BIOHAZARD〜DEADRISING〜
Decisions,desisions

「嘘…でしょ?こんな……」


「…ここまで来ると自分の運の無さに泣けてくるな」


路面電車が到着したその場所には、「希望」などどこにもなかった。


救援にやって来たヘリコプターは事故で炎上し、その炎の中でまだかすかに息がある者やゾンビとして甦った者が蠢き呻いていた。


その光景を前にして、二人はただ立ち尽くすことしかできなかった。


いや…たとえ警官だろうが医者だろうが、他の誰であっても同じだろう。


この光景を前に何ができると言うのか。


「あ……赤い…光……炎……」


炎の中で蠢く人々を見つめながらジーナはある光景を思い出していた。


幼い頃に見た、燃え盛る炎の中で必死に助けを求める父の姿。


その父を前にしてただ立ち尽くす自分の姿。


「あ……嫌…嫌だ…火は……火は嫌い……っ」


何もかもを消し去る赤い光。


全てを一瞬にして灰にしてしまう炎。


それを目にする度に、あの日の自分の罪を責められているようで、怖くてたまらない。


「違う…違うの……私は……私……っ」


ジーナは頭を抱えてうずくまった。


今でも聞こえて来るあの悲痛な叫び声。


助けを求めて伸ばされた腕。


「嫌ああああ!!!」


聞こえて来る呻き声を自分の悲鳴でかき消すようにジーナは叫んだ。

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