これは、私がまだ童実野高校に通っていた頃の話だ。
何故今になって、こんな話をするかと言うと――
私は先日、あのKCが主催する次世代デュエルディスクのデモンストレーションの生放送をネットで見て、ふと当時のことを思い出したからだ。
海馬瀬人――かつて童実野高校に通っていた同級生。
そして今は、いち社長を超えたとんでもない影響力を持つ大人物。
童実野町――そこにある、童実野高校。
そして、私や海馬くんとともにそこに在籍していた生徒たち。
彼らがただの同級生だったなら、私は当時の記憶を、爽やかな青春の1ページとして、穏やかに思い返して終わっただろう。
けれどもそれは、どうにもやっぱり、今でも出来そうにない。
何故なら。
私は、『あれら』の存在を知ってしまったからだ。
『あれ』ら……
きっと、クラスの中で私だけが感じていた気配。
ううん、もしかしたら『当事者』である『彼ら』にとっても、何らかの自覚はあったのかもしれない。
それでも結局、私は『あれ』の存在を最後まで誰にも言えなかったし、その後の顛末を確かめる勇気も出なかった。
だからこれは、私の告白であり述懐だ。
信じてもらおうなんて思ってない。
ただ私は、自分自身の記憶の整理のために、私が当時見たありのままを、ここに記すことにする。
童実野高校に入学した私を待っていたのは、まるで白い紙に黒いインクを一滴垂らしたような、不穏な気配だった。
突然だが、私には妙な力がある。
一言で言って、霊感というやつだ。
この世に未練を残して死したモノたちの、存在、念……
そういった身の毛もよだつ気配を、私は子供の頃から身近に感じていた。
いいや、感じるだけではなく『見てきた』。
それはもう、数え切れないほど。
薄々想像がつくと思うが、この力は決して良いものではない。
というか、明らかに『悪い』。
何故か。
言うまでもない。
虚空をじっと見つめ、時には指さして「あの人だれ?」と聞く幼子を、気味悪がらない大人などいない。
道端で、事故の目撃者を探していますと書かれた看板の足元に献花が添えられていて――
ついでに、他の誰にも見えてない被害者らしき人影も一緒に立っていたよなんて、誰にも言えないだろう。
お小遣いで様々な魔除けグッズを集めたこともあったが、どれも大した効果はなかった。
きっと、子供が手に出来る程度の金額のグッズの中では、効果を期待できるような価値のあるモノは買えないのだろう。
やれ肝試しだ、本当にあった怖い話だ、アクセ感覚の魔除けグッズだ――
そういうモノを、『普通の人』は面白がって楽しんでいるけれども。
『それら』が身近にある私にとっては、決して笑えるような話じゃなかった。
私はかつて、とある飛行機事故の現場である場所に、騙されて連れて行かれた事がある。
その時の私と来たら、あまりの気持ち悪さに立っている事が出来ず、その場にうずくまり、嘔吐した。
無念の死を遂げた人の悲痛な叫び、怨念、執念――
ああ駄目だ。
思い出しただけで気分が悪くなる。
とにかく。
高校に入学した私は、クラスメイトの武藤遊戯という男子生徒がある時から身につけ始めた首飾りを初めて目にした時、息が止まるかと思ったのを覚えている。
ピラミッドみたいな四角錐を逆さまにした、金色の派手な首飾り……
気弱そうな武藤くんには似合わない気もしたが、問題はそこではない。
彼の首飾りが、発する気……
それは今まで見たどんなモノよりも、えげつなかったのだ。
武藤遊戯は、以来肌身離さずその首飾りを身につけていた。
彼を取り巻く、仲間たち――
いつ頃からか仲良くなった、城之内克也に本田ヒロト。
武藤遊戯の幼馴染であるという真崎杏子。
そして――杏子と仲良くしつつ、さりげなくグループに混じっている犬成桃香。
彼らは誰一人として、武藤くんの首飾りが発する不穏な気配にたじろいでいる様子は無い。
それどころか、彼が大事そうに抱えているそれを、時には褒めるような、気遣うような素振りまで見せ、和気藹々と会話に興じている。
ねぇ……
皆は、『あれ』から何も感じないの?
