おお振り
↑OLD ↓NEW


▼水泉
"あのバカが付け上がるだけだと思って、ずっと言わずにいたことがある。毎日のように『好きだよ』とあのへらっとした顔でいうものだから、まったく信憑性もなにもあったものじゃない。初めのころこそ気持ち悪いと払っていたスキンシップは、いまとなっては日常に溶けてしまっている。同じように、あいつの『好き』もそのうち意味をなくしていくんだろう。意味を失った惰性の微温湯に頭まで浸り切って、息の出来なくなる日がやってくる。だから、その時のためにとって置いてあるのだ。この曖昧な関係に終止符を打つ、そのために。目を見開いて唖然とするあいつの顔を思い浮かべて、なんだか笑えた。「あっ、いま俺のこと考えてたでしょ〜?」と脳天気に笑う男のあながち間違ってもいない質問にばかめと一言返して小突いてやる。 『俺も好きだ』、そんなの、未だ言ってなんてやらない。"

▼水泉
"好きだよ、と数えきれないくらい伝えてきた。それでも、もちろん泉の態度が変わる訳もなく。俺は相変わらず泉にベタ惚れで、泉は俺をうざったいとあしらって、そんな日々の繰り返しの中、今も泉に後ろから飛びついて細い身体(本人に言ったら殺されるだろうだが)を思いっきり抱きしめた所だ。柔らかい泉の髪に顔を埋めながら、いつもの拳がとんでくることにこっそり身構えてみたけど……おかしなことにさっぱりとんでこない。あれ、と思って泉の横顔を盗み見たら、黙って俯いていて焦った。俺何かしたっけ?!「泉さーん…?」と問い掛ける。するとぼそっと「んだよ…」と低い声がしたから、「どこか具合でも悪い?」と訊けば「んだよ俺が静かにしてちゃ悪いか!?」と今度こそ拳が飛んで来てノックアウト。尻餅ついたまま彼を見上げると真っ赤な顔をして睨みつけてくる泉がいてその理不尽さと愛おしさとでもう一度正面から抱きついた。一瞬身じろぐも抵抗なし。どうやらついに俺たちに、変化のときが訪れたらしい。「…いつまでひっついてんだクソレ」「うっ(ガスッ)」……ちょっとだけ。"
っていう水泉かわいい。泉さん受け入れたからって甘くないよ。甘くみてると痛い目合うよ水谷。





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