椿×梓 R18


椿が傍に居ないだけで

こんなにも胸が苦しくなるのは、どうしてだろう。

椿の声を聴くだけで

こんなにも心が満たされていくのは、どうしてなんだろう。

いつから、僕の心はこんなにも…

椿で埋め尽くされていたんだろう…――。






「…寒くて眠れない…。」

呟いた後で、それは違う…と心の中で思った。

寒くて眠れないんじゃない。椿が隣に居ないから、眠れないんだ。

時計を見ると深夜1時を廻っていて、僕は小さく溜息を吐いた。

いつもならこの時間は椿の部屋で過ごしている。

椿、今頃何しているのかな…?もう、寝ちゃったかな…?

椿を想っていたら急に寂しくなってしまい、僕は枕元に置いてあった携帯だけを手に取ると部屋を飛び出した。



椿の部屋の前に着きチャイムを鳴らそうとした瞬間、上着のポケットに入れていた携帯が鳴った。

「わっ…!誰だろう、こんな時間に……って、椿…!」

着信は椿からで、僕は慌てて通話ボタンを押した。

「もしもし、椿…?」

「あ、梓ー?こんな時間にごめんなー?起こしちゃった?」

椿の優しい声に、僕は気付いたら涙を流していた。

「…ううん、起きていたから大丈夫……。どうしたの?」

携帯越しに聴く椿の声はいつもより低く聴こえて、僕の胸は高鳴る。

「んー…何か寝付けなくて、そしたら急に梓の声が聴きたくなって…あれ?梓、もしかして今、俺の部屋の前に居るの?」

「えっ…う、うん…椿に逢いたくなっちゃって…。」

「何だよーそれを早く言えって!廊下寒いだろ?今開けるから待っててー?」

椿の足音が近づいてきて、ドアがそっと開く。

ドアが開いた瞬間に、僕は椿に抱き締められていた。

「梓、身体冷たくなってる…ごめんな?すぐに気付いてやれなくて…。」

抱き締められているから表情は見えないけれど、きっと今、椿は泣きそうな顔をしている。

耳に椿の熱い息がかかり、僕は身体が熱くなっていくのが解り軽く身を捩らせると、椿の背中に両腕をしっかりと廻し瞼を閉じた。

「…いいよ、そんなこと…椿が温めてくれるって信じているから…。」

「…梓に、俺の体温…全部あげたいくらいだよ。…中、入って。」

椿に促されるまま部屋の中に入ると、椿に後ろから抱き締められた。

椿の鼓動が伝わってきて、僕の胸は高鳴る。

僕はそっと椿の腕に自分の手を添え、椿に問い掛ける。

「……ねえ、椿。僕…椿の事、好きでいてもいいんだよね?」

自分でも驚く程震えた声が唇から漏れ、一瞬沈黙が流れた。

椿は僕の前に周り込み僕の頬を優しく撫でると深く頷いた。

「…そんなの、当たり前じゃんか…!俺、梓に興味失くされたらやっていけねーもん。梓が他の誰かのものになるとか、マジありえない。」

椿の強い想いを聴いて、僕の瞳からは安堵感からの涙が流れ落ち、頬を濡らしていく。

「良かった……ずっと、不安だったんだ。最近、椿との距離が少し遠くなった気がしていたから…でも、違った。椿はいつだって僕のすぐ近くに居たんだね…。」

「梓……不安にさせてごめん…。俺はいつだって、梓の事で頭が一杯だよ…今だって…梓の事、メチャクチャにしたいなんて考えてる…こんな事想うの、梓にだけだよ…。」

僕の涙を拭ってくれる椿の指の温もりが、椿の掠れた甘い声が、僕の脳を痺れさせていく。

このまま溶けてしまうんじゃないかと思う程、僕の身体は熱くなっていた。

椿の唇が、額へ、鼻先へ、瞼へ、頬へと滑り落ちてくる。

くすぐったい…と思った瞬間、唇に甘い口付けが降ってきた。

