はなんて言うと思う?…優しい人、だよ」
「十分優しいよ。バカが付くくらいお人好しだ」
「ふふ、兄さんがバカで安心してる」
「ん。いいよ。じゃあもう一度兄さんがちゃんと寝れるようになるまでここに居てあげる。さっきまでの夢は僕が忘れさせるから」
「どうやって…?うーん、方法はいろいろあるけど…そうだなぁ久しぶりに魔法でも使おうか」
「もちろん。祓魔塾時代にある程度はこなしたよ。単位もA+だったし」
「そうですよ。弟は優秀なんです。お兄ちゃん?」
「うん。ふふ…なんでもない。ちゅ、じゃあなんの話をしようか」
「神父さんの話?いいの?」
「仕方ないなぁ…。ちゅ、んむ。キスだめ?一応まじないの意味もあるんだけど…恥ずかしい?なにを今更」
「ほら手どけて。話始められないよ?」
「あーるの。黙って慰められてくれないとこのまま押し倒すしか無くなりますが?」
「…聞き分けが良くてよろしい」
「じゃあなにから話そうかな…あ、僕ね祓魔師に成り立てだった時…13歳の頃の話なんだけど、あの頃はまだ拳銃が重くて重くてすぐ泣いてたりしてた」
「まぁ、それもあります。泣き虫でしたよええ」
「家に帰ったらへらへらしてる兄さんが居てすごく腹が立った記憶もあるなぁ。あ、悪口じゃないから泣かないのー、もう。ちゅ、今日は普段の20倍デリケートだな…」
「しょうがない、ていうのもあったんだ。僕くらい若い祓魔師なんて居なかったから掛かる期待とか畏怖とかすごくて」
「そうですよ。祓魔師にもいろいろあるんです。加えて神父さんは聖騎士。こんな面白い子供他にないでしょ?」
「845gのガバメント握って毎日奔走してた。銃はもっと軽いモデルもあったし最初はライフルにしようと思ってたんだけど僕は迷わずガバメントを選んだ。どうしてだと思う?」
「…ハズレ。それくらい強くなる必要があると思ったからだよそれに…神父さんが選んでくれた銃だったから」
「…なんでそんなに、て…鈍感。ちゅっ」
「僕が今誰のために息をしてると思ってるの?」
「ぷ、…だいぶお眠みたいだね…お話はまだこれからなんだけど。兄さん…?」
「ふふ…起きてる、て…言えてないよ…ちゅっ」
「んー…?めざまし?いいよ僕が掛けとく…ちゅっ」
「ちゅ…、っちゅ。…なに?…なにもしないよ。ここに居る」
「それともなにかして欲しかったかな?…だけど残念。今日はキスしかしてあげないよ」
「なんで?全部顔に出てる…ふふ、かわいい。っちゅ」
「嫌だって言っても無駄。…ちゅむ…、キスだけ。兄さんがちゃんと寝れるまで」
「え?…そうだなぁ、続きは夢の中で。満足させてあげるよ」
「そう…優しく、ね。了解」
「努力するよ。ちゅ」
「…大丈夫。今度はちゃんと眠れるよ。言ったでしょ、魔法を掛けるって。…うん。…おやすみ、兄さん。ちゅ」
*
「ふふ、安眠」
「騙されてくれるあたりまだまだ候補生ですよ。奥村くん…ちゅっ」
「まぁ兄さんにしか使えないって理由では、魔法かな…」
「さて、どうやってこの腕枕外そうかなぁ…ガッチリだ…」
(君のためならいくらでも囁くよ。)
相手の声を聴いてると落ち着いて眠っちゃう奥村かわいいな、って…。
ここまでお付き合い下さりありがとうございました*
夢の中でも奥村まみれ!
※こちらの奥村は明日寝坊します。
おやすみなさい*