あいどる2
メジャー前



「綾に映画の仕事が決まりました」

メジャーデビュー前最後のライブに向けたダンス練習。今日は振り付け中心に復習と、ライブの演出に合わせたソロパートの練習だった。みっちり全員での3時間練習の後、一旦解散となってから個人練習。そうしてメンバーの誰かがそろそろ帰ると言ったから流れ解散の空気になった。
そこでグループのマネージャーの1人、伊藤さんがおれ以外のメンバーにそう言った。

「えっ…! なに、え! なんの映画!」
「探偵日記シリーズの映画。メインキャラクターの1人です」
「すっげーまじで!?」

早乙女が大声ですげーすげーと繰り返して、チャッキーはおおおお! と驚嘆の声をあげた。つっきーは嬉しそうに笑ってくれている。1人帰り支度を静かに進めていた天音はぴた、と手を止めておれを見て、伊藤さんを見て、無表情だった。

「詳しくはもちろん言えないけど。来週から1ヶ月近く、綾は撮影があるからリハには遅れたり、もしくはいなかったりするけれど皆そのつもりで。ゲネプロは一応ずっと出れる予定だけどそれ以外は厳しい時もあるから確認したいペアパートとかは早めに相談してください」

仕事中はできるだけ淡々と話すようにしている伊藤さんは、そこで一旦一呼吸入れた。そうして少しだけラフに、それじゃあ帰る人は送るけどちょっと別の作業があるから送ってほしい人は20分くらいここで待っててと言う。そのままリハ室の端の机になにか書類を広げ始めていた。

「りょおくん、映画出演おめでとう!」

話が終わるのを見計らっていたつっきーが駆け寄ってきた。

「ありがと」
「すごいね。ずっと知ってるメンバーが映画に出ちゃうなんて不思議な感じする」
「つっきーも出ようよ」
「僕はダメだなぁ、演技はほんとーにだめ!」

つっきーは苦笑いで手を振った。
メンバーで唯一の10代、最年少のつっきーはこのグループのメンバーが決まる前の養成所時代からずっとスーパースターだった。8歳で教育番組の企画に応募して参加した回が好評でそのままレギュラーになって、芸能界に飛び込んだ彼はグループ内で1番芸能人歴が長い。今ではその教育番組のメインMCの1人で知名度も断トツ。何度かお邪魔させてもらったその番組を通してもメジャーデビューの話はさせていただいたし、そこでまた少しファンを獲得できたのも事実だから本当にグループの顔って言ってもおかしくない。

「番組でやったことなかったっけ?」
「あるある、でもそれが限界だなぁって。コントならいいんだけど、ドラマは笑っちゃうんだよね」
「ふふ、ちょっとわかる」

なんでおれ、こんなに真面目に怒ってるんだろう、とか思っちゃう時あるよね。
おれもバラエティの再現VTRとか生徒Aとかの端役ばっかりだったから余計に我に返ることが多かったし、気持ちはすごくわかる。虚しくなる時もあるっていうね、主役ならそんなことないのかなぁとも思うけれど実力もやる気も歴もないので主役よりは端役をやっておきたいっていうのが正直なところ。

「ほんとにおめでたいわ。俺すっごい嬉しい。俺からも言わせて。綾、おめでとう」
「ありがとー。チャッキーも舞台頑張ってねぇ」

チャッキーは任せろよと笑って、おれの髪の毛をぐしゃぐしゃにかき混ぜた。さっきまでリハだったから普通に汗かいてんのにチャッキーはそんなこと気にしていないらしい。おれはちょっと嫌だったから手を振り払えば余計にわしゃわしゃされた。ライブ中はいいんだけど、こういう普通にしている時は自分の汗を触られてるって感じがして嫌なんだよね、綺麗なものじゃないし。

「渡辺も菓子野も汗拭けよ。つうかお前ら汗かくのほんと解釈違うわ」
「汗くらいかくからな? 現実見ろよ早乙女」
「現実見てるから解釈が違うんだよ。アイドルだからってわけじゃなくてお前らは汗をかかなさそうな顔してる」
「由斗君って若干チャッキーとりょおくんに夢見てるよね」
「見てねーよ! 見てねーから解釈違いっつってんだって!」