薄く唇を開くと、椿の熱い舌が咥内へと滑り込んでくる。

舌を撫でるように舐められ、背中がぞくんと粟立つのを感じた。

「ん……っ…は、ぁ………っ…つば、き……。メチャクチャに…して…?僕も…我慢できないから…。」

椿の首に両腕を廻し、誘うように身体を密着させると潤んだ瞳で椿を見つめた。

「っ…!そんな表情で、そんな事言うなよ…優しくできなくなるじゃん…。」

椿は切なげな表情でそう言うと、僕の身体をベッドに押し倒し、首に軽く歯を立ててきた。

「ひっ…や、痛っ……ん…ぁ……っ…椿……っ…。」

噛み痕を舌で舐められると、痛い筈なのに身体がビクンと反応してしまい僕は顔中がかぁっと熱くなるのを感じた。

「ふーん…痛いのに気持ち良いんだ?ここ、もうこんなに固くなってるけど?」

椿の細くて綺麗な指が僕自身を服越しに円を描くように撫で廻す。

焦れったくて、もどかしくて、どうにかなってしまいそうになる。

「んぁっ…は、ぁ…んんっ…つば、き…焦らさないで…?」

両腿を擦り合わせながら、甘えるように椿の服の袖を掴むと、椿は何も言わずに僕の着ている服を静かに脱がせていく。

全部脱がし終えると、露になった僕の身体を熱を帯びた瞳で見つめ、鎖骨や内腿に唇を寄せてくる椿に、僕はどうしていいか分からなくなる。

敢えてあまり感じない鎖骨や内腿を狙って愛撫しているような気がして、僕は思わず不安になってしまう。

強引なように見えて、優しくて遠慮がちな椿の愛撫に、僕は普段よりも敏感に身体が反応している事に気付き顔が熱くなる。

「梓……どうしてほしいか、言って…?俺…梓からおねだりされたい。」

「っ…僕、の…固くなってるの、触って…?あと…その…っ…乳首、と…お尻も…僕の感じる場所、全部…愛してほしい…。」

言った後で恥ずかしくなり、僕は思わず目をぎゅっと瞑った。

「…梓。目、閉じてたら余計に感じちゃうかもよ?それに…俺は、梓の熱を帯びた視線を感じながら梓を気持ち良くさせたいんだよねー…だからさ、目開けてよ…梓…?」

乳首に指が這わされたのを感じると、僕は思わず目を開いた。

尖ってきた乳首を指の腹でぐにぐにと刺激されると、唇からは甘い声が漏れ出す。

僕の乳首を弄りながら両脚を大きく開かせ、熱く昂ぶった僕自身に舌を這わせてくる椿に、僕は無意識に腰を揺らしてしまう。

「っひぁっ…ん、ぁっ…は、ぁ…ん……っ!つば、き…!あ、ぁっ…!も、イッちゃう…っ!あっ…んぁ、ぁ…っ…ひぁぁっ…――ッ!」

根元を強く握りながら先端を思いきり吸い上げてくる椿に、僕は堪え切れずに椿の咥内目掛けて熱い欲を迸らせてしまった。

椿の喉仏が上下に動くのを濡れた瞳で見ていると、椿の指が達したばかりの僕の秘部に滑り込んできた。

椿の指が思ったよりも熱くて、僕は思わず身体をびくんと震わせ煽るように椿の指をきゅうきゅうと締め付けてしまった。

「梓ってばどんだけかーいいの…?俺の指…そんなに離したくないんだ?締め付けちゃってヤラシーね…?」

グチュグチュと卑猥な水音が耳に届く度に身体中が粟立つのを感じ、僕の唇からは甘い吐息が漏れてしまう。

椿の指が前立腺を何度も掠め、達したばかりの僕自身は再び固く勃ち上がっていく。

「…っ…もう…っ…指はいいから…椿の、熱くて固くなってるそれ…僕の中に挿れて…ぐちゃぐちゃに…して…?」

「梓……俺が欲しい…って言って…?」

心なしか、椿の声が震えているように聴こえて、僕はそっと椿の手に自分の手を重ね、ゆっくりと唇を開いた。