あの首飾りから放たれる、怨念、邪念、……なんだろう、言葉に出来ない!
とにかく、あれには確実に、そんな『かつて人だったもの』の禍々しい念が込められている。
……ううん、何というか、変な話だとは思うけど……
人間の無念とか苦痛とか、そういう恐ろしい念を、もっと無理矢理『何か』で塗り固めたような!
しかし。
俗に言う心霊スポット――
それも『本物』であるそういう場所に足を踏み入れたら体調を崩してしまうような私が、何故最悪であるはずの首飾りと教室内で相対して、毎日授業などを受けていられたのか。
ここが自分でも妙な感覚だと思う。
けれど、武藤くんが持っている首飾りから発せられているのは、心霊スポットよりもっと限定的で、もっと濃縮された感じの気配だったのだ。
たとえるなら、そう……
心霊スポットに漂う気配が、体に害のある薬品を水で薄めて、一面に撒き散らしたようなものだとすれば。
武藤くんのあの首飾りは、まるでその毒薬の原液を、無理矢理固めて形にしたような――
気化した毒と違い、近付かなければ耐えられるが、もしうっかり触れたらたちまち皮膚が焼け爛れてしまうような……
そんな毒なのだと思う。
だから私は、必要以上に武藤くんに近付かなければ、同じクラスに居ても何とか学校を休まずに過ごせていたのだ。
それにしても……あんな禍々しい念、どうやったら出せるのだろう。
あの骨董品めいた首飾りは、きっと間違いなく血塗られた逸話を持っているはずだ!
それこそ、身につけた人すべてに災いが降りかかる呪いの宝石とか、そういう類いの。
私にはあれが、悪魔が魔界で身につけていたアクセサリーのひとつだよと言われても信じてしまうかもしれない。
あの首飾りには、それほどの闇がある――
私には、そう思えてならなかった。
だから私は、彼、武藤くんをなるべく視界に入れないように過ごしつつも、どこかで彼に首飾りの危険性について教えた方がいいのかと迷う気持ちも抱いていた。
でも、私のような引っ込み思案でクラスの影のような女子がいきなりそんなことを言ったところで、逆に気味悪がられるのは目に見えていて……
じゃあどうしようかと、悶々と毎日を送っていた時。
いつからか。
武藤くんの姿に被るように、彼によく似た背格好をした、亡霊のような影が見えるようになっていたことに私は気が付いた。
そして不思議と、首飾りの邪念に似合わず、その霊の姿は私にさほど嫌な気を感じさせなかったのだ。
私は怯えながらも、諸悪の根源はあくまでもあの派手な首飾りで、武藤くんに憑いている霊の方は、彼のご先祖様か何かの守護霊だと考えることにした。
だってその守護霊、武藤くんにとてもよく似ていたし。
男性……少年。
武藤くんと同年代くらいに見える守護霊の気配は、どういうわけか、日を追うごとに暖かく、どこか穏やかになっていってる気がしたのだ。
そうか、それならとりあえず武藤くんはこのままで大丈夫だろう。
黄金色の禍々しい首飾りがクラス内にある限り、私にとってはちょっとしんどいけど……
でも直接触らなければ、このまま何とか平静は保てるはずだと、そう考えて。
私は何とか自分を納得させ、その後の学校生活を送ったのだった。
だが、そんな私の日常を、さらなる悲劇が襲った。
ある日私たちのクラスにやって来た、転校生――
その男子生徒を見たとき、私は「うっ、」と息が詰まるのを抑えられなかった。
やばい……、やばい。
滲む冷や汗。高鳴る不穏な鼓動。
彼には明らかに何かが『憑いている』。
私は、獏良了と名乗ったその少年から、思いきり視線を外した。
そうしないと、その日の授業を耐えきれそうになかったからだ。
獏良了という転校生は、一見顔立ちの整った穏やかそうな少年だった。
その美少年っぷりから、転校してきてすぐファンクラブが作られたとかで、その点はまぁ私も納得できる。
けれども。
獏良くんからは、明らかに尋常じゃない『念』が発せられている。
何だろう……単なる、そこらの霊とは違う。
そして、私はこの感覚に既視感を覚えている。
何……そう、武藤遊戯が持つ首飾りだ。
あの、邪念を塗り固めたような黄金色の首飾り……
獏良了という人間からは、それと同種の嫌な気配が感じられるのだ!
いや……、ううん。
ううん。もっと。
獏良くんのそれは、もっとヤバい!!!!
武藤くんの持つ首飾りも、大概だと思う。
どんな歴史を辿ったら、あんなにえげつないモノが作れるのかと思った。
けれども。
獏良くんが宿す気配は、武藤くんと同種で、しかしもっともっと冒涜的で邪悪なモノだったのだ……!
私は武藤くんの首飾りを、触れたらやばいけど、触れなければまぁ我慢出来る、毒薬の原液のようなものだと喩えた。
でも、獏良くんに『憑いてるモノ』は、そんなレベルじゃない。
そこに『在る』だけで、体が毒に蝕まれていくような……
見ただけで、目が潰れそうになるような。
だって、ねぇ、例のごとく皆は全く気付いてないみたいだけど――
彼、獏良くんから立ち上る、ドス黒いもの……
彼の胸元あたりから漏れ出している闇のような揺らぎが、どうしてこの世のものだなんて思えるの……?
だってその黒い影は、獏良くんの胸元にしっかりと突き刺ささって、つい目を凝らしてそれを見てしまった私は――
「うっ……!」
私は吐き気を覚えトイレに駆け込んだ。
学校は早退した。
私はそれから何日か、学校を休んだ。
体調が悪いと言って学校を休んだ時、親は何かを察したような顔をして、それ以上深く追及してこなかった。
霊感が強いなどという子供を、私の親は明らかに持て余している節がある。
それでもまぁ、私の意を汲んで頭ごなしに否定しては来ないし、「学校で何かあったなら学校に抗議してあげようか?」などとちょっとずれた気遣いをしてくるのだから、悪い家族ではないのだが……
ともかく私は、学年の途中でクラスを変えてくれなどというモンペ上等な要求を親にしてもらうつもりもなかったし、このまま学校を休んでいても仕方ないと思い、重苦しいものを抱えたまま再び登校した。
そこで、私が見たものは。
あれ、というのが正直な感想だった。
転校当初、ひどく忌まわしい気を放っていた獏良くんの気配は、嘘のように穏やかになっていたのだ。
彼を取り巻いていたドス黒い影も、今はほとんど見えない。
私は数日前の自分の直感が決して気のせいではなかったことを思い返しつつ、ならば獏良くんの方に何か、悪霊を祓うような出来事があったのだと考え、ほっと胸を撫で下ろした。
うーん、でもあれは……あの恐ろしい影は、普通に暮らしてて祓えるようなものではないと思うし、獏良くんから発せられている不穏な気も決して全部消えたわけでは無いんだけど……
それでも、同じ空間に居るだけで吐き気を催すような、圧倒的な気配がぐっと薄らいだことは確かだった。
しかも、いつの間にか獏良くんは武藤くんのグループと仲良くなっていて。
元々二人から発せられていた同種の気配と、二人が急に仲良くなったことには何か関係があるような気もしたが――
現実的に考えて、二人ともゲームが好きということでそっち経由で仲良くなったんだろうし、私は二人の接近と獏良くんの穏当化にはさほど注意を払わず、そのままスルーすることにしたのだった。
けれど、その時の私は、やっぱり馬鹿だったのだと思う。
何故なら、このまま武藤くんや獏良くんと直接関わらなければ、私は卒業まで平穏に過ごせるだろうなんて――
結果的に愚かと言える希望を、私は持ってしまったのだから。
一年生も、終わりに近付いた頃。
私を取り巻くクラス内の不穏な気配は、どうなっていたか。
薄々想像がつくと思う。
とある休み明け、私は登校して『彼』の姿を目にするなり、全身の皮膚という皮膚に鳥肌が立ったのを実感した。
まるで、死角から勢いよく、後頭部を殴られたような衝撃だった。
何故なら――
一旦はなりを潜めたはずの獏良くんの黒い気配が、再び彼から発せられていたからだ。
何故……なんで……!?
