「……っ」
「あぁ……? どうした?」
「っあ、いえ……何でもありません……
ただちょっと、寒いなって……」
「あぁ……砂漠の夜は冷えるからな……
これでも着ておきな」
「あ、ありがとうございま――――
っ、バクラ様?」
桃香に羽織りを突き出したバクラの手が、何かを考えこむようにそのまま固まって止まった。
「……つーか……こんなモノなくてもよ……
あんだろうが……もっと温かいモノがよ」
「え……」
「来いよ!!」
ぐいっ
「きゃっ……! バクラ様ッ!?」
「ヒャハハハ!!
こうやってオレ様の腕の中に居りゃあ、寒いこともねえだろうが!!」
「う……あ……!!」
バクラに身体を包み込まれ、顔を真っ赤にした桃香の頬はみるみるうちに朱に染まっていったのだった。
「……フン……、小せえ身体しやがって……
このまま強く抱きしめたら折れちまいそうだぜ……」
「っは……、バクラ、さま……」
「なんだよ? もう興奮してきたってか?」
「ん、ちが……
だ、だって……んんあっ!」
「だって……なんだよ?」
「だ、だって……あぁっ、は、肌……
じかに触っちゃ……恥ずかし、あ……やっ!!!」
バクラの褐色の手が服の中に入り込み、ゆるゆると腹のあたりをじかに撫でた。
そして、そのまま上に上がっていき、膨らみをそっと掌に収め――
「ククッ……
お前が寒いっつーからこうやって、オレ様の手でじかに暖めてやろうってんじゃねえか……
感謝しなぁ……」
「ん……あぅ……、バクラ様……」
「長い夜になりそうだな……
ヒャハハハ……!!」
バクラの嗤い声は、冷たい砂漠の夜空に溶け――
やがて重なった二人の影には、熱が生まれるのだった――――
(……っ、はぁ……、バクラ様の身体、あたたかい……!!)
(全部お前に分けてやるよ……この熱をな……!)
(ん……!)
END
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bkm