椿×棗 R18



椿を好きになればなるほど、欲深くなっていく

他の誰にも触れさせたくないなんて、子供じみた事を考えてしまう

こんな歪んだ独占欲で椿を縛り付けてしまうくらいなら、距離を置いた方がいい

そう頭の中で思っては、この心がその考えを頑なに拒むんだ

椿から離れるという事は俺にとって、苦痛でしかないと解っているから…――。






ある日の夜…――。

俺は偶然街中で椿と梓を見かけた。

声をかけようか迷っていると、椿が俺に気付いて駆け寄ってくるのが解り俺は身を強張らせた。

椿の手が、梓の手にしっかりと絡められていたからだ。

椿が梓にべったりなのはいつもの事なのに、今は凄く胸が痛む。

「おーい、なーつーめ!ぐーぜんだなー。今から帰るとこー?」

「…ちょっと、椿。少しは棗の気持ちを考えてあげないと駄目でしょ。」

梓は椿の手を振り払うと、強めの口調で椿を叱った。

「…椿、梓…俺、もう帰るから…じゃあな…。」

「棗…!待っ…――ッ!」

色んな気持ちが溢れ出しそうになるのを必死で堪えると、俺は椿の言葉も聴かずに走り出した。


やっとの思いで自分の部屋に辿り着くと、玄関の扉に凭れ掛かるようにしゃがみ込む。

椿が好きなのは、俺じゃなくて、俺の身体なんじゃないかな。

セックスの最中は、すごく優しくて可愛がってくれる…。

でも、夜が明ければ椿はこの部屋から帰ってしまっている。

朝まで隣に居てくれた事なんて数えるくらいしかない。

椿に愛して貰えているという自信が失くなってしまいそうで、すごく怖い。

「…椿…寂しいよ…っ…うー…ひっく…う…っ…。」

堪え切れずに大粒の涙が俺の瞳から溢れ出した、その時だった。

いきなり玄関の扉が開き、俺の身体はそのまま外へと飛び出していった。

でも、不思議と痛くない。誰かが抱き留めてくれたからだ。

その"誰か"が椿だと気付くと、俺は慌てて涙を拭った。

「うわっ…!?っと…セーフ…棗、どーして何も言わずに居なくなっちゃうんだよー!俺、すっげ心配したんだからな?」

椿は俺の身体を咄嗟に抱き留めると、耳元で怒っているような拗ねているような口調で問い掛けてくる。

「…俺だって本当は責めたかった…他の男に触れないでって…でも、そんな事を言ったって椿が梓に触れないでいるなんて無理だろ?だから…」

「責めていーんだよ…もっと、棗の気持ちを俺に伝えてよ。俺の知らないところで棗が嫌な想いしたり、悲しい想いしたり、泣いたりしてるなんて…俺は嫌だから…。」

「…椿……じゃあ、言う…俺は…椿にもっと愛されたい。椿にもっと触れて欲しい…いつも俺の事を考えていて欲しい…椿にいつも…傍に居て欲しい…ッ…。」

涙目で自分の想いを伝えると、椿は苦しそうな表情で俺を見つめた。

至近距離で見つめられ、自然と頬が赤くなるのが解り俺は思わず椿から目を逸らした。

「…目、逸らさないで?ちゃんと俺の事見て…棗の綺麗な瞳に俺を映してよ…。」

切なげな椿の声に心臓が高鳴るのを感じ、俺は思わず椿の手を握り甘えるようにねだった。

「…椿…俺、椿が欲しい…。」

熱を帯びた瞳で見つめると、椿は余裕の無い表情で俺の唇を塞いだ。

薄く唇を開くと、すぐに椿の熱い舌が咥内へと滑り込んでくる。

唾液を吸い合うような激しい口付けに、俺の下半身は徐々に熱く脈打っていく。

「ん…ん、ん…ふ、ぁ…椿ッ…もう、キスだけじゃ足りない…おまえが欲しい…。」

「棗…俺も…棗とぐちゃぐちゃになるまで愛し合いたい……っ…。」

椿は俺の身体を床に押し倒すと、首筋に顔を埋めてきた。

椿の舌が俺の喉を猫みたいにペロペロと舐める。

ただそれだけなのに、身体が反応してしまい俺は思わず唇から甘い声を漏らした。

「ん、ぁ…っ…椿…っ…。」

「あれー?おかしーな…?喉舐めただけなのに、棗のちんちんもう反応してんね?棗って敏感なんだね?かーいい…。」

耳元で意地悪く囁きながら、俺の股間を優しく撫でてくる椿に俺の興奮は高まっていく。

「やっ…椿…っ…焦らさないで…直に触って…?」

「やべ…棗、超エロ可愛い…今日は優しくできないかも…。」

椿はそう呟くように言うと、俺の着ている衣服を性急に脱がしていく。

俺の素肌に余すところなくキスを落とす椿に、俺は堪らなく感じてしまう。

椿の唇が俺自身に辿り着くと、俺は思わずビクンと身体を揺らした。