「……椿が欲しいよ……椿の全てが…愛しくて、堪らない…だから…早く、僕に椿を感じさせて…?椿と…ひとつになりたいんだ…。」

僕の言葉に応えるように、椿の欲の塊がゆっくりと僕の中に埋め込まれていく。

「梓…っ!梓の中…すっげ熱い…俺の、溶けちゃいそうだな…っ…動いてもいい?」

全部挿入ると、耳朶に唇を寄せて問い掛けてくる椿に、僕はこくこくと頷くと椿自身を更に深く咥え込もうと腰を妖しく揺らした。

「…ひぁっ…んぁ、ぁっ…!は、ぁ…ん…ぁ…あっ…!椿の…奥まで、当たって…気持ちいい…っ!…あっ…んぁぁっ!つばきっ…椿…好き…好きだよ……!」

最奥を激しく突き上げられる度、艶めかしい声が唇から漏れる。

次第に恥ずかしさも忘れ、僕は椿の背中に両脚を巻き付けエッチな言葉を口にしてしまった。

椿はそんな僕を切なげな表情で見つめると、僕をぎゅうっと抱き締め、そっと身体を離すと僕の頬を指先で優しく撫でてきた。

「っ…!あずさっ…!俺も…俺も梓が好きだ…苦しいくらい、梓の事だけを…愛してる…っ!」

「椿…僕も、愛してる…んっ…ん、んっ…んん…っ…――ッ!」

僕が掠れた声で呟いた刹那、椿の唇が僕の唇に重なった。

深い口付けに酔い痴れていると、突如僕の中に椿の熱い精液が放たれ、僕は身体をビクビクと跳ねさせると椿の舌を追いながら自身から熱い欲を迸らせた。



「なあ、梓…梓は、いつまでも…俺だけの梓で居てくれる?」

行為の後、椿の胸に頬を擦り寄せて甘えていると不意に椿の不安気な声が聴こえ、僕はそっと顔を上げ椿と目線を合わせた。

「椿も……僕を想って不安になってくれるんだね。…僕はいつだって、椿だけのものだよ。だから…いつも僕の隣に居て?僕を…ずっと、放さないで…。」

「今日、梓が不安そうにしてて思ったんだ…どうしたら、この梓への愛の全てを、梓に伝えられるんだろうって。どうしたら、いつもみたいに笑ってくれるんだろうって…。」

椿の睫毛が切なげに揺れ、視線が絡み合う。椿の不安を取り除いてあげたくて、僕は椿の唇を自分の唇で塞いだ。

ほんの一秒足らずで唇を離すと、椿の腕が僕の後頭部に廻されそのままグイッと引き寄せられ再び唇が重なり合った。

そして僕達は、眠くなるまで互いの唇を味わいつづけたのだった…。


椿が傍に居てくれるなら、他に何にもいらないよ。

僕が心から必要だと思っているのは、椿…キミだけなんだから。

ねえ、僕がこんなに椿のことを愛おしいと思うようになったのは

椿がずっとずっと、僕のことを好きだと言い続けてくれたからかもしれない。

どんなにありふれた言葉でも、椿が僕のためにくれた言葉なら、それは僕にとっての特別になるから…――。

ありふれた言葉をきみの唇が特別にする
(だからこれからも、そのままの君で僕の隣に居てください)

end.




久しぶりに椿×梓を書きました。
久しぶりのメインCPなので、愛情を込めて書いたつもりです。
梓が不安になると、椿も不安になる…そんな風に心と心が繋がっていたら、凄く素敵ですよね。
やっぱり何だかんだで椿×梓が一番好きだという事に最近気が付きました。
交換日記というよく解らないコンテンツもあるくらいですしね(笑)
皆さんに少しでも気に入って頂けたら嬉しいです。

素敵なお題は寡黙様よりお借り致しました。ありがとうございました。



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