要×雅臣 R18 たると様、ハムのり様リク


雅兄の傍に居ると、息苦しくなるのを感じる。

冷たい石を呑み込んだみたいに、胸の奥が痞えるんだ。

だけど、傍に居ないともっと苦しくて…

気付いたら雅兄を目で追っている俺が居る。

ただの弟だと思われているくらいなら

いっそ、無理やり奪って嫌われた方がずっといい…。

そうすれば、俺はずっと雅兄の記憶に残れる。

そんな歪んだ考えばかり浮かんでしまう。

ねえ、雅兄…助けてよ。

雅兄の事を考える度…

自分が自分じゃなくなるような気がして

すごく、怖いんだ…――。





「雅兄、ちょっといい?」

いつものように家族で夕食を摂った後、俺は雅兄に声を掛けた。

「要?どうしたの?」

綺麗な瞳で見つめられ、思わず手が伸びそうになったのをグッと堪えると俺は静かに言葉を紡いだ。

「…雅兄に伝えたい事があるんだ。この後…部屋に行ってもいいかな?」

「…うん、分かった。それじゃあ…僕の部屋に行こうか。」

「…ありがと。疲れてるのにごめんね?」

雅兄は穏やかな口調で答えると、俺の手をそっと掴んだ。

こんな風に雅兄の体温を感じるのは子供の頃以来で、俺の胸は震えた。



部屋に上がると、雅兄を後ろから抱き締め、その白い首筋に顔を埋めた。

雅兄はビクッと身体を揺らすと、震える声で問い掛けてきた。

「っ…僕の部屋に来たいって言った理由って…僕にこういう事をするためだったの?」

「…そうだよ。どうしても…雅兄にこうして触れたかった。好きなんだ…雅兄の事が…。」

耳元で囁くように言うと、徐々に呼吸を乱し始める雅兄に俺は堪らなく欲情してしまう。

「んっ…ぁ…要……僕…どうしたらいいのか解らないよ…兄弟同士でこんな事、いけないって思うのに…抗えないんだ…それどころか、もっと触れて欲しいとさえ思ってる…!」

雅兄は固く瞼を閉じると、苦しそうに吐き捨てる。

俺はきっと、雅兄を困らせている…それでも、俺はもう…雅兄を愛さずには居られない。

「…雅兄…苦しませてごめんね。けど、許して欲しい。そして、雅兄の気持ちが俺に少しでも向いているなら…受け入れて欲しい。俺の愛を…俺自身を…。」

俺は真剣な声で言うと、雅兄の身体をそっと回転させ、今にも泣きそうな瞳をした雅兄の唇に深く口付けた。

唇の隙間から舌を挿し込み、そっと絡めると、遠慮がちに絡め返してくれる雅兄が愛おしい。

「ん…んん…っ…ふ、ぁ………っ…かな、め…ずっと、僕から離れないって…約束してくれるかな…?僕は…一回きりだなんて、嫌だからね?」

雅兄の口から出た言葉に、俺は思わず目を丸くさせた。

雅兄の瞳からは、先程までの迷いや戸惑いはもう消え失せていて…ただ真っ直ぐに俺を見つめていた。

その綺麗な栗色の瞳に俺だけが映っていると思うだけで、俺の胸に痞えていた冷たい石のようなものが、少しずつ消えていく気がした。

「もちろんだよ…ずっと、雅兄の傍に居るよ。雅兄が俺を必要としてくれる限り、ずっとね。だから…雅兄の全てに触れさせて?雅兄を感じたいんだ…。」

「……うん…僕も…要の傍に居たいよ…。もっと、僕に触れて?僕だけに……要の体温、頂戴…?」

雅兄の綺麗な指が、俺の頬に伸びてくる。そして…そっと唇が重なる。

互いの咥内を舌で舐め尽くすような激しい口付けに、雅兄も大人なんだなと心の中で感心してしまう。

太腿辺りに雅兄の反応し始めた欲の塊を感じると、俺は雅兄の耳たぶを甘噛みしながら囁く。

「…雅兄…キスだけで感じちゃったの?もしかして…欲求不満だったとか…?」

「んっ…な、何言い出すの!そんなの…仕方ないでしょ…好きな人とキスなんてしたら、誰だって…っ…。」

そこまで言うと雅兄は口を噤んでしまった。照れているのだと瞬時に判断すると、俺は頬が緩むのを堪える事が出来ず、雅兄を思いきり抱き寄せた。

「もう…雅兄ってば、可愛すぎだから…。雅兄がそんな事言うから、俺まで勃っちゃったんだけど?」

雅兄の腰に自分の昂りを押し付けるように身体を密着させると、雅兄は顔を耳まで真っ赤に染め濡れた瞳で俺を見上げた。

その表情は、とても妖艶で綺麗で…俺の興奮は高まっていった。

「あ……もう、こんなに固く…?そんなに…僕が欲しかったの?いつからそんなに想ってくれていたの…?」

「…もう10年以上想ってる。ずっと言えなかった…雅兄を俺の歪んだ愛で縛り付けたくなかったから…でも、結局伝えずには居られなくなってしまったけどね…。」

俺はそう呟きながら、雅兄の身に纏っている衣服を一枚ずつ脱がせていく。

恥ずかしいのか怯えているのか、雅兄の身体が小刻みに震えているのが解り、俺の胸は抉られるように痛んだ。

俺は服を脱がせる手を一旦止めると、雅兄の額に優しくキスを落とした。

「…要?どうしたの…?」

「…そんなに怯えないでよ、雅兄。地味にヘコむから…。」

雅兄の唇にそっと指を這わせると、雅兄の舌が俺の指を愛しげに舐めた。

「…違うんだ…怯えてなんていないよ。僕だって本当は要と愛し合いたいって思ってる…でも、要の気持ちに10年以上も気付いてあげられなかった自分に悔しさと憤りを感じて…それで震えていたんだ…紛らわしくてごめんね?」

