この溢れる気持ちを恋だと笑って言えるその日まで | ナノ
この溢れる気持ちを恋だと笑って言えるその日まで
もう、ずっと。ずっと前から。
俺が心に思い描く人は、ただ一人だけしか居なかった。
最初に気付かない振りをしたのはコウだった。
俺の射抜くような視線を無視したのは、俺を傷つけたくなかったから?
そんな子供じみた同情なんていらなかったよ。
逃げないで、これ以上。俺の事を忘れないで。
苦しいんだ。コウだって同じように苦しいんだろ?俺の事を傷つけるのが怖い?けどさ、コウが離れていく事が俺にとって一番怖い事なんだ…―――。
「…コウ…ビッグニュースだ。」
「あ?何だ、どうしたよ?」
陽が沈みかけた頃、俺はやっとの思いでWest
Bearchまで辿り着くことが出来た。
コウはもうとっくの昔に帰宅していたらしい。
エプロン姿のコウの後ろに立つと、その広い背中にぎゅうとしがみついた。
「…アイツが…アイツが帰ってきたんだ…。」
「マジかよ?ルカ、美奈子に会ったのか…?いつ、どこでだよ?なぁ…――。」
「…明日になれば分かるよ。今はこれ以上の事は言いたくない…。」
腰に廻していた腕にコウの指先が触れた。
俺とコウは、誰にも言えない恋をしている。
お互いに報われない恋に落ちてしまっている。
俺がどんなにコウの気を引いても、俺の世界にはコウしか映っていなくても。
コウの瞳にはいつもアイツが居たんだろう。
俺の心にはいつもコウしか居なかったように、コウの心にもいつもアイツしか居なかったんだ。
幸せになんてなれない。
そろそろ、兄離れをする時期なのかもしれない。
俺とコウはきっと、長く一緒に居過ぎたんだ。
一緒に居るしかなかったから。何も疾しいことなんてない。なのに、アイツが俺たちの前から消えたあの日から俺とコウは少しずつおかしくなっていった。
「ルカ。風呂空いたぞ。蓋閉めてねぇから早く入っちまえよ。」
アイツが姿を消してから数日が経ったある雨の日――。
「…え、コウ…は、早く服着ろよ。バカ…!」
「あ?何だ?文句あんのか?言いたいことあるんだったらはっきり言いやがれってんだ。」
「…〜〜だから、服を…!」
「何だ、オマエ…。もしかして、照れてんのか?」
「なっ…照れてない。照れるわけないだろ、同じ男の裸なんか…っ…!」
「ルカ…顔が真っ赤だぞ。隠さなくてもいいじゃねぇか。可愛いな、オイ。」
上半身裸の姿のまま近寄ってくるコウを真っ直ぐに見つめてみると、石鹸のいい匂いが鼻腔を掠めそのまま唇をペロッと舐められてしまい俺は思わず身体を震わせ唇から甘い嬌声を漏らした。
「あっ…ふぁ、ゃ、んぁ…あっ…や、んん、んっ…コウ…!好きだ…コウの事が…ずっと大好きだったよ…コウは?コウは俺の事…弟にしか思えない…?」
「馬鹿。ンなわけねぇだろ?好きじゃなかったら、こんな事しねぇだろ―が?間違いなく、俺はルカの事が好きだ。認めんのはちょっと恥ずかしいけどな。」
笑って俺の頬に優しいキスを落としてくるコウに俺は思わず涙をポロポロとこぼしてしまった。
「コウ…!好き…本当に大好きなんだ…。だから、もっと俺とエッチなことして…俺だけ見てて。キス、たくさんして…それ以上のことも、コウとなら俺…少しもイヤなんかじゃないから…だから、このまま…。」
「…それは構わねぇんだけどよ…オマエ…どこが感じるんだ?ここか…?それともやっぱりこっちか?なぁ…それくらい教えてくれたっていいだろ…?ルカ…。」
コウの熱い息が耳にかかり俺は身体の内側の方から熱くなってくるのが分かる。
まだ半勃ち状態の俺のチンポに舌を優しく滑らせてくるコウに、俺の身体は少しずつ欲望に忠実になっていく。
幹を口内に含んでは先っぽまで唇を移動させ亀頭に舌と唇で強く吸い付いてくるコウに俺の胸は熱く震えた。
コウの高校生とは思えない慣れたテクニックに気付いたら俺は完璧に胸きゅん状態になっていた。
「コウ…ちく、び…も…触って…?下ばっかじゃ、すぐにイッちゃいそうで嫌なんだ…。ね、お願い…コウ…早く…。」
熱を帯びた瞳でコウを見つめると、コウは漸く俺のチンポから口を離した。
そして、ゆっくりとコウの長くて綺麗な指が俺の乳首に這わされていく。
チンポに添えた手は離さずに乳首を弄り始めるコウの腕に触れると、コウは目線だけを俺の方に向け小さな笑みを浮かべた。
「ルカ…こんな刺激じゃ足りねぇだろ?もっと俺を求めたって誰も何も言わねぇぞ?」
「あ…も…挿れ、て…コウの…デカくて脈打ってるソレ…俺…もう、我慢できない…コウのこと…ずっと離したくない…一人占めしたい…コウのチンポさえも俺にとっては愛おしいんだ…分かってくれる?コウ…。」
「あぁ…そうだな。分かるけど…オマエよ…チンポと俺と、どっちが愛おしいんだよ?」
「…コウ…それってかなり究極の質問だよな?」
「迷ってんなよ…俺にチンポなくなったらオマエは俺から離れんのかよ?そういうことだろ?」
コウが拗ねたように唇を引き結ぶのが可愛くて、俺は疼く下半身に自らそっと指を滑らせ濡れた舌をコウの喉に這わせそのままカプリと噛み付いた。
「どっちも愛おしいに決まってる。だから早くちょうだい…?」
「ルカ…本当にいいのか?痛かったら言えよ。っく……!」
コウの両手が俺の両腿に触れる。
チンポを優しく揉まれると身体から完全に力が抜けてしまい俺は口元から涎を垂らしながら、恍惚とした表情でコウを見つめた。
「あっぁ…!んぁ、や、あ…んぁ…あっ…コウの…奥まで当たってスゲー気持ちいい…あっ…ぁ…ん、はぅ…ん、ふぁ!ひ、ぁ…っ!」
全部入るとコウのが俺の中でびくびくと跳ね回る感覚がたまらなくて、俺は更なる快感を求め繰り返される律動の中自ら腰を揺らした。
俺が甘い嬌声を漏らす度に俺の中でコウのが質量を増すのが分かる。コウの愛をダイレクトに感じられた気がして幸せでたまらなくなる。
「ルカ…イキたかったら素直にイけ。な?」
「あっ…だって、恥ずいだ、ろ…あっぁ…!あぁっ…やぁ、んっあ!ひぁ、あ…!!」
耳たぶを甘噛みされると、その刺激が引き金になりそのまま亀頭から熱い白濁を放ちコウの胸に甘えるように抱き付いた。
その後すぐにコウも俺の胎内に熱い愛の証を注ぎ込むとまだ敏感になっている俺の内腿を撫で廻しながら甘いキスを瞼にくれたんだ。
好きな気持ちは、言葉にするとどうしてこんなにも簡単にこぼれ落ちて消えてしまうのだろう
ずっと考えていたこの問いに、答えが出る事はなかったけれど
でも、俺はもう迷わないよ。コウの手だけを握って、笑って泣いて生きていくと決めたから。
end.
久しぶりにときメモ熱が再燃したので書きました。