目茶苦茶
2014/02/04 19:25
【怖】変な話注意
従姉妹Aの様子が変だ。酒も飲んでいないのに夜になるとフラフラと千鳥足になり、時には炊飯器から手掴みで白飯を食べ、またはふらっと外出し、家人の問い掛けには一切反応せず好き勝手やっては寝てしまう。
挙げ句には翌日、本人は自分の奇行を一切覚えていない。
そんな話を伯母の家できかされていたところ、親戚Bが徐に言い放った。
「よし、何とかしてみよう」
集まっていた皆、おお、何か良い策があるのかとBに注目した。
心療内科でも勧めるのかと、私もBの次の言葉に集中する。
しかしBの発言は皆の予想の斜め上をいっていた。
「Aは何か悪い霊にでも憑かれているんだろう、神様に払ってもらおう」
皆どよめいた。何を言い出すのか。あまりに荒唐無稽過ぎる。
うろたえる家人すら他所に、Bは転がっていた新聞紙を丸め始める。長い棒を作っては組み合わせ、完成したのは灰色の鳥居。
みながポカーンとしている中、Bは裏が白いチラシを長方形に切り、何やらボールペンで文字を書き出した。
地元で広く信仰されている神社の名前だ。
皆が唖然と見守っている。
Bは紙をカウンターキッチンの壁に貼り、更にその前に鳥居を立てかけ、勢いよく柏手を打って深く頭を下げた。
「〜〜〜(住所)の◯◯Aが、悪霊に取り憑かれています。どうぞ神様のお力でお救いください!」
一連のBの行動を見ていた人々は呆れ返って銘々にため息を吐いた。
「馬鹿か、神様が何とかしてくれるとしても、そんな方法で効くわけないだろ」
「何を言う。この◯◯神社はうちの氏神様だ、大丈夫だ。」
Bは真面目くさった顔で答えた。
一ヶ月後、伯母から報告があった。
何と、あの日以来Aの奇行がぴたっと止んだという。
「私も信じられないんだけど……でもご利益はあったし、あの紙も新聞紙の鳥居も捨てられなくて」
仏壇の横に保管してあるの、伯母は首を傾げながら言った。
後日。Bの父に用事があったため、雑談に混ぜて一連の事を報告した。
Bの父が「はああ?」と珍妙な声を出す。
「その話はよくわかんねえけど、とりあえずうちの氏神様は◯◯神社じゃなくて、△△神社だぞ?」
Bに話すと、「じゃあ幽霊じゃなかったんじゃね」
と一言で終わってしまった。
目茶苦茶すぎだろ……、と私は思った
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