ちはやふる
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▼太千
君を愛していた。
それに偽りはないのに、どうしてこの思い出はこんなに苦しいのだろう。
君の幸せを願っていた。
他の誰かのものになっても、背中を押してくれたその笑顔がそこにあり続けるなら、と。
優しい人間でありたい、せめて君の中でだけでも。
そう思うのに、涙で濡れたその頬をぬぐってあげることができない。
”ごめんね”と泣く君を、”大好きなのに”と泣く君を、抱きしめることができない。
もっとも親しかった僕だちの友の元へと去っていく君を、伏せた僕のまぶただけがじっとみつめていた。









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