棗×椿 R18


それは俺と棗の休みが重なったある日のこと―。

俺は棗のマンションに遊びに行ったんだけど…。

「なあ、椿。ちょっとこっちに来てくれないか?」

「何だよー、棗?顔が緩んでるけど、どーかした?」

妙に上機嫌な棗に不思議に思いながらも、俺は言われた通りに棗の傍に寄った。

「これ、着てみてくれないか?」

「…棗、これどーしたんだよ…?こんな高そうなドレス…っつか、俺、男なのにこんなん着れるわけねーだろ…!」

棗がクローゼットの中から取り出したのは、シンプルな純白のドレス(ミニ丈)だった。

「椿に似合いそうだったから、通販で買ったんだ。そんなに高くないから安心して着ていいぞ。あ、これも着けてもらえると嬉しい。」

呆然としている俺を軽く無視して棗は小物入れからティアラを取り出し、俺の頭に乗せた。

「…棗、お前人の話聞けって…!こんなん、俺が着たって似合うわけねーだろ…?」

「だったら今夜だけで良いから…俺はこのドレスを着た椿とエロイ事がしたい…駄目か?」

俺の瞳を覗き込み、甘えるようにねだってくる棗に俺はそれ以上拒むことができず…気付いたら首を横に振っていた。

「棗…駄目じゃねーから、そんな泣きそうな瞳すんなよ…どうしたらいいか解んなくなるじゃんか…。」

「そうか、着てくれるのか…!ありがとう、椿。じゃあ、俺はベッドで待ってるから着替えてきてくれるか?」

"ベッド"という単語が棗の口から出ると、それだけで身体が熱くなってくる。

俺は小さく頷き脱衣所に向かうと、軽く深呼吸をしてから着替え始めた。

棗に愛して貰えるなら、女装くらい大したことないとは思う。

「けど…これ、結構恥ずかしいかも…意外と丈短い……。」

俺はドレスの裾を下方向に引っ張りながら棗の居るベッドまでゆっくりと向かった。

「…お、着替えたんだな。……うん。思ってたよりずっと可愛いよ。似合ってる…。」

優しい表情で俺を見つめる棗に、俺は顔が耳まで真っ赤になるのを感じ棗から目を逸らした。

「…別に、こんなん似合ったって…嬉しくねーもん…。」

「…照れてる椿も可愛い。…こっちにおいで?俺だけの可愛いお姫様。」

まるで姫君をエスコートする王子様のような言い方をする棗に、俺の心臓はトクンと跳ね上がった。

「……棗…キスして…?」

俺は棗の太腿の上に跨るように座ると、棗の頬に指先で触れ甘えるようにねだった。

「…その格好でそんな風に甘えられると、興奮するな…。」

棗の顔が近づいてきて、そのまま唇が重なった。

薄く唇を開くと、すぐに棗の熱い舌が咥内へと滑り込んでくる。

上顎を撫でるように舐められると、背中がぞくんと粟立つのを感じ俺は小さく身を捩らせ甘い吐息を漏らした。

「…ん、んぅ…ふ、ぁ…っ…なつめ…っ…エッチな事…するんじゃなかったの…?」

「…何だ、椿はもう我慢できなくなったのか?俺が欲しい?」

「…っ…そんなの、欲しいに決まってんだろ…?棗が欲しいよ…だから、早く…俺に触れてよ、棗…?」

熱を帯びた瞳で棗を求めると、棗は何も言わずに俺の広く開いた胸元に唇を寄せた。

鎖骨辺りに強く吸い付きながら背中のジッパーを下ろし、ドレスを腰辺りまで下ろし乳首をぐにぐにと押し潰すように弄ってくる棗に俺の身体は確実に反応を示していく。

「椿の乳首、真っ赤になって尖ってる…気持ち良い?ドレス全部脱がすの勿体ないし、今日は着たままするか…。」

「んぁ、ひ、ぁっ…!あっ…でも…着たままだと、せっかく買ったドレス…汚れちゃうんじゃねーの…?」

か細い声で問い掛けると、棗は俺を愛しげに見つめ安心させるように穏やかな口調で言葉を紡いだ。

「洗濯できる素材で出来てるから、心配しなくて大丈夫。それより、椿。おまえ…パンツ履いてないみたいだけど…何で?」

「あっ…ん、ぁ…ッ…だ、って…どうせ脱ぐから…それに…ドレスでノーパンとか、いかにも棗が興奮しそうだなって思って…ッ…。」

言った後で恥ずかしくなり棗の胸に顔を埋めると、棗に思いきり抱き締められた。

