あれから何時間経ったんだろう。
呼び出されたのは夜で、もう外は明るく恐らく太陽も高く登っている頃か。
俺はずっと犯され続けていた。正確には気を失っていたから、ずっとかはわからないが。腹に溜まった精液が吐き気を催す。いつ解放されるともわからない苦しみに気が狂いそうだった。

「黒崎さんが変わった原因は"美風藍"?」

罵り続けていた奴は、唐突にそんな事を聞いてくる。返事をするのも億劫なので、黙っていると髪の毛を引っ付かんで、顔を上げさせられた。
舐めろ、と低い声が掛かり、俺は何の戸惑いもなく奴の性器に舌を這わせ、音を立てて、舐め始める。


「ん、………は、んちゅ」

「美味しそうに舐めるね、黒崎さん。」


旨いわけがない。と内心で毒づきながら、行為を進める。
それでも、然程達していない身体は燃えるように熱く、俺は奴を喜ばせながら、自身にも手を這わせ、扱きあげた。

「はん、……っあ、……んっ、うう」

「淫乱。欲しいなら欲しいって言えよ。」

強弱をつけて擦る手をぐいっと引っ張られ、シーツに縫い付ける。何しやがる、と奴の顔を睨み付けると、でもさ、と言葉を続けた。

「黒崎さん、目弱いよね。性感帯みたいにさ。」

空いているもう片方の手が俺の赤い目にゆっくりと近付いてくる。

「何回か舐めたとき、それでイッたもんなあ。」

指が目尻をなぞる。視界の端に指がチラチラと映る。

「特にこっちの赤い目。綺麗な色。食べたくなるほどにさ。」

まるで抉るような言い回しに背中に走った悪寒ともしれぬ衝撃はなんだ。

「だからさ、」

そう一言止めると、俺の口から自身を取り出して、何回か擦ると、俺の目を目掛けて精液を吐き出した。ドピュと嫌らしい音をさせ飛び出した精液は、赤い目だけに飽きたらず、顔も汚す。

「…っ!?……っあ、ひっ」


何が起こったのか最初はわからなかった。だが、奴の顔が近づき、べろりとまた俺の目をしつこく舐めあげ、俺自身からも精液が飛び出た。
痛みとも、快感とも取れる感覚。

「っあ、……はっ、……んん」

「自分のはくそ不味いけど、なんか癖になるわ。ねえ、黒崎さんもそうでしょ?」

同意を求められても、なんとも言い難い。
黙っていると、乳首をギリと捻られ、ぷっくり膨れた先端を丹念に舐められる。
ちゅぶちゅぶと唾液が伝い、ヘソに溜まっていく。
全身がぐちゃぐちゃだ。
攻められ続けた身体は、鉛のように重い。

遠くでチカチカと俺の携帯が着信を知らせている。
きっと、あいつだ。
取らなきゃいけないのに、男を押し退ける力すら残っていなかった。

はい、と俺の目の前にいつの間にか携帯が現れる。驚きに鈍った思考も覚醒してしまった。

「出ろよ。」

「……は?」

「無視はよくないだろ?」

悪魔のような男だ。
俺をどこまで苦しめれば気が済むんだ。ゆっくりと頭を振っても、男はおもしそうに携帯を弄っている。


「頼む、……それだけはやめてくれ。」

「……なんで?」

「知られたくないからだ…」

「へえ、そお。"美風藍"には綺麗な黒崎さんのままでいたいんだ。今の自分の姿鏡で見ても?」

酷い格好なのはわかっている。浅ましい考えなのはわかっている。
それでも、俺は、美風に汚い自分を見せたくなかった。心を開いてくれた。俺だけに。
こんな俺を必要としてくれているだろうアイツを、裏切りたくないんだ。


「………なんでもするから。」

「へえ。」

「頼む…!」


もったいぶるように俺の顔をじろじろと見やり、鼻で笑ったかと思うと、


「じゃあ、黒崎さん一生俺のものになって。」


近付く唇を俺は拒むことができなかった。





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