この人は、どうしてこんなに優しいんだろう。俺が勝手に好きになって、勝手に想い続けていただけなのに。

俺は雅兄の両頬を両手で包み込むと、その中心にある唇に触れるだけのキスをした。

「そんな事、雅兄が気にする必要なんてないんだよ。今、こうして雅兄と触れ合えて…俺、本当に幸せなんだから。」

「……そう?要がそこまで言うなら…気にしないようにするね。…ところで…要?この格好は流石に恥ずかしいんだけど…脱がすならちゃんと脱がせて欲しいな、なんて…。」

ふと雅兄を見ると、雅兄はワイシャツの前が完全に開いていて、下は下着だけ…という何とも艶やかな格好でベッドに座っていた。

「んー…いいんじゃない?このままでも。全裸よりいやらしい感じがして、そそられるし…俺は好きだけどなあ。あ、下着はちゃんと脱がせてあげるから安心して?」

雅兄の履いているボクサーパンツの上から雅兄自身を撫で廻すと、雅兄はビクンと身体を揺らしながら呆気なく達した。

「んぁっ…は、ぁ……ん…うぁっ…!要…っ…そんなに撫でたら、イッちゃ…うっ…んぁぁぁっ…――ッ!」

「雅兄…速くない?まだそんなに弄ってないのに…やっぱり欲求不満だったんでしょ…?」

雅兄の下着を脱がし、達したばかりの雅兄自身を直に握り込むと、俺の手のひらは雅兄の先走りでべとべとになっていく。

「…ん、あ…っ!だって…僕、一人でする事があまりないから…自然と溜まってきちゃうのは、仕方ないでしょ…?あんまり意地悪言わないでよ…。」

「…そうだったんだ?じゃあ…自分で触る事も、あんまりないんだ?…雅兄…ちょっとだけ、自分で触って見せてくれない?見てみたいな…雅兄の自慰してるところ♪」

「…!あのねえ…いくら僕が温厚な性格だからって、それには頷けないよ?恥ずかしいし…どうして、要が居るのに自分でしなきゃならないのかが解らないし…。」

頬を真っ赤にして俺を睨む雅兄に、俺の鼓動は速くなっていく。雅兄が愛しくて、愛しくて…どうにかなってしまいそうだ。

「…じゃあさ…俺も手伝うから、雅兄も自分で触るっていうのはどう?」

「…そっちの方が恥ずかしいから、僕が折れるよ…イクまではやらないよ?本当にちょっと触るだけだからね?」

「うん、分かってるよ。ありがとう、雅兄。大好きだよ…。」

雅兄は顔を耳まで赤くしながら俺を見つめると、ゆっくりと自分の昂りに指を這わせていく。

優しく包み込むように握ると、ゆるゆると手を上下に動かしていく。

「ぃあっ…は、ぁっ…んん…っ…やっぱり…要に触られる方が…ずっと…感じる……。」

薄く唇を開き、涎を垂らしながら熱を帯びた瞳で見つめてくる雅兄を見た瞬間、俺の理性は音を立てて崩れ去って行った。

「雅兄…っ!ごめん…挿れさせて…?…慣らしてないから、痛いかもしれないけど…そんな淫らな姿見せられたら、俺…っ…。」

「えっ…あっ、ひぁっ…!あ、あっ…んぁぁっ!あっ、は…ぁんっ!かな、め…っ…!」

俺は雅兄の両脚を限界まで開かせると、その中心にある濡れてヒクヒクと収縮している秘部に固く張り詰めた俺自身を宛がい一気に最奥まで捩り込んだ。

激しい律動を繰り返す度、背中に廻された雅兄の腕の力が強くなるのを感じ、俺は思わず雅兄の唇を塞いだ。

「雅兄…っ…愛しているよ…だから…っ…ずっと、雅兄の隣に居てもいいかな…?」

