青祓
↑OLD ↓NEW


▼雪燐
「な、……雪男?」
「うん?」
「いや、うん?じゃなくて」
「じゃあ…なに?」
「いやいやいや、なにってこっちのセリフだ! なにしてんだよ!」
「え? ……兄さん、そこまでバカだったの、とは訊きたくないんだけど」
「どういう意味だっ」
「見てわかるだろってこと」
「ンなこと言ってんじゃねぇ!」
「はいはい、いいから静かにしてよ、ムードの欠片もない」
「じゃあこの手を解け! そして上から退け! その手を止めろーッ!」
「恥ずかしがることないのに。こういうことには疎いよな、兄さん」
「お前をそんなふうに育てた覚えはねぇー!」
……ナニかは想像におまかせ!


▼雪←燐
「兄さん」
「なんだ?」
「兄さんって……しえみさんの事好きだろ?」
「ッぶ?! え、な、え?!」
「や、そんなに驚かなくても」
「なななななに言ってんだよ雪男くん!」
「兄さん、僕としえみさんが話してるとき、すごいじっと見つめてくるから」
「ッ!や、ちが、」
「え、違うの?」
(お前を見てるなんて言えねぇー!)


▼雪燐
¨兄さんはバカだと思う。学力的にはもちろん、他いろいろな面でも。何事も犠牲なしで解決しようとするところとか、考えなしに危険に飛び込んでいくところとか。極めつけは僕を好きだと言うところ。こんなの、狂ってるとしか思えない。…いまさら兄弟だからとか男同士がなんて陳腐なことは言わないし、いうつもりもないけど、いったいどこを好きになったのかさっぱりわからないのだ。泣き虫で(今はもう泣かないけれど)、弱くて、結局なんの力もない僕を好きな理由が。それでもそんな僕の隣で兄さんは笑う。僕の何よりも大切だと思う、あの笑みで。そして言うのだ、ほんとうに彼らしいと呆れてしまうほど清々しく。……好きになんのに、理由なんかいんの? と。¨


▼雪燐
「なぁ、雪男」
「うん?」
「もし、俺がさ。…悪魔じゃなかったら、」
「…うん」
「俺、きっともっと楽な人生だったんだろうけど」
「……うん」
「それでも、この人生でよかったなって思えんだ」
「……どうして?」
「うーん、うまく説明できねぇけど。ジジイの息子で、お前の双子の兄貴で、」
「うん」
「そんで、こうやってお前の傍に当たり前にいられるって、よく考えたらすっげぇ幸せだなって」
「……兄さんらしいよ」
「ニシシ、だろ?」
「それなら、僕も幸せ者かな」
「そりゃそうだろ!俺のそばにいんだから」
「…っぷ、自分で言う?」
「いーんだよ、俺が幸せにしてやるんだからさ」
「っ……変なとこで男前すぎだよ、兄さん」
「変なとこじゃねぇ、いつもだっつの!」
「はいはい」
「あっ、信じてねーな?!」
「信じてる信じてる」
「雪男のばーか!」
「ばーかって、子供じゃないんだから(笑)……ちゃんと、幸せにしてよね」
「! おうよ!(ニカッ)」

▼燐雪
「兄さん」
「ん?」
「僕の眼鏡、知らない?」
「眼鏡?……何号?」
「え、っと…5号…?」
「いま7号だよな? あー…確か6号は昨日ベッドで邪魔だったからとったやつを枕元あたりに置いただろー…」
「……ほんとだ、ある…」
「で、5号は……あ! 一昨日台所でちゅーしたときに邪魔で外したから、食器棚の所だ」
「……あった……」
「おまえ覚えとけよなー!スペアあるからって忘れちゃかわいそうだろ」
「……せい…ろ」
「あ? なんか言ったか?」
「〜っ、なんでもない!」
(眼鏡とられるときは大体余裕がなくて覚えてられない、なんて言えない…!)
っていう燐雪んまい。

▼雪燐
「兄さん」
「ん? おっ、雪男じゃん。なんだ?」
「明日はバレンタインだよね」
「あ?…ああ、そういえばそうだなぁ」
「もちろん、僕にもくれるよね?」
「はぁ?! なんで俺がお前にチョコやるんだよ」
「なんでって、どうせ兄さん料理好きなんだし作るんだろう?」
「うっ…まぁそりゃあそうだけど」
「ほら。くれなかったら塾の宿題、兄さんだけ倍にしてあげるから」
「はぁっ?!ンだ、その横暴は!」
「へぇ? テストの点あんなにひどくて何か言うことがあるのかな、奥村くん?」
「〜〜っ! くそっ、わーったよ! へいへい作りますとも!」
「楽しみにしてるよ」
「こうなったら俺様の実力を見せつけてやるッ」
「( これで素直に渡せるだろ、兄さん)」
「(っち、雪男のやろう、余計な気ぃ回しやがって。)」
「(むくれてかわいいって自覚ないのかなあ。くく)」
素直にチョコ渡せない燐と、見越して先にあげやすいようにしておく雪男と、そんな雪男の優しさがわかっててちょっと悔しくなっちゃう燐と、そんな燐がかわいい雪男がうまい。


▼雪燐
「い"っ!」
「どうしたの、兄さん」
「あー…紙で指切っちまっただけだからなんでもねぇよ」
「それすでになんでもあるだろう。ほら、みせて」
「ん…」「結構深く切れてるね。痛い?」
「べつに」
「……」
「ぃ"ッ!」
「…うそつきはよくないよ、兄さん」
「え、おまっ、なにやってっ…!」
「兄さんが嘘ついてるかどうか確かめようと思って」
「ッ、性悪が!」
「はは、いまさら」
「雪男のばーか!(いいいいきなり指なめるとか!びっくりすんじゃねぇかっ)」
「はいはい、嘘つきが何いってるの(僕が舐めなきゃ実際痛くなかったんだろうけどね)」
燐で遊ぶ雪ちゃん(^q^)にやにやしてろ





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