獏良了という少年はもしかしたら、邪悪なモノの憑依を跳ね除け、一旦は自由になったのかもしれなかったのに。
何故、何故彼からは再び、悪意を煮詰めて塗りたくったような、のたうつ邪気が発せられているというのか……!
それだけじゃない。
私は気付いてしまった。
獏良了というクラスメイトからは、死の匂いが漂っている。
それは、誰か生きた人間を、直接死に追いやったような恐ろしい気配が――
私は風の噂に聞いた。
学校が休みの間に、獏良くんや、あの逆四角錐の首飾りを持つ武藤くんたちが連れ立って、どこかの島で開催されたカードゲームの大会に参加したという話を。
その大会の主催者は、とある企業の名誉会長か何かで――
そう、たしかペガサスという名前だったか、その偉い人は、大会後に何故か行方不明になっているという話だった。
私は、まさかねなどと思いつつ、獏良くんから発せられる邪悪な気配に当てられ、入学当初よりもずっと息苦しい空間の中残りの時間を過ごさなければならなくなったことに、絶望した。
獏良くんは、あれだけヤバい悪霊(とりあえずこう呼ぶ)に憑かれながら、いつも穏やかな顔で友人達と談笑している。
友人達――城之内くんや本田くん、真崎さんに、犬成さん。
例の武藤くんとその守護霊も、そのままだ。
けれども正直ここに来て、武藤くんの守護霊の存在は、変な話だけど、私にとってはちょっと有難かった。
これはあくまでも、私の推測にしか過ぎないのだけれど――
武藤くんを見守っている守護霊は、何となく……
獏良くんから発せられている禍々しい念に反発しているというか……
本当に何となくだけど、獏良くんの悪霊の邪気が、武藤くんの守護霊によって中和されているような気がしたのだ!
ううん、もしかしたら、悪霊の方が武藤くんの守護霊を苦手としているのかもしれない。
だから私は何とかギリギリ、嫌な気配を放ち続ける獏良くんと同じ教室で、その後も何とか授業を受け続けることが出来たのだ。
願わくば、二年生に進級する時は彼らと別々のクラスになれますように――
内心、そんなことを願いながら。
しかし、今までの流れで、二年生に進級した私がどうなったか……もはや言うまでもないだろう。
私は、再び武藤くんや獏良くんと同じクラスになった。
そして同時に私は、体調を崩すことが多くなっていた。
無理もない。
いくら卒倒しそうなほどの邪気は多少中和されているとはいえ、そもそも私にとっては毒物と言える気配が、二つもあるのだ。
そう、二つ。
私は見てしまったのだ……!
あの獏良くんが、武藤くんのいわくつき首飾りとよく似た、金色の首飾りを持っていることに!!
身につけるには少々大きめな輪っかに、揺れる針状の飾りが幾つか取り付けられた形状。
何となく、悪夢を捕らえるという海外の魔除けグッズ、ドリームキャッチャーを彷彿とさせる見た目だった。
そして、真ん中にある目のような紋様は、遊戯くんの首飾りと同じモチーフで――
ああ駄目だ、と思った。
獏良くんの持っているリング――便宜上そう呼ぶが――を直接見てしまった私は、心を打ちのめされてしまったのだ……!
