-Yuuichi ver-



  −−ぽかぽか


       −−ぬくぬく



今の状況を擬音語で表すと、こんな感じだろうか。



太陽が大分高い位置に上った頃、俺は満たされた気持ちで目を覚ます。
胸には、すり寄るように俺の胸で縮こまる珠紀。
この瞬間、俺たちを阻むものは何一つ無い。

俺と珠紀は、あの民家に来ていた。
鏡の事件を解決させ、ここで夜空を見たいのだという珠紀の願いを叶えるために。

珍しく他の守護者がいないという状況に、自然と珠紀を抱きしめて口づけを落としたら・・・止まらなかった。

床に無造作に散らばる俺たちの衣類と、偶然見つけた1枚の毛布。
これだけが今、この空間に存在した。

素肌で感じる体温。
バケモノであるこの俺が、心の奥底で切実に願ったものが今ここに・・・。
目を逸らし、避け続けてきた運命と向き合うことで手に入れたかけがえのない存在。

珠紀は、『俺はバケモノなんかじゃない』と訴え続けてくれた。
ゲントウカの力を抑えられず妖狐に姿を変えたあの時も、珠紀はずっとそばに居続けてくれた。

『人間じゃない』と自己防衛の為に作っていた壁を易々と壊し、包んでくれた優しくて細い腕。

この細い体にはどれだけの負担が圧し掛かっていたのだろう。
鬼斬丸の封印・鏡の事件・・・。
昨夜の珠紀も不安を隠せず、涙していた。

手に入れた平和はいつまでもつのだろうと・・・。

皆の前では絶対に弱みを見せたがらない珠紀。

俺の前で位は、いつでも泣いたらいい。
そしてその後に、心からの笑みを見せてほしい。

お前がしてくれたように、今度は俺がお前の支えになろう。

先祖が愛した女を、自らも愛す。
初めて顔を見た時、お前の存在が俺をこんなにもかき乱すとは・・・正直思いもしなかった。

初めての行為がこんな場所で、珠紀に負担をかけてしまったのではないだろうか。

俺自身、自分の自制心は強い方だと思っていたし、真弘や拓磨のように感情を表に出すことも得意ではないからお前に不安を与えてしまうかもしれない。

だから、お前が望むだけの愛を捧げよう。

内に宿るお前への想いは、こんな言葉では表せないほどに募っているというのに。
言葉にするということは難しいな。

これからの一生をかけて、ゆっくりと伝えていこう。

「愛している」

この言葉を・・・・・。



アトガキ
祐一だけ書いてなかったことを思い出し、書いてみた。
大分前にプレイしたので若干うろ覚え(笑)
ご容赦下さい。
ご閲覧ありがとうございました!

トップへ戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -