「ううぅ寒いぜぇ〜〜……クソッ!!」
ぶるぶると身体を震わせたマリクがよたよたと居間へやって来た。
「マリク! コタツ作ったよ!!
ほら、こっち来て一緒に入ろ?」
「あぁん……? こたつ……?
なんだそれは……」
「日本の暖房器具だよ!!
まあ、座って入ってみればわかるよ!」
「ふぅん……」
マリクは訝しげな表情を浮かべながら、のそのそとコタツに入っていく。
「布団がテーブルにくっついてやがる……」
「まあまあ……ほら、足とかあったかくない?」
「おぉ……、
は……、これはまた随分と……ククク」
「でしょ?
これがまた温かくてさ〜……つい眠くなっちゃうんだよね……!
って何もうウトウトしてんの!?
早すぎでしょ!」
「フン、べ、別に眠くなったわけじゃねえよ……!!
……どうでもいいがよォ、これ……足はあったけぇが上半身は寒いまんまだぜぇ……?」
「えっ……まあ……
それは上半身に何か羽織るか、あとは寝転がって肩まで潜るか――
あ、でも寝転ぶと絶対眠くなるから気をつけた方がいいよ!!
コタツで寝ると風邪ひくから!!」
「上が寒いぜぇ……」
「んもう、人の話聞いてた!?
だから――」
「こうすりゃ問題ねーな……」
「えっ」
サッとコタツから出たマリクは、目にも止まらぬ速さで私の隣に移動してくると、身体をコタツに滑りこませるのだった。
「ちょっ、マリクってば……!!」
予想しなかった展開に、思わず顔が火照っていく。
「なに照れてんだぁ……?
こうしてくっついときゃ二人とも寒くねーだろ……?
ククク……」
「ば、ばかそんなにくっつかないでよっ……」
心臓が高鳴りはじめ、思わず上ずった声をあげてしまう。
腰に回された手と、触れた身体から伝わるマリクの体温はたしかに温かくて心地良くて――
でも恥ずかしくて心臓が苦しくて、私は黙って俯いてしまうのであった。
「アハハハ!!!
瑞香は普段は口達者だがよォ、くっついてやるとすぐ照れて黙りやがる……!!
貴様のそういうところ、嫌いじゃないぜぇ……!!」
「な、何言ってんの!! ばか」
「おぉん!?
おいおい、このままもっと温かくなる事をしてやったっていいんだぜぇ……?」
「やだやだっマリクのばか……!」
「クククッ……
コタツってやつもなかなか悪くねえな……」
「うぅ……」
寒さをしのぐためにくっつくのは良いが、しかし逆に暑すぎるということに二人が気付くのに、そう時間はかからないのであった――
END
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bkm