素早く汗を拭いて帰り支度を済ませた早乙女は、それでもこちらに来ておめでとう楽しみにしてるわ、と早口で言った。ちょっと照れてんじゃん、目も合わせられないのちょっと面白いぞ早乙女。チャッキーもそんな早乙女を見てにやにやしている。つっきーはいつも通り呆れて乾いた笑みを浮かべている。

「おつかれ」
「あ、おつかれ天音ー」

4人で集まっていたら後ろをさっと通っていってそのまま部屋から出ていったのは天音。
小さく音を立てた扉を見て、チャッキーは難しい顔をした。

「…なに、どうした天音。急いでたからあんないつも以上にクールなわけ?」
「あれは急いでるからっつうよりイラついてんじゃね?」
「なんか怒ることあったっけ。ていうか天音って怒るの? おれらがじゃれあってるのを傍観しただけじゃないの?」

早乙女とつっきーも同じように難しい顔をした。
思い出されるのは、さっき映画の出演が決まったと伊藤さんが皆に伝えた時の無表情。
…あれは、怒ってたなぁ。心当たりはあるような、ないような微妙なところ。どうしようかな、この後天音の家行くのになぁ。天音は怒った分だけ罪悪感で悲しくなっちゃうタイプだから、おれがうまく慰められたらいいんだけど、そういう情緒面のサポートっていつまでたっても下手だからなぁ…。うまく彼のもやもやとか苛つきとかを取り除けたらいいんだけど、なぁ。

「もしかして嫉妬? 映画が決まった菓子野のことが羨ましいとか」
「なわけないじゃん由斗君ふざけてんの? 天音はそんなに心狭くないよ」
「ほ、んきで言ったわけじゃねーから」
「空に怒られてやんのー。早乙女、どもってやんの」
「チャッキーも。今はちょける時じゃないから」
「ご、ごめん…」

早乙女とチャッキーがつっきーに怒られてしゅんとしている。平均より大きめな男2人が最年少に怒られて小さくなっているところはなかなかに情けない。

「りょおくん、天音は人のおめでたいことで嫉妬したり逆恨みしたりしないからね!」
「うん、知ってるよ。ありがとね」
「…それもそっか、こっちもごめん。メンバーだもんね。天音とりょおくんってあんまり近い距離の2人って感じじゃないから、なんていうか、…ごめん」
「いいよ大丈夫」

3人は、おれがこの後天音の家に行くことを知らない。なんなら、一昨日も天音の家に行っていたことすら知らないし、おれが養成所に通い始めてすぐはかなりの頻度で彼の実家に泊めてもらっていたことも知らない。
メンバーに天音との関係を隠しているわけじゃない。事務所の戦略としておれは天音とはあんまりつるむなと言われているだけ。メンバーはこの事務所の戦略を知ってはいるけれど、この戦略によっておれと天音がこそこそする必要があるほどに仲が良いことは知らなかった。
ライブでのフォーメーションから、インタビューから、やりすぎかもしれないけれど楽屋に至るまで。天音とはあくまでも大事なグループのただのメンバーという関係であるように振る舞う必要があった。イメージ戦略として、パッと見と話し方が優等生のおれとパッと見と話し方がチャラい印象の天音は撮影でも隣には並ばないし、歌のパートだって一緒に歌うことはほぼない。メンバー内対談もおれは基本的にチャッキーか、つっきーとだったし、天音は由斗かつっきーとのペアだった。

「…メジャーデビューしたら、ずっと続いてたコンビ売りもなくなればいいんだけどな」

チャッキーは独り言みたいにそう言った。チャッキーは、背格好が似ていて2人セットで同じ単発ドラマに出た早乙女、もしくは最年長という括りでおれとのペアでの売り出しが多かった。一緒に売り出すことがほぼない天音とつっきーとは、おれと天音ほどの距離の取り方はしていないけれど、それでもやっぱりカメラのあるところでお互いの良さを出し合える環境にはない。

