祈織×琉生 R18 詩様、倉科翡翠様リク


祈織くんを見つめる度、息が出来なくなる程苦しくなる。

時折見せる鋭い視線と、苦しそうな表情の理由を僕は知りたいと思った。

この想いを知ったら、祈織くんはどう思うんだろう…?

祈織くんを想うだけで、こんなにも切なくなる。

ねえ、祈織くん。

この気持ち、受け取ってくれませんか…――?




「もうこんな時間か…リビングに行っても、誰も居ないかな…?」

深夜0時。

漸く仕事が終わった僕は、急ぎ足でマンションへと向かっていた。

すると、マンションから勢い良く飛び出してくる人影が見えて僕は思わず足を止めた。

「…祈織くん?どうしたの…?こんな時間にそんな格好で外に出たら…風邪、引いちゃうよ…?」

その人影の正体が祈織くんだと分かると、僕はすぐに傍に寄り祈織くんの顔を覗き込んだ。

「…琉生、兄さん…僕は…僕が怖い…。」

暗くて、祈織くんの顔が良く見えない。

けど、僕には祈織くんが泣いているようにしか見えなくて…気付いたら僕は、祈織くんを抱き締めていた。

「…祈織くん。大丈夫…大丈夫だから…。マンションに入ろう…風邪、引いちゃうから。」

僕は自分の首に巻いていたマフラーを祈織くんの首に半ば強引に巻き付け、祈織くんの髪を撫でた。

「……琉生兄さんの匂いがする…。」

「………!」

祈織くんがぽつりと呟いた言葉に、身体の中の血液が一気に下半身に集まっていくのが解った。

それを悟られたくなくて、僕は聴こえない振りをした。


マンションに入り、リビングへ向かおうとすると不意に祈織くんの手が僕の上着の裾を掴んだ。

「……リビングには行きたくない。琉生兄さんの部屋に泊まる…。」

「…そう………え…!?僕の部屋に…泊まりたいの…?」

「………嫌なの?」

言葉が少なすぎて、祈織くんの気持ちが読めない。でも、その瞳は不安気に揺れている。

きっと、一人になるのが怖いだけだよね…。なら、兄として突き放す訳にはいかないよね…。

「…嫌じゃないよ。祈織くんと一緒に寝られるなんて、嬉しいよ…?」

「…一緒に寝るだけなんて、僕は嫌だよ…。琉生兄さんに…触れたい…見た事のない場所も見たい…琉生兄さんの、全てが知りたい。」

心臓が壊れてしまうんじゃないかと思うくらい、祈織くんの言葉がダイレクトに僕の胸に伝わってくる。

「…それって…僕の事が好き…ってこと…?」

「そうだよ。…さっき、部屋の窓から琉生兄さんが歩いてくるのが見えて…急いで走ってマンションの外に飛び出したんだ。そしたら、琉生兄さんが心配してくれたのが解ったから…この際だから伝えようかと思って。」

