棗×昴 R18

俺には未だに、忘れられない事が一つだけある。

なつ兄への「気持ち」。憧れや裏切りの中で揺らめく、なつ兄への「想い」…。

好きなんだ。そう思ったらスッキリした。

朝まで考え込んでいたあの頃にはもう戻らないと約束するよ。

なあ、なつ兄?

なつ兄は俺の事、どう思っているんだ?

伝えるのは上手じゃない。

けれど、伝えずには居られない。

もう、居られないよ…なつ兄…――。



「もう7時か…今日のロードワークはこの辺にしておくか…ん?なつ兄…!」

いつものようにロードワークをしていると、前からなつ兄が歩いてくるのが見えて、俺は思わず声をかけてしまった。

「ああ…昴か。今から帰るのか?にしても、昴…なかなかセクシーだな。透けてるぞ…乳首。」

なつ兄の指が俺の胸にTシャツ越しに触れる。あまりにも突然のセクハラに、俺の頬は一気に熱くなった。

「なっ…何、触ってんだよ…っ!まだ朝だぞ…っ!」

「へえ…じゃあ、夜なら昴に触れられるって事か…うん、いいこと聞いた。」

なつ兄の余裕たっぷりな笑みを見ていたら、心臓がトクントクンと高鳴っていくのが解った。

「あっ…と、なつ兄は…これから、仕事?」

「ああ、そうだよ。ゲーム会社は残業が多くて大変でな…残暑が厳しいしな。あ、そうだ。昴、夜空いてるか?」

不意になつ兄が真剣な表情で問い掛けてくるから、俺はなるべく冷静に答えた。

「あ、ああ…空いてるけど、何か用事があるのか?」

「昴を抱きに行く。それだけ。じゃあな。」

「は…!?ちょ、待てって…!…行っちゃったし…何なんだ、一体…。」

マンションに戻る途中も、ずっとなつ兄の事で頭が一杯で、朝食の最中も終始上の空だった。

そんな俺を見ていた京兄や他の兄貴達も不思議そうな顔をしていたけど、仕方ない。それだけ俺はなつ兄に惚れているという事だと思うから。


深夜一時を回り、兄弟達が寝静まったのを見計らって俺はマンションの外に出た。

すると、そこにはなつ兄の姿があって、俺は思わず笑顔になってしまう。

「なつ兄…!逢いたかった…。」

思わず本音が出てしまったけれど、なつ兄ならきっと可愛いと言ってくれる。そう信じているから、恥ずかしくはなかった。

なつ兄を見つめると、なつ兄は優しく微笑み俺の髪を撫でながら手を差し伸べてくれた。

「ほら、早く行くぞ。車で来てるから、乗って…。」

「うん…なつ兄、好きだよ…。」

深夜だから、俺は半分夢の中で…なつ兄の車の中で爆睡してしまった。

「昴…無防備すぎるぞ…キスしたら、起きるかな…?」

なつ兄の声が遠くに聴こえて、俺はゆっくりと瞼を開けた。

すると、なつ兄の顔が近くにあって、俺は思わず甘い声を上げてしまった。

「ん……なつ兄、キス…?」

寝ぼけたように問い掛けると、なつ兄はゆっくりと頷き、そのまま車の中で熱いキスを呆れる位した…。

なつ兄の唇が柔らかくて、ずっとしていたいと思った。

「ん…昴、着いたから…続きは部屋で…な?」

「うん…なつ兄、優しくしてね…?」

俺が濡れた瞳で呟いた言葉に、なつ兄は少し恥ずかしそうに笑うだけだった。

「昴…好きだよ…触ってもいいか?昴の全てに触れたい…。」

なつ兄の部屋のベッドにそっと寝かされると、見つめ合う形になり俺はそっと頷くと、なつ兄の首に両腕を廻した。

「いいから、早く続き…してくれよ。もう、俺…我慢できない…今すぐ、なつ兄が欲しいよ…っ…。」

なつ兄の表情が余裕たっぷりのものから、余裕のない表情に変わったのに気付くと、俺は不安になりなつ兄の腕に指先で触れた。

「なつ兄…?どうして何もしてくれないの…?…面倒になった?」