「……椿、おまえ…本当に可愛いな。俺のためにパンツ履かないで居てくれたなんて…どんだけ俺の事好きなんだよ…。」

可笑しそうに、でもどこか嬉しそうに言う棗が愛おしくて、俺は少し素直になってみたくなった。

「なっ…!だって…俺…っ…棗の事、すげー好きだもん…大好きなんだもん…ッ…。」

顔を上げ潤んだ瞳で棗を見つめると、棗は余裕の無い表情で俺の唇を塞いだ。

互いの舌を追い合いながら、俺達は自然と互いの欲の塊を愛撫していた。

亀頭に爪を立てられると、俺の身体はビクンと揺れ唇からは甘い声が漏れていく。

「あっぁっ…!ひ、ぁっ…!んぁ、あ…っ!なつめ…なつ、め…ッ…!」

強弱を付けて扱かれ、俺は頭が真っ白になりそうになりながらも一生懸命棗自身を扱き続けた。

「ん…はっ…椿…気持ち良いよ…椿も気持ち良さそうだな。もうこんなにトロトロになって、いやらしい滴が溢れてる…。」

棗の言葉に思わず俺自身に目を向けると、俺自身は既に固く勃ち上がっていて先端からは先走りの滴がトロトロと溢れ棗の指を汚していた。

「んぁっ…!や、だ…っ…言わないで…っ…恥ずかしい、だろ…ッ…!ひぁ…あ……っ…も、俺…出ちゃ、う…ッ…あ、ぁ…ッ…ひぁぁあ…――ッ!」

耳元で恥ずかしい事を言う棗に興奮してしまい、俺は身体をブルッと震わせると自身から熱い白濁を放ち棗の胸へと倒れ込むように抱き付いた。

「椿のイク顔、すげえエロ可愛かった…今のでかなり興奮したから、もう挿れてもいいか?」

「ん…いーよ…俺も今すぐ、棗が欲しい…。」

棗は俺の言葉を聴くと、達したばかりで敏感になっている俺の秘部に固く膨張しきった欲の塊を宛がいゆっくりと腰を沈めてきた。

「ぃあっ…!は、ぁっ…!ん、あっ…なつ、め…動いて、いーよ…?それとも、狭い…?」

俺の中に収まったまま動かない棗に、不安が押し寄せてくる。

すると俺の不安を汲み取ったのか、不意に棗の手が俺の手に触れた。

「椿…大丈夫だ。少し慣れたら、ちゃんと動くから。今はギチギチだからな…不安にさせてごめんな。」

棗の唇が俺の瞼に優しく触れる。棗に優しくされると、不安なんてどこかに行ってしまうよ。

「…うん…早く動いてほしーけど…痛くならないようにって考えてくれてる棗の気持ち、すげー嬉しーよ…ありがと…棗。」

「…っ…椿…好きだよ…俺…ずっと、椿の傍に居て…椿の事、守るから…ッ…!」

「んぁっ…!あっ…ひぁっ…!あ…っ…!ん、ぁっ…!なつめ…ッ…俺も好き……っ…俺には…もう…ッ…棗しか愛せないよ…!」

突然物凄いスピードで腰を動かし出す棗に、俺の唇からは艶めかしい嬌声が次から次へと溢れ出していく。

最奥を抉るように何度も繰り返し貫いてくる棗に、俺の興奮は膨れ上がっていく。

「椿…つば、きッ…!椿の中…俺のを締め付けて離さないな…このまま一つになって、離れられなくなればいいのにな…。」

棗はそう呟くように言うと、俺の固く勃ち上がり蜜を溢している欲の塊に触れた。

「んぁっ!そ、んな…っ!ひぁっ!二ヶ所、同時なんて…ずるい…ッ…あっぁっ…!イッちゃう…ッ…んぁ…っ…っ、んぁぁあ…――ッ!」

そのまま優しく上下に擦られると、俺は我慢できずに自身から半透明な滴を迸らせ棗の胸に甘えるように抱き付いた。

その数秒後、棗も俺の体内に欲の証を放つと、俺の身体を優しく抱き締め頬に愛しげにキスを落としてくれた。

女装しながらという妙なシチュエーションにいつも以上に興奮してしまった自分が恥ずかしくて、俺は数十分間棗の顔を見る事が出来なかった。



「椿?そろそろ顔見せてくれてもいいんじゃないのか?」

「…う…だって、恥ずかしーだろ…女装しながらするセックスに興奮しちゃったなんて…!」

「どうしてだ?別に恥ずかしくなんてないだろ?興奮したって事は、いつもより気持ち良かったって、そういう事だろ?」

行為の後、俺の髪を撫でながら問い掛けてくる棗に俺は思わず顔を上げ棗を見つめた。

