棗×梓 R18




いつも、いつでも、俺は梓だけを見てきた。

でも、どんな時でも、梓の一番傍に居たのは椿だった。

俺がどんなに梓を想っても、椿にだけは敵わないと心のどこかで諦めていたんだ。

でも…梓は、そんな俺にいつも優しい笑顔を向けてくれた。

梓を守りたい…どんな時でも、俺には梓だけしか居ないから…。


「梓……元気にしてるかな…。」

梓に会いたい…そう思った瞬間に俺は梓に電話をかけていた。

2コール目で繋がって、携帯越しに梓の声が聴こえた。

梓の声を聴いた瞬間、俺の心臓はドクン…と高鳴った。

「もしもし、棗?」

「…梓。突然電話してごめんな。今、ちょっといいか?」

「…ううん、大丈夫だよ。それで、どうしたの?」

「次のオフ、少しでいい。時間作れないか?

直接会って話したいことがあるんだ。

俺のマンションに来てほしい。

夜ならいつでも大丈夫だから。」

俺が真剣な声色で言うと、梓は少し黙った後、優しい口調で承諾してくれた。

「うん、分かった。じゃあ、次のオフは棗のマンションに行くね?」

「ああ…待ってる。梓と会えるの…楽しみにしてるから。」

「うん…僕も、楽しみにしてる。」

電話を切った後も、俺の胸の鼓動は治まらなかった。

梓の優しくて色っぽい声が、俺は大好きだった。

その声に何度も癒され、そして、何度も誘惑されてきた。

そして、今も…俺は梓を想いながら、やり場のない欲望をこの手で静めようとしている…。

「梓……っ…。早く逢いたい…早く逢って、おまえを抱き締めたいよ…。」


そして、梓に電話をしてから一週間が過ぎた日の夜――。

俺はマンションの前に佇む梓の姿を見つけた。

「梓…来てくれたんだな。」

もう随分待っていたのだろうか…梓の頬は赤く染まっていて、俺は思わず梓を包み込むように抱き締めた。

「棗…夜なら居るって言っていたのに居ないんだもん。待ちくたびれちゃったよ?」

梓はくすっと笑いながら、俺の胸に頬を摺り寄せてくる。

その姿はまるで仔猫みたいで、すごく可愛くて…俺だけのものにしたくなった。

「ごめんな、仕事が思ったより長引いてさ…寒かっただろ?ほら、中に入ろう。」

梓はこくんと頷き俺の指に自分の指を絡めてくる。

どうしてだろう…今日の梓は、やけに無防備で…欲情してしまう…。


部屋に入るなり、梓に後ろから抱き付かれた事に驚いて、俺は思わず梓の手を掴んで解こうとした。

「どうして手を解こうとするの…?棗は…僕に抱き付かれるのは、嫌なの…?」

梓の声が震えている事に気付くと、俺はそっと梓の手を解いて振り向くと、梓の頬に触れた。

「…俺は…梓が好きだから…梓の事なら何だって知ってる。梓の一番大切な人が、椿だって事も知ってる…だから、俺と梓はこんな事をしたらいけないんだ…。」

「どうして…?どうして、僕が椿を好きだって決めつけるの…?それに…棗が僕をここに呼んだのは…僕に気持ちを伝えるためだったんでしょ…?」

梓の瞳には涙が浮かんでいて、俺は我慢できなくて…梓の両肩に手を置くと、その薄い桜色の唇にキスをした。

「…俺の前でそんな無防備に泣いたりするなよ…。どうしたらいいか…解らなくなる。梓を俺だけのものにしたくなる…。」

「…僕は…棗が好きだよ…だから…僕を、ずっと好きでいて…?僕を…棗だけのものに…して…?」

梓は俺の服の裾をきゅっと掴み、誘うような視線を俺に向けてくる。

梓の瞳は熱を帯びていて、俺は思わず息を呑んだ。

俺は梓をそっと押し倒すと、その白い喉に舌を這わせた。

鎖骨にキツく吸い付くと、梓は身体をびくびくと震わせ甘い声を漏らした。

「梓……好きだ…。ずっと…梓だけを見てた…。」

「んっ…ぁ…棗…僕も…棗が好きだよ…っ…。」

