やはり兄妹だな!

『兄さん』



笑いながら走り寄り、三郎に抱きつく三ツ葉ちゃん。見た目は艶やかな黒髪、つり目ながらもまさに大和撫子のような容姿をしているのに‥‥


「はい!背中に隠した蛇を離してから抱き付いてこい!!」


『‥‥ちっ』


三郎に悪戯しようとしたのがバレたときの顔は、裏切られた感がある。
あの可愛らしい顔で舌打ちをする様は流石としか言いようがない。やはり、まだ下級生とはいえくのたまだからだろうか。



『兄さんてば酷いなー。いつも引っかからないんだもの。‥‥作兵衛や数馬は簡単に引っかかるのに‥‥』


ふてくされながら言う姿は可愛い。だけど言ってることはとてつもなく黒い‥‥やはり三郎の妹なんだど実感する。




「えっと‥‥三ツ葉ちゃん?」


『なんですか?不破先輩』



笑顔で振り返った三ツ葉ちゃんだが‥‥手に持ったままの蛇は離して欲しい。それに、見たところ伊賀崎の蛇のようだし‥


「こら三ツ葉。雷蔵に蛇を向けるな」


『ジュンコちゃんはお利口だから大丈夫だよ』



ねー!と伊賀崎の蛇に笑いかけているが、彼女の遥か後方から伊賀崎が走ってこっちにむかって来ている。三ツ葉ちゃんは気付いているのか、余裕な様子で手を振っている。


「おい三ツ葉!いきなりジュンコを誘拐なんかしてどうする気だ!」


『兄さんを驚かせようと思ってね。ちゃんとカエルをあげて交渉したから、同意の上だよ』



「だからと言って、」


『今度、孫兵に毒蝶あげるから許して?ダメ、かな‥‥』


三ツ葉の言葉に反論した伊賀崎に一気に近付き、涙目でそう言う。その姿は小動物のように可愛らしく、守ってあげたくなる。
そんな彼女を慰めるように頬にすり寄る蛇の姿‥‥そのせいもあってか、伊賀崎は真っ赤な顔をしてしまった。



「そ、それなら今回は許すけど、次はちゃんと私に許可とってよ!!」


そう言って蛇を奪うと、そのまま走りさってしまった。
その様子に唖然としていると、三ツ葉ちゃんは伊賀崎が去った方にまたも手を振り、ニヤリと笑った。



『孫兵は初だなー‥‥チョロい』




やっぱり三郎の妹だね!!(なんか女子って怖い!)


(流石は私の妹だ!)(使える美人は使わなくちゃ!例え自分でもね!)
((三ツ葉ちゃん‥‥‥))



―――――
普段は冷静な孫兵を真っ赤にさせる策士な主人公!くのたまだしね!
(孫兵難しい‥‥)


111015