棗×椿 R18


その瞳に映るのが、俺だけじゃないなんて事はとっくの昔に気付いているよ

椿の何もかもが梓だけに向いているという事だって、俺はちゃんと知っているよ

椿を好きになればなる程、椿は梓の事が本当に好きなんだと思い知らされる

その度に、心が壊れてしまうんじゃないかと思うくらい辛くなる

それでもまだ、俺は椿への想いを断ち切る事ができないんだ

椿の事が好きで、好きで、気付いたら俺の心の中には…椿しか映らなくなっていたんだ――。




ある日の夜…―。

「なつめー!会いに来てやったよー…って…棗?そんな所で蹲って、どーしたんだよー…?」

玄関先で蹲っていた俺のところに、椿が訪ねてきた。

心配そうに俺の顔を覗き込んでくる椿に、俺は目を瞬かせる。

「…椿…どうしたんだ、急に訪ねて来たりして…。今日は梓は一緒じゃないのか?」

「は?おまえ、何言っちゃってんのー?棗が電話してきたんだろ!"仕事終わったら一人で俺の家に来てくれないか"って涙声で!」

椿は俺のモノマネをしながら呆れた顔で話すと、俺の頭をぽんぽんと撫でた。

「…ああ、そういえばそうだったな…。悪い。まさか本当に来てくれると思ってなかったから…信じられなくて…。」

「来るに決まってんだろー?かーいい弟の頼みだもん。で?俺と二人きりで、一体何の用…わっ!」

椿の唇から出た"弟"という言葉に、俺の心は容赦なく痛んだ。

俺は椿の腕を掴み自分の胸へと引き寄せると、その綺麗な髪に唇を寄せた。

「…今日だけは…弟扱いするの、やめてくれないか。」

「なつ、め…?何言って…んっ…!ん、んん…っ…!」

俺は椿の身体を離すと、戸惑う椿の頬を両手で挟みその薄い桜色の唇を塞いだ。

固く閉じた唇を指で抉じ開け無理やり舌を滑り込ませると、椿は俺の舌を思いきり噛んだ。

「っ……椿…。」

「いきなり何すんだよ…!棗のバカッ!」

「ごめん…けど、これで解っただろ?俺は椿が好きなんだ。解ったら…今日はもう帰れよ。」

「…何だよ、それ…。せっかく棗のために来たのに…もう俺は必要ないみたいな顔して…強がってんじゃねーよ…っ…!」

突然泣きながら抱き付いてくる椿に、俺は戸惑いながらも椿の背中に腕を廻した。

「椿…こんな風に抱き付いたりして…どうしたんだよ?俺の事なんて少しも好きじゃないくせに…。期待持たせるような事するなよ…。」

「…好きじゃないなんて、一度だって言った事ないじゃんか!勝手に決め付けんなよ…。」

「…もしかして、椿も俺の事が好きだったりするのか?」

涙で濡れた椿の頬を優しく撫でながら問い掛けると、椿は頬を微かに赤く染めながら俯く。

「……今までは気付かなかったけど…棗に拒絶されて、傷ついてるって事は…多分そうなんだと思う…。」

「もう少し解りやすいように言ってくれないか?椿…。」

「……棗が、好きだよ…。」

「…もっと大きな声で。」

「っ…棗が好き!大好き…!」

「椿…!俺も…俺も椿が大好きだよ…。」

瞳を潤ませながら微笑む椿が愛おしくて、俺は椿を抱き抱えベッドまで運んだ。




俺は椿をベッドに寝かせると、椿の身に纏っている衣服を一枚ずつ剥いでいく。

赤く尖った乳首に舌を這わせながら乳輪を指先で撫でるように弄ると、椿は身体をビクビクと震わせ甘い声を上げた。

初めて触れる椿の滑らかな肌に、俺の身体は一気に熱を帯びていく。

「んぁ…っ…は、ぁっ…や、ん…っ…なつ、め…電気…消さないの…?」

両脚を固く閉じながら恥ずかしそうに問い掛けてくる椿の耳朶を舐めると、俺は低めの声で囁いた。

「…このままでいい。点けたままの方が、椿の可愛いところがよく見える…。」

「…しょうがないなー…今夜だけは、特別に棗に主導権握らせてやるよ。感謝しろよな…。」

「…椿…照れてるだろ?顔が真っ赤になってるぞ?」

「なっ!違う!照れてなんか……ん、ん…っ…ん、ふ…ぅ、ん…ふ…っ…。」

少し不満気な椿の頬を優しく撫でると、俺は椿の唇を塞いだ。

唇の隙間から椿の咥内に舌を滑り込ませると、苦しそうに眉を寄せ唇から甘い声を漏らしながら必死で絡め返してくる椿に俺はたまらなく欲情した。