「違うよ…そうじゃない。ただ…昴があまりにもエロイから、戸惑ってただけだ。」

「なっ…!何だよそれ…!なつ兄のが100倍くらいエロイだろ…っ…!」

頬を真っ赤にしながら反論すると、なつ兄は優しい顔をしながら言い返してくる。

「おい、待てよ。100倍は言い過ぎだろ。昴が普通すぎるんだ。そんなとこにも惹かれるけどな。」

ベッドの上で戯れる。それだけで幸せになれる。なつ兄となら、幸せになれる。そう、信じている。

「…なつ兄…。早く触れてくれないと、俺…寝ちゃうよ?」

「それは困るな…。じゃあ、昴のイイところ、教えて?」

「うん…えっ!?そんなの知らないっ…!俺に訊くなよ…っ!」

「そうか?残念だな…。じゃあ、今日は俺がリードするって事で。」

なつ兄の指が俺の下腹部に触れた瞬間、身体中の熱が一気に下半身に集まってくるのが解り、俺は思わず瞳をきゅっと瞑った。

「…や、んっ…あ、ぁっ…!なつ、兄…っ…ちゃんと、下も…触って…!」

潤んだ瞳でなつ兄を見つめると、なつ兄の手が下着の上から俺自身をやんわりと握る。

身体が一気に熱くなり、自身は固く膨張し下着には染みが出来てしまう位だった。

「昴の…もう、こんなに固くなって張り詰めてる…。エロイな…さすが俺の弟…。」

「さ、すが…の、意味がわかんねえよっ…あ、はぁ…っ…も、だめ…イクッ…あぁぁぁっ…っ…――ッ!」

少しだけしか愛撫されていない筈なのに、俺は呆気なくなつ兄の手によってイカされてしまった。

息を整えていると、なつ兄が俺の上に跨ってきた。そして俺の蕾に指を挿れると、そのままグチュグチュと音を立てながら掻き回していく。

意外にも俺の蕾はなつ兄の指をすんなりと飲み込んでいく。その卑猥な光景に、俺の鼓動は速まっていく。

「昴…ヒクヒクしていて可愛いな…舐めてもいいか?」

「やっ…そんな、トコ…っ…汚いよ…っ…あっ…!ん、ぁ…や、ん…ぁっ…あっ…!」

なつ兄の舌のぬるりとした感触に、俺自身は再び質量を増していく。

「また勃ってきてるぞ…どんだけ溜まってたんだ?俺も限界だ…挿れるぞ…?」

「あっ…ん、うん…なつ兄…っ、早く俺を…メチャクチャに、して…!」

濡れた瞳でなつ兄に懇願すると、なつ兄は何も言わずに欲望の証を突き立ててくる。

激しい律動の中で、なつ兄は何度も"愛してる"をくれた。それが嬉しくて、涙が止まらなかった。


次の日…――

「なあ、昴…好きだ…。だから、またしような…。というか…もう、俺のもの、なんだよな…?」

なつ兄の部屋に泊まるのは初めてで、俺はドキドキしながらなつ兄の腕の中に居る。

なつ兄が不安気に訊いてくるから、俺はにっこりと微笑み、なつ兄の肩に擦り寄った。

「大丈夫だよ…俺も好きだから…。ずっと離れないで…一緒に居よう?」

伝えるのは上手じゃない。だけど、伝えなきゃ何にもならない。

ほんの少しの"愛してる"で、こんなにも幸せになれる。

そのままの君の一番になりたい。そう思わずには居られない夜だった…。

上手じゃない、だけどいとおしい
(少しの勇気で君を幸せにできるなら、それで満足だから)

end.





久々に昴受を書きました。やっぱり…昴さんは受ですよ。(意味不明な自信。)
読んで下さりありがとうございました。皆さんに少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。

素敵なお題は寡黙様よりお借り致しました。ありがとうございました。



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