瓔香短編 | ナノ


短編 (※はNL)






リビングの入り口に立つあなたの言ったことがよく理解できなかったの。そろそろ爪は割れてきてるし唇にだって血が滲んできてるわこれ以上私に怪我をさせないで。私の癖、よぉく知っているでしょう?ああほらそんな顔しないで、どうして泣きそうな顔なの恐怖に歪んでいるの逃げ出そうとするの、いますぐ抱き締めてよねぇいますぐに。ああその芳しい首筋も綺麗な瞳もすらりとした体躯も、蕩けそうな声だってなにもかも愛してるの好きなのずぅっと一緒よね離さない!……ああ、そうよこうして触れて私に触れてあなたに触れて触れて触れて愛を確かめ合うの。待ってそっちは違うわ出口へ向かうなんて恥ずかしがり屋なのね、さあ寝室に向かいましょうこっちよ。真っ白なシーツによく映えるあなたの黒髪ああ素敵な予感ふたり溶け合うの、ただあなたのその涙は不釣り合いねどうしたらいいのかしら。ちょっと蹴らないで痛いわああまたほら私の爪が一枚一枚割れて唇から一滴一滴血が流れて私の悪い癖。言うことを聞いてくれないからこうなるのよ悪い癖はあなたのせい、私ワガママなんて言ってないわ。一滴一滴あなたの肌に落ちてあなた怯えて私わらって、ああ幸福、とっても緋が似合うのねその唇に塗ったらなんて素敵なのかしら染めたい染めたいあなた染めたい。ほらほら暴れないでどこまで恥ずかしがり屋さんなのかしら平気よ私達なんどもなんどもなんども慣れっこじゃないさあ見せてねあなたの素敵なカラダカラダカラダ溶け合いましょう逃がさない、え?帰る出ていく警察?おかしなひとね、何をいってるのここがあなたのいるところ私たち恋人出ていくなんておかしいのよ。どうしたの待って、まってまってまってベッドから降りるなんて許さないここは私達の楽園!きっと変なものでも食べたのねそれで神経が参ってるのでしょう大丈夫よああそんなに落ち着けないのなら眠れないのなら私が手伝ってあげるから。さあ眠りなさい眠りなさい眠りなさい眠りなさい青白いあなたの顔に映える私の血、血、血、血が血が血が血が青白い顔に血が血が血が血が血が血が血が血が。

柔らかい唇つめたい唇くちづけてなんて細い首なのかしら細すぎてあれほらもう息すら感じられないわ、おやすみ私のいとしい人。平気よなにもかも明日になったらいつもの私達。ずぅっと一緒触れて私に触れてあなたに触れて触れて触れて触れて触れて一緒に眠ってまた触れてそうしてどこまでも溶け合うの、なぁんにも変わらないでしょうねえそうでしょう。………ああ、ただひとつそうねひとつ。あなたはもう喋らない、ただそれだけが、











私が覚えてるあなたの最後の言葉。終わりにしましょう、甘い甘いそれがどういう意味かなんて、私には、わからないの。



















ついにやりました百合(^ω^)
物語でもなんでもない。