祈織×琉生 R18

「あれ…祈織くん…?どうしたの?こんな所に居るなんて、珍しいね…?」

ある日、仕事が終わり美容室から出ると、店先に祈織くんの姿があって僕は少しだけ不安になってしまった。

冬なのに少しも防寒対策をしていない祈織くんに僕は何も言えずに、気が付いたらその冷えた身体を抱きしめていた。

「琉生兄さんを待っていたんだ…ねえ、一緒に帰ろう?傍に居て欲しいんだ…いいよね?」

儚げに微笑む祈織くんを見ていたら、何故か涙が溢れそうになった。

その笑顔の裏側に何かがあるような気がして怖かったけれど、僕は迷わずその冷え切った手を取っていた。

「…傍に居るのは、構わないんだけど…でも…。祈織くんは僕だけを見てくれないから…。」

「どうして?そんな事はないでしょ?大丈夫だよ。ちゃんと琉生兄さんの事、好きだから。」

そう言って、僕の頬に軽くキスをしてくる祈織くんに僕の胸はトクンと高鳴った。



祈織くんの部屋に着くなり僕達は自然にベッドに座り、キスをしながら語り合う。

僕のベージュ色の髪を指に絡め遊ぶ祈織くんが可愛くて、思わず笑みが零れた。

「祈織くん…好きだよ。…祈織くんは…?」

向かい合う形で見つめると、真剣な表情で僕を見つめ返す祈織くんに、僕の身体は熱く疼き出していく。

「…僕も好きだよ…当たり前でしょう?ずっと琉生兄さんの傍に居るからね…。」

祈織くんの優しい声に、言葉に、僕の瞳からは大粒の涙が溢れ祈織くんのベッドを濡らしていく。

もう、離さない…そう決めたんだ。ずっと、きっと…一生一緒だよね…。

僕の唇に祈織くんの唇が触れる。そっと啄むようなキスから、徐々に濃厚なキスへと変わっていく。

唇から祈織くんの優しさが流れ込んでくるような気がして、僕の心は祈織くんで一杯になっていく。

嬉しくて、温かくて、愛おしくて…二度と壊したくない。この人を守りたい…。僕の愛で包んであげたい。

こんな事を想うのは、生まれて初めてだった。張り裂けそうな胸の痛みさえ愛おしくて、僕は君を離せない。

「琉生兄さん…触っても良い…?琉生兄さんの全てに触れたくて、堪らないんだ…っ!」

今にも切れそうな糸のように叫ぶ祈織くんに、僕の心は強く揺さぶられてしまう。

「いいよ…?触って…僕の全て、祈織くんにあげるから…。」

「琉生兄さん…僕、嬉しいよ…すごく、すごく…嬉しい…。」

祈織くんはそれだけ呟くと、僕をベッドの上に優しく寝かせてから、僕の上に跨るように乗っかってくる。

あっという間に全部脱がされてしまった僕は、脚をもぞもぞさせながら涙目で祈織くんを見上げた。

祈織くんの優しいまなざしが痛い程に突き刺さってくるから、僕は恥ずかしくなってしまい、思わずきゅっと瞼を閉じた。

額、瞼、頬、喉仏、鎖骨へと優しい口付けが降ってくる。

右手で僕自身に直に触れてくる祈織くんに、僕は思わず濡れた声を上げてしまった。

「あっ…ひ、あ、ぁ…っ…祈、織…くん…っ…!」

「琉生兄さんの、もうこんなに固くなって震えているね…僕、興奮してきちゃったよ…。ほら、分かる…?」

祈織くんの左手が僕の腕を掴み、そのまま自身へと触れさせられてしまい、僕は恥ずかしさのあまり目を見開きトロンとした表情で祈織くんを見上げた。

「…や、んっ…祈織くんの、すごく…熱い…ドクドク言ってる…ねえ、早く…コレ、頂戴…?祈織くんが…欲しいんだ…っ…。」

「…っ!琉生兄さん…っ…そんな可愛くおねだりしないで…挿れる前にイキそうになるから…ッ…。」

そう言いながら、祈織くんはゆっくりと僕の中に挿入ってきた。

壊れ物を扱うかのように優しく抱いてくれる祈織くんに、僕は何故か不安になってしまう。

「祈織、くん…っ…もっと…激しく、して…っ?メチャクチャにして、いいから…っ…。」

「…琉、生…兄さん…っ…そんな可愛い事言われたら、僕…っ…!」

僕の中に在る祈織くん自身が少しだけ質量を増したのに気付くと、僕は嬉しくて思わず祈織くんの背中に脚を廻した。

より一層深く繋がり合うと、僕らはほぼ同時に絶頂を迎えたのだった…――。



情事後――

祈織くんの腕の中で休んでいると、祈織くんが僕の耳元で甘えた声で囁いてきた。

「ねえ、琉生兄さん…愛しているよ…。だから、目を開けて…もう少しだけ、琉生兄さんと話していたいんだ…。」

「…ん…祈織くん…寂しくなっちゃったの?ふふ…可愛い。そう言えば…祈織くんに聴きたかった事があったんだ。」

「うん?僕に聴きたい事…?良いよ、何でも答えるから。言ってみて?」

優しく微笑む祈織くんに、僕の心はまた小さく震えた。

「あのね…?祈織くんは、どうして僕を好きになってくれたのかな、って…。」

「ん…?そんなの、どうしたもこうしたも無いと思うけど…知りたい?」

「うん…知りたい…。教えて……?」

祈織くんは"仕方ないな…特別だよ?"と言って、耳元で囁くように教えてくれた。

「…祈織くん…っ!好き…!本当に、大好き…っ…!」

「ふふ、僕もだよ…ずっと、一緒に居てね…出来るなら、永遠に…。」

"出逢った時から、好きだったんだよ"

消せない痛み、君の優しさ
(この胸の痛みも、君となら幸せに変えていける気がするから)

end.



復帰作第二弾は、祈織×琉生でした。
琉生目線で書いたのは初に近いので、難しかったです。
読者の皆さんに少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。


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