「それは…そーだけど…!だからこそ恥ずかしーっつーか……はあ…もういいや。棗とエッチな事できたのは嬉しかったし。」

「椿可愛かったな…あ、そういえば写真撮ってなかったよな…失敗した…なあ、椿…今からもう一回着てくれたりしないよな?」

「バカじゃねーの!?あんなもん、二度と着ねーよ!大体写真とか…お前、その写真見てオナニーする気だろ、絶対そうだろ!」

びしっと指を差して問い詰めると、棗は苦笑いで俺の頬に触れた。

「仕方ないだろ?椿とは住んでる場所も違うし、あんまり逢えないんだから…写真があれば捗りそうだなって思ったんだよ。」

「だんだん棗がムッツリスケベからハッキリスケベになっていく…つーか、俺が居るのに棗はいつも一人でしてるわけー?呼び出してくれりゃいつでも飛んでくるのに…。」

頬を膨らませながら棗を見つめると、熱を帯びた瞳をした棗と目が合った。

「…本当は一秒だって離したくないんだ…けど、椿の生活を崩したくないから…こうしてたまに逢いに来てくれるだけで、俺は十分幸せだよ。」

「…そんな瞳して、言う台詞じゃねーだろ…。正直に寂しいって言えばいーのに…俺だって棗にもっと逢いたいし…ずっと傍に居たいって思ってるんだからさ…。」

棗が愛おしくて仕方なくなった俺は、そっと棗の唇に触れるだけのキスをした。

すると、棗の手が俺の後頭部に添えられそのまま引き寄せられ深く唇が重なった。

ちゅくちゅくと互いの舌を舐め合っていると、再び下半身に熱が集まっていくのを感じ俺は軽く身動ぎをした。

「…椿…キスだけでもうこんなに固くして…とんだ淫乱お姫様だな。」

「や、んっ…誰が淫乱にさせてんだよ…?棗だろ…ッ…!」

反応し始めている俺自身を棗の指が優しく包み込んでくる。

亀頭から溢れ出す蜜は先程よりも透明度が増していて、俺の興奮は高まっていく。

全体を扱きながら亀頭を指でぐりぐりと刺激したり、薄い皮に包まれた双玉まで愛撫してくる棗に俺の胸は熱く震えた。

「…椿…俺が欲しい?」

突然問い掛けてくる棗に、俺は思わず棗の股間に視線を注いだ。

棗自身はもう既に固く膨張しきっていて、少しだけど先走りも溢れていて限界が近いんだなというのが伝わってくる。

「…欲しい…もっと、棗の大きくて固いので…気持ち良くなりたい…。」

「椿…ッ…!」

棗は切なげに俺の名前を呼ぶと、俺の両脚を大きく開かせ濡れて淫らに収縮している秘部に自身を押し当てるとゆっくりと腰を押し進めていった。

「あぁっ!ひぁっ…!ん、ぁっ!あ……っ…!なつ、め…の…ッ…奥まで当たって…ッ…気持ち…ぁあっ…!んぁ…ッ!ひゃ、ぅッ…!あ……ッ!」

「つばき…ッ!あんまり煽るなよ…出そうになるだろ…!…椿も限界…?もう、中がすごい勢いで収縮してるけど?」

耳元で低めの声で訊かれると、俺は我慢できずに自身から熱い欲を放ち棗の胸に擦り寄るように抱き付いた。

その数秒後、棗も身体をブルッと震わせ俺の中に欲の証を放つと俺の身体を力いっぱい抱きしめてくれた。


棗の温もりは、俺の心を幸せでいっぱいにしてくれる

もっと棗の愛を感じたくて、もっと棗に近付きたくて

棗と離れたくなくて、棗を失うのが怖くて

きっと、棗も同じ事を考えているんだよね?

棗が不安にならないように、何度だって棗に言うから

…好きだよって…。

「好きだよ、棗…。」

「…俺も椿が好きだ…。」

そう言ってふわりと微笑む棗に、俺の心臓はトクンと脈打った。

俺はこの笑顔に、これから先もずっとずっと…恋をしていくんだろう――。

君が笑うなら俺は何だってする
(君から離れること以外なら、何だってできる気がするんだ)

end.



復帰作第一弾は棗椿で女装ネタでした。
ご心配をおかけしましたが、スローペースではありますが更新再開したいと思っております…温かく見守って頂けると嬉しいです。

素敵なお題は秋桜様よりお借り致しました。ありがとうございました。



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