右京×棗 R18



ある日の夕方――。

携帯に留守電が入っている事に気が付いた俺は、何気なくそのメッセージを再生してふと歩みを止めた。

携帯から再生されるのは、京兄の声だったから…驚きのあまり何も言葉が出てこない。

「…直接伝えたい事があるので、至急サンライズ・レジデンスまで来てください。直接私の部屋に来て貰っても構いませんよ。久しぶりに二人きりでゆっくり過ごすというのも悪くない…では、これを聴いたらなるべく早く連絡するように。」

京兄からの突然の誘いに、俺の胸の鼓動は激しくなっていく。

「…京兄と…二人きり……セックス、すんのかな…?…何考えてんだ、俺は…そんな事より早くしないと、夜になっちまう…急ぐか…。」

握り締めていた携帯を鞄に無造作に入れると、俺は早歩きでサンライズ・レジデンスまで向かった。






「…着いたけど…どうするかな…。」

サンライズ・レジデンスの前まで来ると、そこには人の気配はなかった。

きっともう兄弟達はみんなリビングか部屋に居るんだろう。

京兄は、直接部屋に来ても構わないって言ってたけど…本当にいいんだろうか。

京兄が良くても、俺はまだこれっぽっちも心の準備が出来ていない…。

京兄とは何回か夜を共にした事がある。

それも、毎回普通とは少し違うような体位とか玩具を使ったとんでもなくいやらしいプレイばかりやらされた記憶がある。

そんな京兄と一晩中二人きりで過ごすなんて…色々とマズイだろ…。

京兄の事を考えただけで、俺の身体は一気に熱く火照っていく。

「とりあえず…京兄の部屋に行こう…すげえドキドキするけど…。」



京兄の部屋の前に行き、震える手でチャイムを鳴らした。

「…はい?」

「あ…京兄?俺…棗だけど。」

「…ああ。随分早かったんですね。留守電入れたの、2時間前ですよ?そんなに私に逢いたかったんですか?」

「…は?京兄…何言ってんだよ。直接伝えたい事があるからなるべく早く来いって言ったのは京兄の方だろ。」

久しぶりに聴く京兄の声に胸の奥がキュウと苦しくなるのを感じ、俺は思わずぶっきらぼうな態度を取ってしまった。

「…そうですね。では、用件を言いたいので扉を開けて中に入ってきて貰えますか?」

「…ああ…分かった。お邪魔します…っ、あっ…!?きょ、京兄…ッ…急にどうしたんだよ…?」

「用件を言いますね…棗に逢いたかったんです。もう一度だけでいいから、棗を感じたかった…。ここに来たという事は…今晩、泊まって行ってくれる…という事で、宜しいんですよね?」

扉を開けて中に入った瞬間、京兄は俺の身体を抱きしめて肩に顔を埋めてきた。

驚いて抵抗しようとしたのはほんの一瞬で、耳元で聴こえる京兄の甘い言葉と俺の気持ちを確かめるような問い掛けに俺はびくんと身体を揺らし京兄の腕にそっと指を滑らせていく。

「…俺も…京兄に逢いたかった…京兄の温もりを感じたくて…ずっと、寂しかった…だから…今夜、俺の事…京兄だけのものにして?あの頃みたいに…エッチな事…たくさん教えてくれよ…。」

潤んだ瞳で京兄を見つめると、京兄は切なげな表情を浮かべながら俺の顎を掴むとそのまま深く唇を重ねてきた。

舌先を唇と舌で啄むように吸っていると、京兄の手が俺の服の裾からするりと滑り込んでくるのが分かり俺は小さく身を捩らせ唇から甘い声を漏らした。

「…変わってませんね。感じる場所も…キスの仕方も…肌の滑らかさも…何もかもが私好みで、とても可愛らしい…。」

「ぁ…っ…や、ん…ん、ぁっ…は、ぁっ…京、に…いっ…も、っと…触って…俺の身体…京兄に触れて欲しくて、疼いてるんだ…だから、早く…。」

京兄の首に両腕を巻き付け濡れた瞳でねだると、京兄は余裕の無い表情をしながら俺の乳首に舌を這わせ始めた。

わざとぴちゃぴちゃという卑猥な水音を立てながら俺の尖りかけた乳首を舐め廻していく京兄に、俺の興奮は高まっていく。

京兄の右手が俺の股間に服越しに触れ、形を確かめるような手つきで握り込んでくる。

そのまま上下に擦り上げられると、俺は腰をガクガクと震わせ唇からは切なげな嬌声が次から次へと溢れ出していく。

「棗…キスと乳首への愛撫だけでこんなに硬くするなんて…相変わらず棗は淫乱なんですね。もっと乱れてください。…夜はまだまだ長いんですから、たっぷり愉しみましょう?」

「んぁ、ぁっ…!や、んっ…!ひぁっ…ふぁ…っ…あっ…あぁ…!京兄…ッ…も、ダ…メ…!出る…ッ…!んぁ、あ……!んぁ…ッッ…――ッ…!」

「……っ…棗のイク顔も、いいですね…。その妖艶で、恍惚とした表情…堪りません…。」

耳元で囁かれると、それだけで達したばかりの俺自身は再び反応し始めていく。

「あっ…ん、ぁ…きょ、兄っ…も、う…我慢出来ない…挿れて…?京兄が欲しいんだ…!」

「…もう我慢出来なくなったんですか?……弄ってもいないのに、こんなにヒクヒク蠢いて…そんなに私が欲しかったんですか?…私ももう、限界だ…少し早いけど、挿れますよ…?」

京兄の細くて長い指が俺の秘部に触れ、窪みをなぞるように弄られ、そのまま京兄が俺の中に挿ってきた。

「あぁぁっ…んぁ、やっ…ひ、ぁっ…!京、兄…ッ…。」

「…ッ…棗…なつ、め…ッ…。」

激しい律動の中で、京兄は何度も俺の名前を呼んでくれた。そんな些細な事が、とても嬉しかったんだ…――。



情事後――

俺は京兄の腕の中で、子供のように甘えていた。

「京兄…抜かないで…。もう少し、京兄の温もりを感じていたい…。」

「…甘えん坊ですか?全く…仕方ありませんね。もう少し、繋がったままでいましょうか?」

数秒後、京兄自身が少しだけ膨らんだのが解り、俺は少し恥ずかしくなり京兄の胸に顔を埋めた。

「…甘えん坊の後は、照れ屋さん、ですか?本当に棗は可愛いですね…。」

肩に廻されていた京兄の腕が温かくて、俺達は朝方まで抱き合っていた…――。


ずっとずっと繋がったままで居たいんだ
(もう少しだけ、君の体温を感じて居たいから)
end.

初めて京棗を書いてみました。京兄めっちゃ難しい…精進します。棗は安定の可愛さ…。
素敵なお題はキミの花を咲かせよう様からお借り致しました。ありがとうございました。


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