創作
↑OLD ↓NEW


▼創作
「で? お前今度は、なにが欲しいんだ?」
「ンー…君のその目かなあ」
「いいぜ…代わりに貴様の心臓寄越すなら」
「それは随分と欲張りだね」
「はっ、もっとでけぇモン奪っといてよく言うぜ」
「ハハ、それは御互い様でしょ?」
「悪ィけどコイツは返す気ないからな」
「オレもだよ」
「“心“ほど旨いモンはねぇよなあ」
(好き、に喰い尽くされた心)

▼創作
彼女の総てが愛しいのだ。彼女の細い頸を何度、折りたいと願ったか。絡める細く白い指が良い。口唇をつける。舌が絡んで来ないのが勘に障った。願い通り縄のようにその頸に指を這わせる。ヒッと呼吸が鳴った。なんだかおかしい。下半身が熱い。彼女の目が白目を剥いた、のを見たと同時に射精した悦楽に沈む思考。彼女はもう動かなかった。そっと抱き締める。精液のように白い顔をした彼女が生来見たことのないような美しさと艶美さを醸していて、あまりの愛しさにまた私は射精した。あいしている。
……みたいなちょっとクレイジーな話が書いてみたい。


▼創作
¨電車の乗車口から一番近い席へと滑り込んだ。真横には透明なプラスチックの仕切りがあってそこにもたれるように寄りかかった。 扉が閉まり次の駅へ移動する。着いた先で全く同じように扉を開けた電車に、一番近い扉からブレザーに身を包んだ男子が慣れたようすで入ってきた。始発の次の電車だから、人は多くない。そのままいつもの定位置である仕切りのすぐ向こうに立った彼は、板に体重を預けるように背中を向けた。目と鼻の先にスケルトンの板越しだけれど彼の背中がある、そう思うと触れているわけでもないのにドキドキ。毎朝同じことを繰り返しているのに、よく厭きもせずときめけるものだと自分でも呆れるほどだ。こんなに近くにいる、そう思うと触れてみたくなって、だけどそんなことできるわけもないから、透明な板にそっと手のひらを押し当てた。手のひらから想いが伝わればいい。何もできずに見ていることしかできない自分に気持ちが伏せって、コツンと頭も預けた。微かに伝わってくる気がする温もりを求めて逃げるように目を閉じる。今日もあなたを好きでいます。¨
……BLかNかは想像におまかせ。

▼創作
¨キスしてもいい? そう訊かれた。からもちろん、ダメだと答えた。どこの世界にそんなことを訊かれていいよと答えるやつがいるだろう。言っておくけど恋人じゃないから、俺たち。まあもしこれがかわいい女の子だったら俺もすすんでしちゃうかもしれないが、生憎相手は男だ。フツーに男だ。そしてちなみに親友だったりする。コイツは昔から変わったやつだったが、まさかここまでとは。さすがに予想外だ。ええ〜何でぇ、いいじゃん〜と纏り付いてくるそいつを蹴飛ばした。あ、拗ねてる。どこのマンガだと思うような体勢でしゃがみこんでいる男に思わず笑った。それでも機嫌は直らないらしい。
なんてめんどくさいやつだ。けれどその丸まった背中が妙にかわいく見えてしまって、仕方ないから腕を掴んで思いきり引き上げると、とがった口唇にちゅー。どうだ、これで満足か、そう問いかけると、嬉しそうに笑ったやつの腕に捕らわれた。一回じゃ満足なんてしないらしい。¨

▼チョコ×ゼリー(ネタ)
チョコ: へらへらげろ甘。一緒にいすぎると段々いらいらしてくる程。見た目は無駄にいい。ベッドのうえだと鬼畜でビターな一面も。
ゼリー:あっさり元気系。ちょっと淡白に思えるときもあり。平凡だけどそれがいい。
関係: いつもべたべたげろ甘でうざいけど、ふと急に恋しくなっちゃうようなチョコと、平凡だけど居心地のいいゼリーの日常。

▼創作
¨永遠なんて、あると思うの? そう彼女が訊いた。だから、いや、あるわけないだろうと答えた。根っから信じていないふうな口振りで訊いてきたのは彼女のほうなのに、なぜか泣きそうな顔で目を反らす。理解できない。そんなものはプログラムされていないのだ。あなたが誓ってくれればそれは、永遠になるのに。そう呟いた彼女の言葉がわからなかった。きっと、僕の中にデータとして残る限りは永遠と呼べるのだろうけれど、それだって故障してしまえば一瞬で消え去る。それに、僕は彼女を失ってまで存在していられるとは思わない。だって彼女を愛するためだけに作られたのだから。『永遠』にこだわり続ける彼女に、僕はそれを与えることもできないまま、ただ愛し続ける。¨

▼創作
¨大好きよ。そう真っ赤な口唇が囁くのを鯨が口を開けるのをみるように眺めた。真っ赤な爪が俺の頬を辿る。長い爪がウロコみたいだ。目を閉じてみたらそこは深海魚の漂う海底で、ゆらゆら流れにたゆたう虹色人魚が口づけてきたが、どうにも生々しい。舌技がいやにリアル。変なこともあるもんだなぁと思いながら身体に手を這わせていたらそういえばそれが空想だったと気づいて目を開ける。目の前で慣れたように閉じられている色粉にまぶされた瞼をみて、やっぱりウロコみたいだと思った。魚は、好きじゃないのになぁ。¨

▼創作(GENTLE LIE/the Gazette より)
¨私を愛してる? そう彼に訊いたことがある。彼はただのひとことも返事をせず、黙って私の身体に手を伸ばした。触れてはいけないことだとわかっていたはずなのに、なんて馬鹿だったのだろう。涙をぬぐってくれる指は確かに温かいのに、私たちは求め合えない。『最愛のために』そうお互いが決めた。その『最愛』が今はどこの誰かなんて、お互い見えないし、知らなくていい。ただ、気づいてしまいそうになる事実に蓋をする。繰り返すたびに熱を増す優しい嘘に息が詰まりそうで、離してしまいたいはずの手をきつく握った。最後に離すのは、私であると願って。¨






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -