不運と悪戯っ子

保健委員会、それは不運委員会とも呼ばれており、忍術学園の不運な生徒ばかりが集まってしまう。
蛸壷や塹壕に落ちるのは当たり前。からくりに引っかかったり転んだりするのも日常茶飯事。
だから保健委員は不運に見まわれないように、日頃注意をしている‥‥のだが、知っての通りこの忍術学園には穴掘り小僧や暴君、からくり大好きな一年生などがおり、不運を回避しようにも出来ないのである。

そんな不運な保健委員会だが、もう一人、要注意人物がいる。それは、変装名人こと五年ろ組の鉢屋三郎の妹、くのいち教室三年の鉢屋三ツ葉である。
悪戯や人を驚かすことが大好きな彼女は、よく保健委員会を標的にしている。だから保健委員会の人間は鉢屋三ツ葉を見たら全力で逃げるのだ。

‥‥‥まぁ、逃げようにも不運が発動して捕まることがほとんどなのだけれど。




そして今日も、不運な保健委員の一人が彼女の被害に遭うのであった。


―――――――――


『かーずまぁ!』


「うわぁ!三ツ葉!?」


トイレットペーパーを抱えながら廊下を歩いていると、急に天井から頭を出した三ツ葉が現れ、驚いてこけてしまう。そして転がるトイレットペーパー。
それを見て、思わずため息を吐く。


「もう、三ツ葉たら‥‥トイペが駄目になったらどうするのさー」


『大丈夫よ、ちゃんと網を張って地面に落ちないようにしてるから』


「そうじゃ無くてさ、」



わかっていない三ツ葉に注意をしようと顔を上げるが、当の本人はニコニコと悪戯が成功した子供の様に‥‥実際成功したが、彼女は嬉しそうに笑っているだけで、反省の色は無い。



「はぁ、全くもー」


『ふふふ‥‥』



‥‥嬉しそうだし、まぁいっか、




不運な僕といたずらっ子な君


(数馬、おばちゃんにお饅頭貰ったのよ。食べるでしょう?)
(え、くれるの?)
(私だけじゃ食べきれないの)
((悪戯以外はいい子なんだけどなぁ))




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