第五章 皆殺し編
□皆殺し

血に塗れた自分の手を見つめて、"僕"はふっと口元に笑みを浮かべた。


"お前は鬼隻。いずれ鬼となって全てを喰らうであろう"


…父様の言葉通り、僕は"鬼"になった。


いや、初めから鬼だったのかもしれない。


ただそのことに気づかない振りをしていただけだ。


もっと早くこうするべきだった。


そうすれば、誰も傷つかなくて済んだのに。


「ア……ゥ……ッ」


血溜まりの中のもう一人の"僕"が手を伸ばした。


まるで救いを求めるかのように伸ばされたその手を、僕は持っていた日本刀で突き止めた。


もう二度と、救いなど求めないように。


もう二度と、愚かな夢を見ないように。


最初から全部、間違っていたんだ。


僕は鬼。


人を喰らい、惨劇を招く物の怪。


だから…誰とも交わらぬまま、孤独に生き、孤独に死ぬべきだ。


それで、この惨劇の全てが終わる。

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