【第3話 後編】
コンコン【ノック音】
レイ309:「ボス、レイです。」
ボス310:「入れ。」
ガチャ【レイ部屋へ入る】
ボス311:「報告がヴィーダではないとは…珍しいな。」
レイ312:「…気になることが、あるんです。」
ボス313:「…話せ。レイ。」
《場面転換》
クラウ314:「…足、どう?エリー」
エリー315:「ちょっと痛い。でも平気。」
クラウ316:「良かった。」
エリー317:「ねぇクラウ。なんでメーベルとクロイツはこの世界が嫌いなんだと思う?」
クラウ318:「…さあ。僕には分からな…」
エリー319:「私達よりはるかに子供なのよ。…私達だってあれくらいの頃からこの世界が嫌いだったけど、“世界を滅ぼそう”なんて大それたこと考えてなかったわ。」
クラウ320:「エリー、メーベルとクロイツが心配なんだね。」
エリー321:「!? 冗談よして!!違うわよ!!」
バシィッ【エリー、クラウを叩く】
クラウ322:「いたっ、痛いよエリー。」
《場面転換》
ボス323:「“必ず迎えに行く”と、エデンが?」
レイ324:「えぇ。リーダーのメーベル並びにクロイツがリヒトに対して確かに。」
ボス325:「…おかしいな。リヒトとやつらは初対面だろう。」
レイ326:「そのはずです。」
ビート327:「過去に何かあったのではないですか?リヒトさんがやつらを助けたことがあるとか…」
レイ328:「…いや、それはない。」
ボス329:「なぜそう言い切れる?」
レイ330:「俺は昔リヒトと同じスクールに通っていました。俺がリヒトを知ったのは俺が10歳、リヒトが8歳の時です。」
((レイ回想))
ガシャーーーン!!!【硝子が割れる音】
レイ331:ものすごく大きな音が後輩のクラスからした。たまたま通りかかった俺はそのクラスの中を扉のところで見ていた。
エキストラB332:「愛想笑いも出来ねーのかよ!!胸クソ悪ィ野郎だな!」
エキストラA333:「顔はいいのに、性格サイッアクよね。」
エキストラA・B・C334:「「「消えろよ」」」
レイ335:あぁ、いじめか。そう判断するのに時間はかからなかった。そのいじめの対象であったのが
幼リヒト336:「最悪で結構だね。お前らみたいに愛想振り撒いて出来るような…適当な人間関係だけで成り立つ奴らを最高だと言うなら、俺は最悪でいい。」
レイ337:リヒトだった。
レイ338:それから俺はなぜかリヒトが気になり、見かける度に目で追うようになった。そうしているうちに分かったのは
レイ339:リヒトの性格は確かに最悪であったこと。あれはいじめられても仕方のない態度だ。
レイ340:もうひとつは、人間以外には心の優しい普通の少年だと言うこと。
レイ341:人間が殺されそうになっていても助けようとはしないリヒトが、動物には手をさしのべていた。
((レイ回想終了))
レイ342:「リヒトは、人間に対しては絶対に心を開かない人間でした。」
ビート343:「リヒトさんが…!?だって、今はすごく…」
レイ344:「そこだけは、俺にも分からない。」
レイ345:「突然…本当に突然リヒトは変わったんです。」
ビート346:「変わった…」
レイ347:「今までは俺が声をかけても、目すら合わせなかったリヒトが、笑ったんです。」
レイ348:《「…おはよう(返事はないだろうけど)」》
幼リヒト349:《「! お、おは、おはよう!」》
レイ350:《「!?(はっ?…)」》
レイ351:「その時俺は12、リヒトは10歳です。」
ボス352:「…それとエデンの二人に関係があると」
レイ353:「そう、俺は考えています。」
ボス354:「分かった。レイ、報告ご苦労。リヒトも今混乱しているだろう。気遣ってやってくれ。」
レイ355:「はい。では失礼します。」
コツコツ【ドアの方へ歩いていく】
ガチャッ【ドア開ける】
バタンッ【ドア閉める】
レイ356:どうも、メーベルという少年のあの目が、
レイ357:8年前までのリヒトの目そのままたと
レイ358:俺は確信めいたものを感じていた。
(第3話 後編 END)