梓の唇に自分の唇を重ね、歯列をなぞり舌を入れると、梓から舌を絡めてきてくれて俺の興奮は高まっていった。

梓の服を全て脱がすと、梓は恥ずかしそうに中心を手で覆った。俺はその手に自分の手を重ね、梓の耳を甘噛みした。

「…梓…隠さないで。俺…梓の全てが見たいんだ…。」

「ぁっ…や、ん…っ……棗も…脱いでくれるなら、いいよ…?」

涙目で見上げられ、俺の心は梓でいっぱいになっていく。

梓の事以外は、考えられないくらいに…梓の全てに落ちてしまいそうだよ…。

俺は素早く服を脱ぎ捨てると、梓の乳首に舌を這わせる。

右手で梓自身をやんわりと撫でながら、左手で梓の秘部に触れると、梓は恍惚とした表情で俺を見つめた。

「あっんぁっ…や、ん…も、だめ…出ちゃうっ…あ、あっ…んぁぁぁ―――ッ!」

秘部に指を入れながら、先端に爪を立てると、梓は一際高い声を上げ俺の手のひらに熱い精を放った。

「…梓のイク顔…すげえ色っぽいな。そそられる……。」

「もう……恥ずかしいってば。ねえ、棗……僕も、棗に触れてもいいかな…?棗を気持ち良くしてあげたいから…。」

頬を真っ赤にしながら俺の太腿に指を這わせる梓に俺は思わず喉を鳴らした。そして、梓の手を掴み自分自身に触れさせた。

「…梓に触れるだけで、俺…こんな風になっちまうんだ。早く梓の中に挿れたくて……堪らないよ…。」

「…あ…棗の、すごく固い…それに、大きい…どうしよう…僕……棗が欲しくて…疼いてきちゃった…。」

先程達したばかりの梓自身に目を向けると、そこは再び膨らみ始め先端からは半透明な蜜がトロトロと流れていた。

「…梓…可愛すぎるよ、おまえ。俺、もう…我慢できねえかも。このまま梓を抱きたい…いいよな…?梓…。」

「…うん…いいよ?僕も……棗が欲しいから…。」

梓の頬を優しく撫でながら問い掛けると、梓は頬を赤く染めながら掠れた声で呟いた。

俺は梓の腰を引き寄せ、両脚を大きく開かせるとヒクヒクといやらしく蠢く梓の秘部に自分の熱く昂ぶった自身を宛がい一気に挿入した。

「っ…梓…!好きだ…っ…俺…ずっと…梓を守るから…っ…!」

激しく突き上げる度、梓は切なげな嬌声を上げてはその綺麗な瞳から大粒の涙を溢し快感に堪えていた。

「あっ…ぁんっ、ぁっ…!なつ、めっ…んぁっ…ひ、ぁっ…!僕もっ…僕も…棗が好きっ……んぁ…あ、ぁ…あぁぁぁっ…――ッ!」

最奥を激しく何度も突き上げると、梓は身体をびくんびくんと震わせながら熱い精を放ち絶頂を迎えた。

その直後、俺も身体を震わせながら梓の中に欲望の証を注ぎ込み絶頂を迎えた。

俺が名残惜しげに梓の中から自身を引き抜くと、梓は俺自身をきゅうきゅうと締め付けて甘い声を上げた。

梓と一つになれた事も、梓が俺の腕の中に居る事も…全てが俺にとっては涙が出る程幸せな"事実"だった―――。



「梓……ずっと、ここに居てくれないか?椿の居るあの家になんて…帰らせたくないんだ…。」

「…うん…構わないよ。その代わり……棗は僕から離れられなくなるけど、それでもいい?」

梓を抱き締めながら、小さな声で呟くように言った俺の言葉を、梓は受け止めてくれた。

俺の胸に頬を寄せて、そっと目を閉じる梓の表情を、俺は綺麗だと思った。

これからも、俺は梓の事だけを想い続けるよ。どんな事があっても、俺は梓だけの傍に居るよ。

俺が梓のためにしてあげられる事は、それくらいしかないから…―――。

何もかも君のために
(君のためなら、何だってできる気がするんだ)

end.
梓受を増やして欲しいとのリクエストがありましたので、書いてみました。
ナツアズはどうしても切なくしたくなります。
私はラブラブなナツアズよりはツバアズ前提のナツアズが好きなので(笑)



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