「…ん…っ…うん…いいよ。僕も、要に傍に居て貰いたい…要に…ずっと、愛されていたいよ…っ…。」

「…っ…雅兄の中…俺のに絡みついてくる…堪んないな…っ…ずっと挿れていたいくらいだ…。」

繋がったままの体勢で何度も唇を重ね合うと、限界を訴えるかのように雅兄の中が俺自身をきゅうきゅうと締め付けてくるのが解り俺は思わず眉間に皺を寄せ雅兄の耳元で囁く。

「あっあっ…!んぁっ…!要…っ!…あっ…ん、ぁ…っ…んぁぁぁぁっ――ッ!」

自身を最奥まで埋め込み、先端でぐりぐりと最奥を数回刺激すると、雅兄は悲鳴に近い嬌声を上げながら自身から熱い欲を放ち、俺の胸に凭れ掛かるように抱き付いた。

その後すぐ、俺も雅兄の中に欲望の証を注ぎ込むと、雅兄の身体を力いっぱい抱き締めた。






「雅兄…ずっと、一緒なんだよね?俺達…。」

行為の後、俺は急に不安になってしまい、雅兄に女々しい質問をしてしまった。

「…どうしたの?不安になった?…大丈夫だよ…僕を好きになるのなんて、要くらいだと思うし。」

「…そんな事はないよ!雅兄は…優しくて、可愛くて、放っておけなくて…凄く魅力的なんだから…。」

俺がムキになって言い返すと、雅兄は俺の胸に頬を擦り寄せて甘えるように呟いた。

「…だったら…要が僕をずっと見張っていて?僕が誰にも言い寄られないように…要が僕を守って…。」

「……そんな可愛い事言わないで…もう一回したくなるから。」

雅兄の髪を愛しげに撫でながら困ったように呟くと、雅兄は顔だけを上げて俺に微笑みかけてこう答えた。

「…好きなだけしてくれて構わないよ。それで要の不安が消えるなら…僕は受け止めるよ。」

触れ合う肌から、雅兄の優しく温かな愛がじんわりと伝わってくる。

「…雅兄…好きだよ……ずっと、雅兄だけを見てたよ…。」

「…うん…僕も要の事が好き…。これからは、ずっと…ずっと、一緒だよ…。」

こんな風に、君と抱き合いながら愛を囁き合える日が来るなんて思っていなかった。

だから今は、ただ抱き締めさせて。君の体温を、身体中で感じていたい。

君へのこの愛は、決して綺麗なんかじゃなくて、純白でもなくて…

少し離れたら、嫉妬と寂しさで君を壊してしまいそうな程、歪んだどす黒いものだと思う。

でも、君はそんな歪んだ愛さえも、優しく抱き締めてくれる。

そんな君を…俺は、これからもずっと…守っていくと、この夜に誓ったんだ…――。

「おやすみ、雅兄…。」

「…うん、おやすみ…要…。」

純白の愛ではないけれど
(君の大きな愛が、俺の歪んだ愛を素直なものへと変えてくれるから)

end.



たると様、ハムのり様からのリクエストで、雅臣受を書いてみました。初の雅臣受でした。お相手は要さんにしてみましたが、マイナーなのかな?
あざと可愛い雅臣さんを表現できたかは解りませんが…頑張りました!次はもう少し話をまとめる努力をしようと思います…。
たると様、ハムのり様、リクエストありがとうございました。皆さんに少しでも気に入って頂けたら嬉しいです。

素敵なお題は寡黙様よりお借り致しました。ありがとうございました。



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