「需要を作るって意味ではすごくいい売り方だけど、結構キツイよな」

茶化すようにしていた早乙女も苦笑いを浮かべる。早乙女は同じようにヤンキーの雰囲気を持っている天音とドラマに共演したチャッキーとのセットが多い。おれは同級生という括りでセットにされることは稀にあったけれど、空は全くと言っていいほどペアにされることはなかった。

「…ごめん。おれもコンビのイメージが強くて天音とりょおくんはコンビじゃないって思っちゃうんだ…メンバーなのに、駄目だった」
「…そこはね僕と天音の場合は事務所NGもあるし、世間に不仲とまではいかないけどキャラが違うからあんまり絡まないんだなって思わせるにはメンバーもその認識があったほうがいいよね。だから、つっきーは駄目じゃないよぉ、合ってる」

つっきーの肩を叩けば、それでもごめんねと謝られた。うーん、意図的にやっている部分も大きいから正直対応に困る。けれどこれもチャッキーの言う通り、メジャーデビューでなんとかなればいいんだけどなぁ。

「その話だけど、新しいレーベルの人もマネージメントにちょっと関わるようになったからたぶん打破できるよ」

ちょっと気まずくなってしまった場の空気をいち早く察したのはグループメンバーではなく、マネージャーの伊藤さんだった。

「えっそれどういうこと?」
「そのままの意味で、今の事務所の売り方だといくら個々の人気が上がっても天井が見えてるからそういったNGはなしで新しい需要を作っていこうって。俺も是非そうしてくれって言っといたし、だから綾の映画のオーディションも行ってこいってケツ叩いたの」
「えっえっ待って! やっぱりオーディションだったの!? すごいじゃんりょおくん!」
「空待て違うそこじゃねぇ、でもすげぇじゃん綾!」

オーディションだった、そうだ、おれが事務所にキャラと違うから駄目だって怒られてもいいから受けたいって思い切った今回の映画のオーディション。
役柄は、映画で起きる事件に関わってくる休止中のバンドのボーカリスト。10代で華々しくデビューして酸いも甘いも知っていて掴み所のない28歳の痩せぎすな男。
自分で言うのもなんだけど、穏やかな美青年とか綺麗どころとかでおれを売りだしている事務所からすると完全にアウトな役で、絶対に受けさせてもらえないし受けようとしたこと自体怒られると思っていた。

伊藤さんが絶対俺が掛け合うからとりあえず受けろと発破をかけてくれて、役を取れなかったらやっぱりイメージ戦略通りじゃないと駄目だって言われちゃうのも嫌で、おれの思うバンドのフロントマンを演じた。おれより7歳も年上の役で難しいどころではなかったけれど、なんとか勝ち取った。

役をもらっても褒められただけで、怒られやしなかった。その時は拍子抜けだったけど、まさかメジャーデビューのことが関わっていたなんて。

「ってことは、俺も今度から空ともっとフッツーに絡んでいっていいんすよね?」
「早乙女みたいな絡み方で天音に話しかけてもいいんですよね!?」
「…一応、少しずつな。でも今までみたいに抑える必要はないよ」
「やったー!! 伊藤さん! 最高!!」

大声をあげて喜んだのは由斗だった。おれはただ声が出なかった。嬉しい、メンバー同士で周りの目を気にしながら話しかけなくていいんだって、こそこそしなくていいんだって。
おれがあまり遊ぶなってNGを出されていたのは由斗と天音だった。この2人と、普通に喋ってもいいんだって。あ、でもキャラはどうするんだろ。

「伊藤さん、それ、普段のキャラは守ったままでってこと…?」
「テレビでは今まで通りキラキラアイドル系でいこうってことになってる。でもファンクラブ発足するって話あっただろ、そこでの活動は自然体でいいよって」
「まじかぁ…まじで、…やったぁ」

意味のわからない穏やか綺麗どころをずっと演じなくてもよくなるんだ。や、意味がわからなくはない、だってこれで売ろうって決めてやってきたから。でもなんでこんなの演じてるんだろうってわからなくなる時もあるから、やっぱり意味がわからないものなんだ。そっか、ずっとキャラを演じてるからドラマでなにかを演じた時に我に帰っちゃうんだな。

