血に塗れた自分の手を見つめて、"僕"はふっと口元に笑みを浮かべた。 "お前は鬼隻。いずれ鬼となって全てを喰らうであろう" …父様の言葉通り、僕は"鬼"になった。 いや、初めから鬼だったのかもしれない。 ただそのことに気づかない振りをしていただけだ。 もっと早くこうするべきだった。 そうすれば、誰も傷つかなくて済んだのに。 「ア……ゥ……ッ」 血溜まりの中のもう一人の"僕"が手を伸ばした。 まるで救いを求めるかのように伸ばされたその手を、僕は持っていた日本刀で突き止めた。 もう二度と、救いなど求めないように。 もう二度と、愚かな夢を見ないように。 最初から全部、間違っていたんだ。 僕は鬼。 人を喰らい、惨劇を招く物の怪。 だから…誰とも交わらぬまま、孤独に生き、孤独に死ぬべきだ。 それで、この惨劇の全てが終わる。 no 次へ |