「え…?じゃあ…さっき辛そうな声で言ってた言葉は…?」

祈織くんは爽やかに微笑み、僕の腰を引き寄せると、耳元で囁いた。

「…琉生兄さんの気を引く為の、その場で考えた台詞だよ。琉生兄さんってば、すぐ信じちゃうんだもんな…そんなところが可愛いんだけれど。」

「…ッ…ぁ…あんな風に震えた声で言われたら、誰だって…信じちゃうよ…。」

「…琉生兄さん、感じるの?耳…。ここ、反応してるよ?」

廊下だというのに、祈織くんは僕の股間をツツ、と指先で弄る。

思わず身体を震わせると、甘い声が唇から漏れた。

「ん…や、祈織く…っ…部屋まで我慢して…?部屋に入ったら…何しても構わないから。…ね?」

「僕は…琉生兄さんとなら、バレたって平気なのにな。」

祈織くんが悲しげに笑う。その表情に、僕は心を奪われた。

その悲しそうな笑顔は、時折見せる苦しそうな表情と良く似ていて。

笑っているのに、すごく悲しそうで…目が離せなくなる。

その悲しげに揺れる瞳に僕だけを映して欲しいと願っては、その考えをいつも必死で打ち消してきた。

この想いを、伝えるつもりは無かった。ずっと片想いで構わないと、そう思っていた。

触れてしまえば、粉々になって消えてしまいそうで怖かった。

一度触れ合ったら、後はどんどん欲張りになっていくだけ。

だから、今まで必死で我慢していた。でも、もう限界かもしれない。

祈織くんも、僕を好きだと知ってしまったから…。

「…僕も、早く…祈織くんに触れたい。だから、早く僕の部屋に行こう…?」




部屋に着くと、祈織くんにベッドに押し倒され、首に唇を押し当てられた。

「琉生兄さんの首…白くて綺麗だ…。痕付けたくなっちゃうな…。」

首筋を舐められ、肌が粟立つ感覚を憶え、僕は思わず悩ましい声を上げてしまう。

「んぁっ……!い、おりくん…っ…もっと…もっと、僕に触れて…?」

潤んだ瞳で見上げると、祈織くんは切なそうな瞳で僕を見つめた。

祈織くんの指が僕の頬に優しく触れ、そしてそっと唇が重なった。

唇を薄く開くと、祈織くんは僕の舌を撫でるように舐め廻してくる。

「…琉生兄さん…キスだけで、もうこんなに固くなってる…興奮してるの?」

乳首を甘噛みしながら、服越しに僕自身に触れてくる祈織くんに僕は思わず脚を固く閉じた。

「…だって…祈織くんに触られてるんだって思ったら…エッチな気分になっちゃったんだもん…っ…。」

「…脚、閉じないで?僕に全部見せて…琉生兄さんの、今…どうなってるのか…教えてよ。」

耳元で甘い声で囁かれ、僕は我慢できずに熱い欲を放ってしまった。

祈織くんは僕のしているベルトを外すと、僕の履いているジーンズを下着ごと脱がしてくる。

そして、達したばかりの僕自身に愛しげに指を添えると、舌を這わせてきた。

「んぁっ…!や、ぁっ…ん、は、ぁ…んんっ!祈織く…っ…ぁ…っ!」

「…すごいな…。イッたばかりなのに、もうこんなに溢れてくる…僕も興奮してきちゃったな…。」

祈織くんの股間に目線を向けると、そこは既にパンパンに張り詰めていて…僕は思わず濡れた瞳で祈織くんを見上げた。

「…祈織くんの…触ってもいい…?」

「…訊かなくたって、触れていいのに。僕が琉生兄さんを拒むわけないでしょう?」

祈織くんの優しい言葉に、僕の瞳から大粒の涙が溢れた。

「…祈織くん…ありがとう。大好きだよ…っ…!」

祈織くんに抱き付くと、祈織くんは何も言わずに僕の髪を撫でてくれた。

そっと祈織くん自身に触れ、ゆるゆると扱いていくと祈織くんの息が徐々に乱れていく。

「んっ…は、ぁ…琉生、兄さん…っ…。」

「祈織くん…気持ち良い…?」

先端に舌を這わせると、祈織くんは身体を大きく震わせ、僕の顔目掛けて熱い精を放った。

「…っ!琉生兄さん、ごめん……っ!…っ…。」

突然、僕の顔を見つめたまま固まってしまった祈織くんの肩を揺さぶると、祈織くんは僕の脚を大きく開かせまだ閉じたままの僕の秘部に自身を宛がいそのまま最奥まで貫いてきた。

「んっ…あっあぁぁっ…!んぁ、はっ…ぁ、んん…っ!祈織くん…!激しっ…ひぁっ!あ、ぁっ…ぁ………!」

「琉生兄さんの中…狭くて、温かくて…すごく、気持ち良いよ…っ…。」

祈織くんが耳元で恥ずかしい事を言うから、思わず身体に力を入れてしまった。

「ん、やっ…!恥ずかし…っ…!あ、ぁぁっ!ん、ぁっ…は、ぁ…んっ…!祈織くん…好き…!」

「っ…琉生兄さん…僕のを締め付けながら、そんな可愛い事言われたら…僕…っ…っく…っっ…!」

祈織くんは僕の頬に口づけると、腰の動きを更に速め、最奥を何回か擦り上げると僕の中に欲望の証を放った。

その刺激で僕の興奮は最高潮に達し、僕も自身から熱い欲を放つと、祈織くんの胸に凭れ掛かるように抱き付いた。



「…ねえ、祈織くん…これから、辛い事があったら…僕を頼っていいんだからね?僕…祈織くんの支えになりたい…。」

行為の後、祈織くんの胸に頬を寄せながら、掠れた声で僕は言う。

祈織くんは優しく微笑み、僕の頬に手を添えながら、僕の瞳を見つめて囁く。

「…琉生兄さんが隣に居てくれるなら、僕は辛くなんかならないよ。だから、琉生兄さんは…ずっと、僕の隣で笑っていて。」

「…うん…絶対に、離れない。ずっと、ずっと…祈織くんの隣に居る。大好き…祈織くん…。」

やっと、君の心に触れられた気がする。

祈織くんの優しさが、温もりが、僕を幸せにする。

こんなにも苦しくて、温かくて、切ない気持ちは

きっと、もう…祈織くんだけにしか感じる事はないだろう。

僕の全てが、祈織くんを欲しがっているんだ。

祈織くんの優しくも強引な口づけも、僕の身体を弄る指の動きも、僕を見つめるあの鋭い視線も…

何もかもが愛しくて、もっともっと祈織くんの事が知りたくなる。

この気持ちの全てを伝える勇気は、今はまだないけれど

少しずつ、君に話していこうと思う。

君の温もりに包まれながら、僕は君への想いを巡らせていた…――。


この想いは、君を幸せにできますか
(僕は君の心に、寄り添えていますか)

end.



今回は、詩様、倉科翡翠様からのリクで祈織×琉生を書いてみました。
3日間も更新できなかったので頑張ろうと思ったのに、気付いたら大してエロくも切なくも甘くもない話になっていました…。
祈織の事が好きなのに、傷つけてしまいそうで、欲張りになってしまいそうで必死で我慢する琉生。
それを解っているのかいないのか、不意に琉生に触れてくる祈織。
そこからはいつも通りの流れで愛し合って頂きました。個人的には割と美味しかったです。
詩様、倉科翡翠様、リクエストありがとうございました。皆さんに少しでも気に入って頂けたら嬉しいです。

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