家に帰ると友が必ず死んだふりをしています7 





 翌日の夕方。今日は早めに帰ってきた。
「………」
 僕は家に入る直前、深呼吸をした。今度はどんな死に方をしているのだろう。他殺か、自殺か。
 僕は期待と共にドアノブを握り、一息にドアを開けた。そこには──。
「──」
僕の想像を超える世界が広がっていた。その光景をしばらく見つめ、やがてドアを閉じようとした。すると、
「何でドアを閉めるんですか!?」
 エステリーゼ様が、屋根から飛び降りて僕に飛び付いてきた。その姿は『秘密の魔女っ娘MX』。その姿で、屋根から飛び降りてくるのははしたないと思ったが───僕は首を振った。
「……貴女には、ミステリーも愛憎の物語も向いていません」
「そうです?だって、ほら…」
 エステリーゼ様がドアを開けた。すると──
「やったよ、やっちまったよ、おれ……」
 そう呟きつつ立ち尽くす『きらりと光る脇役ザコ』姿のカロルと、床に倒れ伏す『アドリブ大魔王』姿のユーリ。……あまりにもシュールな光景だった。
「『想いを寄せるリタ姫を大魔王・ユーリから奪うため、反旗を翻した雑魚敵・カロル』です!」
「……シュールです、エステリーゼ様」
 自信満々でそう言う彼女に、僕はそう言った。
 嗚呼、僕が昨夜褒めたからユーリが調子に乗った結果がこれか!やはりスルーすべきだった!
 そう後悔しながらも──僕は、キッパリと一言、こう言った。
「凛々の明星は、演劇ギルドではないでしょう!」



『家に帰ると友が必ず死んだふりをしています』



(私、負けません!必ずフレンをぎゃふんと言わせて見せます!――では、次は、ユーリが下町警備員という設定で──)
(やったよ、やっちまったよ、おれ……)
(……そろそろ死んだふり止めていいか、オレ。くしゃみが出そうなんだけど)





▼pixivに掲載中。ずっと載せたかったけど忘れてた。私にしては珍しい長めのコメディ(?)。少しでもくすってしていただけたなら幸いです。


 



[目次]
[しおりを挟む]



main

Top

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -