版権 (A/PHは本田さんの誕生日)



いつか貴方が夢見た幸せを、


※最終回後ネタバレあり。
※捏造部あり。







零を愛しいと思う気持ちを否定しない。
いつもそばにあって、支えて、支えられてきた存在。お互いたくさん間違った選択をしたし、道を歩んだ。それでも、だからこそ、身体が離れても心は離れられないと気付いた。求め合った。
枢は、私の人生のすべて。彼がいなくては私は生きていけないし、彼をいつの日か人間にする、そう決めたからこそ、現在(いま)を歩める。…それでも。零の優しさは、温かさは、枢と違う意味で私を離してはくれないのだ。幼い頃から同じ時間を歩み続けてきた零。人間の私(こころ)は、彼のおかげで在り続けられた。彼を幸せにしたい。いつも、私の幸せを願ってくれるひと。手を取ってくれるひと。枢と同じように、出会えて幸せだ、と言ってくれたひと。今までの憎しみや悲しみですり減ってしまった彼の心を、残りの時間、それを超えるくらいの温かさで満たしてあげたい。
あなたが永い眠りについてから約七十年。色々なこともあったけど、素敵な子供と過ごす穏やかな日々の中でやっと、そう思えるようになった私を、笑って受け入れてくれますか…枢?

『その日が来るまでの間は自分の時間なんだ』
『お前もそれを大切にしたっていいだろ』

数年前のあの日、大好きな頼ちゃんが眠りについて、わかっていたことでもやはり悲しみし沈んでしまったとき。そばで静かに嗚咽する藍堂センパイをみて、零に与えられた時間の限りを意識した。

『お前は俺を愛してる…それでいいだろ…』

最後には命を枢にささげてしまう私に、零の気持ちに応える資格はない。そう思って、今日まで答えを出さずに来たけれど。
悠久の時を生きるわけではない零に、幸せをあげたい。
こんなに私を想ってくれる大切なひとと、一緒に幸せな時間を築きたい。

枢にもらったこの新しい命を育む幸せを、零にも感じさせてあげたい。

『二人は一緒にいるべきだ……一緒に…いてほしいんだ…』

あの日の枢の言葉を、やっと受け止められる。

もう、長い間決着をつけずにいたこの気持ちに、終止符を打とう。

限られた時間を、この大切なひととあふれるくらい幸せに過ごせたなら。
私たちへこうすることができる時間をくれた愛しいひとに、幸せに満ちた温かな光を遺していける気がするから。


もう迷わない、愛してる気持ち。幸せになろう…零。
そしてそのときがくるまで、おやすみなさい…枢。









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