「伊藤さんこれ天音にも言った?」
「いや、まだ…」
「まじか! 絶対あいつ喜ぶから! ちょっといらいらしてたのもこれで収まるっしょ!」

早乙女はスマホを取り出した。天音に伝えるんだろう、素早くタップしてメッセージを打っている。電話の方が早いのにメッセージにしているのは電車に乗ってる可能性を加味してだろう。
由斗は、悪いタイプのヤンキーキャラをさせられていたからこういう普通の優しさも全てカットされていた。実際悪知恵働くところはあるんだけど、それでも普通の人として優しい部分を無理に切られてファンの間で叩かれることもしばしばあった。同じグループなのにヒールみたいな役割をさせられて、本人はまあ実際そういうところもあるししょうがねぇじゃんと笑っていたけれど、しょうがないなんてそんなはずもない。…そういうのも、無くなるのか。

「細かいマネジメントの話はまた偉い人から話があるだろうし、とりあえず今はメジャーデビュー前のライブを完成させることに全力になってよ。そこまでは今まで通りのキャラでね。まあメジャー決まってキャラ変えてきたって思われるのも微妙だから今度のライブ前の楽屋映像まとめは自由にしててもいいよ、俺が責任取る」
「責任とって伊藤さん怒られんならしないわ!!」
「言い方が悪かった、俺もお前らが今みたいにがちゃがちゃしてんのすきなんだよ、だから自然体でやって」
「伊藤さん…! マジ感謝…!」
「本当に感謝! まあ俺らが怒られるんだとしても今まで通りとかその話聞いた時点でもう無理でしょー! 無理だわー!」
「チャッキーは今まで通りの方がいいでしょ、トンチキキャラは表に出しちゃ駄目だよ」
「空!? 手厳しすぎない!?!」

幼い頃から芸能界にいることもあってキャラを強制されていないつっきーは、年上のおれ達が統制されているのを見聞きして、接し方に悩んでいた。つっきーの場合は、自分の素でいるのに、周りは皆アイドルを演じていて疎外感を覚えたっていうのもあったらしい。
チャッキーは完全なる王子様キャラを演じていてそれを苦に思ったことはないらしいけれど、ふざけるのは一切許されない正統派を演じてばかりだったからバラエティの収録後はひどく疲れていることが多かった。本当はもっと、今みたいにわざとも天然も含めてふざける人なのに。

「天音から返信きた! 『まじか』だって!」
「反応うっす!」
「天音的にも楽になるのかな? そういう反応みたいなクールなところは素でもあるよね?」
「元々はそうだけど、これはたぶん頭真っ白になってるから…ってあーまたきた! 『電話しろ』ってさ! ちょっとかけるわ」

自分からは電話せずに早乙女にさせるところがちょっと面白い。そういうところは天音が由斗を年上だと認めて甘えているところだったりする。つっきーには電話しろって言わないし。おれはたぶん別で、養成所に入った頃から一緒に過ごしすぎてわけわかんなくなってきてるから電話してよとは言われるけどあっちからかけてくることも少なくなかった。天音は冷めたタイプでクールなヤンキーキャラみたいな? よくわからないキャラを求められがちだったから無口を装うことも多かった。ほんとはゆっるゆるの喋り方でファンの子達がだいすきなのに。

「あ、天音? なに電話しろって…ああいるよ全員」

早乙女がにこにこしているのも珍しい。にやにやしていることが多いのはキャラじゃなくて素だったはずだけど。もしかしたらこれは、メンバーのおれも知らない一面なのかも。

「うん、いいよスピーカーな」

早乙女は画面をタップして、言葉の通り通話をスピーカーにした。

『俺今からハイパーフルスロットルだから』
「っはははやべぇなにそれ! 意味わかんねぇけど本気で飛ばす気じゃん!」
「しかも今から!?」

いつもの淡々とした話し方はメディア向けのものと変わらない。でも少し、楽しげな雰囲気が電話越しでも声から伝わってくる。おれからするとあ、怒ってないかもとちょっとほっとした。

「あー、いいなぁその感じの天音で俺とも会話してくれーそんでファンの皆はコンビ推しじゃなくて箱推ししてくれ頼むー」
『やだよ』
「ふはっ!」
「嫌なのかよ! あーでもその感じがもう、いいよな。今までなら絶対俺も言えないし天音も言えなかったもんなぁ」

