ある寒い日の光景〜闇マリク編〜



「寒いね〜!!
今日は全国的に寒いんだってよ!!
家にこもってコタツでぬくぬくしてるのが一番だね……!!」

「…………」

「……マリク?」

「うぅ……」


闇人格のマリクは、コタツに入ったままその身体を小さく震わせていた。


「寒いの?
……んもう、だからアイスなんて食べちゃダメだって言ったのに……
こんな寒い日にアイス食べるとか……そりゃあ寒くもなるよ」

「……冬に……暖かいところで食うアイスはうまいって……
聞いたから……よぉ……うぅ……」

「んもうマリクってば……仕方ないなぁ……

ほら、上着!!
重ね着すれば少しは暖まるでしょ……

っわ!!! ちょっと!!!!」

マリクはいきなり私の身体にしがみつき、その顔をグリグリと胸元に埋めたのだった。

「ちょっ……マリク!! 何して――」

「なぁ……今すぐ暖まることをしようぜぇ……」

「え……」

「いろいろあんだろうがよぉ……
一緒に風呂に入るとか一緒に寝るとか……

ククッ、一番暖まるのはやっぱりヤっちまうことかねぇ……」

「ちょっ!」

「イヤかぁ……?」

胸元に埋めていた顔を少しだけ上げ、上目使いでチラリとこちらを見上げるマリク。

その甘えるような視線に、不覚にも心臓が派手に収縮して息が止まった。


「ば……か……」

呟いた声は、闇を湛える双眸によって塗り潰されながら、やがて触れあった唇の中に溶けていく――――






(寒い寒い……)

(っ……、はぁっ……あのさ……、寒いからって……、布団に全部潜りこんで……るの、苦しい、から……っ)

(ほぉ……
ならもっと苦しくしてやるよ……)

(んっ……んんんんっ!!!!)



END


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