椿の熱い舌が俺自身を入念に舐め廻していく光景は、初めて見る訳でもなかったのに何故だか今日は一段といやらしく見えた。

「すげーな…舐めても舐めても溢れてくる…棗のエッチなミルク…。」

「しょーがねえだろっ…椿の舐め方がやらしいから…。ん、はっ…ぁ…も、だめ…イキそう…ッ…!」

「えー?もう?棗は早漏だなー。いいよ、俺の口に出して…?」

椿はそう言うと根元に手を添えながら俺自身を咥え、強く吸った。

「ひぁっ…!あ、ふぁっ…!つば、き…好き…っ…!あ、んぁぁぁっ…――ッ!」

「…んっ…。ふは、俺の口だけでイケちゃうなんて棗やーらしー。…でも、まだこれからだよ?ね、棗…俺のも気持ち良くしてよ。そんで、棗の中に入らせてね…?」

イッたばかりで息絶え絶えな俺の目の前にかざされた椿自身に、俺は驚きつつもそっと舌を這わせた。

俺の咥内で徐々に大きくなっていく椿自身に、俺は何だか嬉しくなってしまう。

「…椿の、固くなってきたな…俺の舌で大きくなったと思うと、何か…嬉しいな…。」

「…っ…あんまりかーいい事言ってると、俺調子乗るよ?今すぐ棗の中に入りたくなっちゃったじゃんか…どうしてくれんの?」

「…俺は…椿になら、いつだって挿れて欲しいって思ってる…こんな淫乱な俺は嫌いか?」

頬が赤くなるのを感じながら椿に問い掛けると、椿もまた頬を赤らめながら俺を抱きしめてきた。

「もー…棗ってば可愛すぎだから!俺はどんな棗も大好きだよ?もちろん、淫乱な棗も…ね、挿れてもいい?」

「…俺もどんな椿も大好き…ありがとう、椿…。…そんなの、いいに決まってるだろ?挿れて…俺、今すぐ椿が欲しい…。」

椿の耳元で囁くように言うと、椿は余裕の無い表情で俺を見つめた後俺の両脚を大きく開かせ既にトロトロになっている秘部に指を二本挿れ、グチュグチュと掻き混ぜてきた。

そして、グチュグチュにとろけた秘部に自身を宛がうと、ゆっくりと腰を沈めてきた。

「んぁっ…!ひ、ぁうっ…椿…っ…つば、き…っ…好き…大好き…ッ…!」

「…棗…っ…!俺も好きだよ…大好きだよ…ッ…!」

激しい律動とは裏腹に優しい言葉を投げてくれる椿に、俺の心は椿でいっぱいになっていく。

俺の中で徐々に質量を増していく椿自身に、俺は堪らなく興奮してしまった。

「ん、ひぁっ…あっ…!椿…俺、幸せでどうにかなりそう…ッ…!」

「…棗…!棗が幸せなら、俺も幸せだよ…。」

言葉にできない程の幸せを感じながら、俺達は繋がり合った体勢のまま唇を重ね合った…――。


情事後――。

「棗…抱きしめてもいーい?」

同じベッドの上でこんなにも密着しているのに、椿は抱きしめてもいいかと訊いてくる。

椿が大好きな俺がダメなんて言う筈ないのに。

「良いに決まってんだろ?俺の身体は椿のモノなんだから。つーか…俺も抱きしめて欲しいって思ってたし。」

頬を真っ赤に染めながら言うと椿は嬉しそうに微笑み、俺の身体をぎゅうと抱き締めてくれた。

「棗、大好き…。だから、もう俺のために泣かないで…。って、泣かせてたのは俺なんだけどさー…。」

「…椿を想って泣くのは、そんなに悪いもんじゃない…でも、オマエが嫌なら…これからは椿を想って笑う事にする。沢山沢山、笑う事にする…。」

そう言った傍から、俺の瞳からは一粒の涙が零れていた。それを椿が優しく拭ってくれて、俺は涙が止まらなくなった。

「泣かないで…棗が泣くと、俺も悲しい…。」

そう言ってきつく抱きしめてくる椿の腕は少しだけ震えていて、俺の心は震えた。

「…椿…キスして…沢山、沢山して…。」

「…うん…いっぱいキスしよーね…これから先もずっと…。」

そして、俺達は裸のまま朝まで唇を重ね合った。

互いの温もりを求め合うかのように、何度も何度もキスをした――。


この心を今すぐ君でいっぱいにして
(君の愛で、この心を満たして欲しくて堪らないんだ)

end.
久しぶりの更新になってしまいました。今回は椿×棗を書かせて頂きました。結構前に書きかけていたものを無理やり完成させたのでいい作品を書けた自信はありませんが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。




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