版権 (A/PHは本田さんの誕生日)



枯れ切った荒野だって君と一緒ならどこへだっていけるのに(ユウラビユウ)




横たわった地面から靴音の振動が伝わってきた。先程の戦闘で其処ら中荒れ果てているにもかかわらず、一定のリズムで刻まれるそれはよく知ったものだ。生真面目な性格を連想させるその音に愛しい人間の姿が容易に測れて、自然と笑みが浮かんだ。音はピタリと頭上で止まる。

「何やってんだ、バカ兎」
「そりゃひっでーさ、ユウー。今まさに死闘を潜り抜けた直後だっていうのに」
「レベル2だったろうが」
「あ、知ってたか。や、ちょーっと数が多くてさー」

はは、と目を閉じたまま笑いを溢す。きっと視界を開けば呆れ顔の彼が見下ろしてるのだろう。

「んなにボロボロになりやがって」
「お、ユウってばまさか、心配してくれてる?」
「また団服が無駄になったことを惜しんでんだよ」
「……ほんと毒舌」

心地良い聞き慣れた声。戦闘でくたくたになってそれなりに怪我も負っている身体は、そのまま眠りに落ちそうだ。

「……おい、寝るなよ」
「いでッッ!!」

横腹に鋭い蹴りが加えられ、さすがに痛みで目が覚めたと同時に視界も開いた。予想していた通り、そこには呆れ顔の、しかしいつの間に屈んだのだろう予想外の至近距離に彼はいて、そして、そのまま一瞬漆黒に覆われた視界。

「っ……」

短い時間の後、そっと逆さに触れていた唇が離れる。
やっと理解した頭は(記憶力はいいが、妙に回転が遅いことがある)、あの漆黒は彼の髪か、と間抜けな事を考えた。
ふと離れるのが惜しくなって、おもむろに顔上から退こうとする髪を掴んで軽く引けば素直に再び降りてきたため、もう一度軽く唇を合わせる。今度は離れる間際に軽くそれを舐めてやると、彼が微かに笑んだ気配がした(見えはしなかったが)。

「……ユウ」
「なんだ」
「いま、ものすごーっく嬉しいんだけど。……なんか、どうしたらいいさ?」
「知るか。さっさと帰るぞ」

相変わらずぶっきらぼうな彼が、しかしわざわざ此処に迎えに来てくれただけでも嬉しいのにこんな不意打ちをしてくれて、もうどうしようもなく、たまらないほど愛しくなった。抱き締めたい。

先に歩いていってしまった彼を追いかけるべく勢いよく起き上がると、実行すべくその背を目指す。
もちろん、野外でそんなことをしてどやされる(半殺しにされかねない)ことはわかりきっているが、後悔なんて後ですればいい。


(あいしてるさ、ユウ)
(……きもちわりぃ)



















抱き付いて半殺しになるなら、あんたら今やってたことどうなんのよと思ったひと。スルースキル発動!











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