見せる一面がアイドルを演じるおれ達じゃなくなるだけだっているのに、見せない今の距離が縮まるのってなんだか変な感じだ。でもつっきーみたいに、演じてる部分が本当なんだって無意識に皆思い込んじゃってたのかもしれない。

『つっきーは今までより雑にするし、由斗はどんどんばちばちにする』
「ドンドンバチバチってなに!?」
「えっ天音に雑にされるのいやだ!」
『綾ちゃんは小出しね。伊藤さんありがとうございます。そんじゃーね』

天音は1人1人に一方的な言葉を投げつけて、一方的に通話を切った。

「…どういうこと? 待って、つうか待って、天音って菓子野のことちゃん付けなの?」
「小出しって、え、お前、少しずつ出すようなものが、あんの?」
「ちょっとずつ、りょおくんと天音が、え?」

ぽかん、ぽかん、ぽかん、と順番に顔を向けられた。

「お前らが思ってるより天音と綾のイメージ戦略って結構キツかったと思うよ」

3人は今度は呆気にとられたような思考が止まっている顔をしている。ああ、やっぱりおれと天音って表でも裏でも近寄らない者同士ってイメージなんだなって思い知らされた。それがこれからは無くなっていくんだと思えば前向きにもなれるけれど、一方で周りが慣れてくれるかなぁなんて不安もある。
伊藤さんは、ぱんと手を叩いた。

「じゃあ帰るぞ。送られるやつは今から出るけど、誰?」
「はい、菓子野お願いしまぁす」
「え、あ、俺も! 渡辺も!」
「……空、メシ行かね?」
「…うん、いく」
「てことで伊藤さん、早乙女と月宮は解散で。おつかれさまです」
「はい、おつかれ」

早乙女と由斗と別れて、伊藤さんに連れられて駐車場へ。
チャッキーはどこかぼうっとしていて考え事をしているような仕草をとる。この人なにか考えている時顔まわりを触る癖があるんだけど、その間は人の話も聞いていないっていうわかりやすいところもある。

「そういえば俺が養成所に入った時なんだけど」
「うん」

考え事が口から漏れちゃったような声だった。こういう独り言みたいなのも結構多い。
一応相槌を打てばちょっとはっとして、おれを見た。会話をする態勢になったなってわかる。

「そん時は天音、綾のことちゃん付けで呼んでたなって思い出した」
「中学生の時だねぇ、懐かしい」
「うん。…でもさっきの天音…と、伊藤さんのキツかったって話で思ったんだけど、今も中学の時みたいな感じなの?」

探り探りという風だった。心配しなくていいし、気を使わなくてもいいのにな。

「そうだったら嬉しー?」
「…嬉しいよ。イメージ戦略のせいでお前ら2人がちょっと仲悪くなったのかって本気で思ってたから」
「ふふ、ちゃき、優しいねぇ」

そういえば彼はグループ結成時に、グループはこう売っていきますってなった時、コンビとして扱われないメンバー達を取り持つようにMCでもインタビューでもしてくれてたな。MCが早乙女になった後、キャラ特有のちょっとギスギスした感じを出した時も自分のボケに切り替えて場の空気を切り抜けたり。3人でMCの早乙女を助けるのはチャッキー、2人がどうしようもなくなったらおれが仕切り直すって何度も話して決めたんだ。

「ちゃきが心配するようなことはなんもないよ」
「…よかった」
「…ただ、さっきは本当に僕に怒ってたっぽいから今からは心配してほしいかも」
「…それはなんとも」

苦笑いしながら頑張れと肩を叩かれた。



****
だいたいおとめげーむのキャラ設定をつけられているという感じです。
渡辺千晃/わたなべちあき
・正当派王子様キャラ。
菓子野綾/かしのりょう
・綺麗系優等生キャラ。
早乙女由斗/さおとめゆいと
・チャラヤンキーキャラ。
南雲天音/なぐもあまね
・マイペースクールキャラ。
月宮空/つきみやそら
・可愛い系弟キャラ。

'21/02/06 15:11 Sat
小話 comment(0) (C)miss'deliberate back

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