悪夢を祓うドリームキャッチャーとは、真逆に位置するもの。
むしろそれ自体が悪夢なのではと思うほどの、魔を宿したリング。
黄金色のリングが孕むドス黒い怨念、オーラ、闇……
地獄でのたうつ人々の苦痛の集合体のような気配を放つそれは、武藤くんの守護霊の中和効果によって誤魔化されていた私の感覚を、悪い方向に研ぎ澄まさせた。
本当に、本当に……
あれは……あれらは。
武藤くんと獏良くんが持っている骨董品の正体は、一体何なの……!?
私は休み時間になるや否や速攻トイレに駆けこみ、嘔吐した。
限界が近かった。
しかし、この話はまだ続く。
その直後、さらなる悲劇――
いや、もはや笑ってしまうしかないような出来事が、私を襲ったのだ。
「……大丈夫? 顔色悪いけど……
何かずっと具合悪そうだよね」
トイレの鏡の前で死にそうな顔をして立ち尽くしていた私に、かけられた声。
それは優しげな、クラスメイトの女子の声だった。
クラスメイト――そう。
振り向いた私の目の前で、心配そうな表情を浮かべていた、一見親切な同級生。
犬成桃香。
だが私はこの、本来無害である女子生徒と関わってしまったことを、すぐに後悔する羽目になってしまう。
「……っ!」
ああ、なんで。
なんで、なんで……!!
私は気付きたくなかった。
それまでずっと、気付かなかった――
そう、別の『気配』が強すぎたからだ。
たとえば、強烈な刺激臭を放つ毒薬の瓶の近くに、その毒が染み込んだ布が落ちていたとして――
その状況で、いちいち布に注意を払う者がいるだろうか?
犬成桃香という少女は、そう。
劇薬の近くに在りすぎて、今の今まで私が気付かなかった布切れだ。
――その体に、毒がたっぷり染み込んだ。
「……、大丈夫……?
ごめん、声掛けない方が良かったかな」
私は恐怖のあまり、乾いた笑いを浮かべる他なかった。
だって、だって。
だってね!
入学当初は普通だった犬成さんの体に、今は違うモノがまとわりついてたんだよ!
吐き気を催すほど冒涜的で、邪悪で、禍々しくて――
ドス黒くのたうつ、影が。
それも、べったりと……!
彼女の手に。
首に。
胸元に。
腰に。
脚に。
そして――
「うっ……!」
私は犬成さんを押しのけ、再びトイレの個室へ飛び込んだ。
ドアを閉める暇もなく、胃に残った胃液をゲーゲーと吐き戻し、肩で息をした。
「大丈夫……!?」
素直に同級生を心配する犬成さんは、私の背中をさすってくれる。
でも……、でも!!!
「……めん、さわら、ない、で、」
私は酷い人間だと思う。
私を心配してくれたクラスメイトの手を、拒絶したのだから。
でも私には耐えられなかった。
私は見てしまったのだ。感じてしまったのだ。
犬成さんの……制服のスカートからすらりと伸びた脚の、その付け根……
あの黒い影が、彼女の下腹部にも、べったりとまとわりついているのを――!!!
私は悟ってしまった。
ろくに男の子と付き合ったこともない私でも、気付いてしまった。
犬成さんと、そう――
この『闇の持ち主』との間に、何があったのかを。
その、関係を。
犬成桃香が、私に触れたことに謝罪をし、どうすればといった様子でおろおろと狼狽えている。
悪霊なんていう一言じゃ収まらないような邪悪な闇に、取り憑かれた獏良了。
そして、その闇と寝た、犬成桃香。
彼女もまた、闇に取り憑かれてしまったのだ。
恐らく、全ての元凶はあのリングだ。
きっと本来は善良で清廉潔白だったであろう獏良了が、持っていた黄金色の骨董品。
私はそれからまた何日か、学校を休んだ。
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