見透かされた想い



夕方。

これから獏良君に、ゲームを借りる約束になっている。


「いろいろあるから、良かったら僕の家に直接おいでよ。
夕方からなら予定空いてるから」

「いいの? ありがとう!
じゃああとでお邪魔するね。
お土産にシュークリーム持って行くから!」


そんなやりとりがあり、私は獏良君の家に行くことになったのだ。




獏良君……

遊戯君や杏子達を含め、皆良い友達だ。


獏良君が転校してきたばかりの時に、獏良君が持つ千年リングに宿った邪悪な魂によって、私たちは闇のゲームに巻き込まれた事があった。

その時は皆で協力して闇の魂に打ち勝ったのだが――
しかしその後リングの力によって、闇の人格が再び現れていることを知った。


千年リングに宿る闇の人格――バクラ。

周りの皆にバレたら、ぜったい反対されるに決まってるが――――


私は、バクラが好きなのだ。


しかしバクラは気まぐれ(少なくとも私にはそう見える)にしか現れず、たとえ会えたとしても、親密になれるような会話らしい会話などできるわけもなく――

私はただもっぱら、時折獏良君の精神を押しのけて表に現れているバクラを、見つめているだけな事が多いのだが。


今日、獏良君のうちに行くことになった時も私は、もしかしたらバクラに会えるかも……なんて、勝手な期待をほんの少ししてしまったのかもしれない。

我ながらどうしようもないな……






「……じゃあコレとコレを借りて行くね!
ありがとう獏良君」

「うん! シュークリームありがとう! また学校でね」


特に変わったこともなく、ゲームを借りて獏良君の家を後にしようと、私は獏良君に背を向けて部屋のドアへ向かう。


ざわり……


背後で、獏良君の気配が変わった。


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bkm


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