「…椿、キスだけで感じてんのか?ここ…固くなってるぞ?」

反応し始めている椿の欲の塊に指を這わせながら問い掛けると、椿は熱を帯びた瞳で俺を見つめ小さな声で呟いた。

「…興奮するに決まってんじゃん…。大好きな棗に…全部見られてるんだから…。なあ…焦らしてないで…もっと、俺に触れて…?」

「…椿がこんなにエロイなんて、知らなかったな…。すげえ…そそられるよ…。」

頬を赤らめながら濡れた瞳で甘えるようにねだる椿が愛おしくて、俺はそっと椿の欲の塊に触れた。

そのまま形を確かめるように握ると、腰をビクつかせ唇から甘い声を漏らす椿に俺の興奮は膨れ上がっていく。

「んぁっ…!ひ、ぁ…あっ…!なつ、め…ッ…ん、ぁっ…ふぁっ…あ……ッ…!」

「椿の感じてる顔…すげえ可愛い…こんなにエッチな滴垂らして…そんなに俺に触って欲しかったのか?」

「やっ…そんな、こと…訊かないで…っ…恥ずかしくておかしくなっちゃうよ…ッ…。」

耳まで真っ赤に染まった椿の頬に指先で触れると、少し不思議そうな顔をしながらも幸せそうに微笑む椿に俺の胸は椿への愛しさで溢れ返っていく。

「椿の可愛い口から聴きたいんだよ…それとも、椿は俺に触れて欲しくないのか?」

切なげな表情で椿を見つめると、恥ずかしそうにしながらもおずおずと両脚を開く椿に俺の興奮は高まっていく。

椿は儚げな表情で自らの欲の塊に指を這わせると、か細い声で甘えるようにねだった。

「…俺の、熱くて固くなってるコレ…触って、扱いて、舐めて…気持ち良く、して…?」

「…椿が俺を求めてくれてるなんて…夢みたいだな…。恥ずかしいのを我慢してる椿の表情…すげえイイ…。」

恥ずかしそうに眉間に皺を寄せる椿の頬をツツ、となぞると、椿は瞼を震わせ吐息交じりに呟いた。

「…意地悪すんなよ…棗のくせに…。なあ…これ以上焦らさないで…?俺、もう我慢できない………棗が欲しいよ…っ…。」

濡れた瞳でねだられると、俺は椿の欲の塊にそっと両手を添えた。

全体を上下に擦り上げながら亀頭を口に含み卑猥な水音を立てながら舐めていくと、俺の咥内でどんどん膨らんでいく椿の欲の塊に俺は堪らなく興奮した。

「…椿の…俺の口の中でどんどん大きくなっていくな。こっちももうこんなにヒクヒク収縮して…本当に椿はエッチな身体してるんだな…。」

俺は椿自身を口に含みながら、椿の濡れて淫らに蠢いている秘部に右手で触れた。

「ひぁっ!やっ、そんな…恥ずかし…っ…んぁ…っ…あ、ぁ…っ…も、だめ…出ちゃ、う…ん、ぁっ…あ…っ…ひぁぁぁっ…――ッ!」

窪みの周りを指でなぞり中に指を滑り込ませると、椿は身体を大きく跳ねさせ俺の咥内に熱い欲を迸らせた。

「ん…っ…椿、いっぱい出したな。…椿?」

椿自身から口を離し椿を見つめると、椿は熱を含んだ視線を俺自身に向けゆっくりと口を開いた。

「…なあ…棗…?俺も…棗の舐めたい…。」

「…椿…。それは構わないが…俺、もうかなり興奮してるからすぐイクかもしれないぞ?」

「別にいーよ…?棗の精液飲みたいし…。それに、まだ時間はたっぷりあるんだから、ゆっくり何回も気持ち良くなろーよ…?ね?」

椿は優しい口調で言うと、俺の熱く昂ぶった欲の塊を両手で包み込み裏筋に舌を這わせた。

全体を扱き上げながら口を窄めて亀頭を舌と唇で刺激してくる椿に、俺の興奮は急激に高まっていく。

「…椿っ…!悪い…もう我慢できない…椿の中に入らせてくれ…!」

「えっ…ちょ、棗…待って…!あぁ…っ!ひぁっ!んぁっ…!あっ…ひゃうっ!ん、ぁっ…あっ…!なつ、め…!」

俺は椿の咥内から強引に自身を引き抜くと、椿の身体をぐるっと回転させ椿の濡れてヒクヒクと収縮している秘部に自身を宛がいゆっくりと捩り込んでいった。

最奥を突く度に椿の中が少しだけ締まる感覚が堪らなく気持ち良くて、俺の胸の中は椿でいっぱいになっていく。

「椿…つば、き…!俺…ずっと、おまえとこうしたかった…椿の全部に…触れたくて、仕方なかった…椿の事が好きで、好きで…ずっと苦しかったよ…ッ…。」

もっと椿に触れたくて、俺は腕を伸ばし椿の乳首をキュッと摘んだ。

「ひぁっ!やっ…なつ、め…!そんなっ…二ヶ所同時なん、て…っ…反則だろ…!んぁぁっ…!ふぁっ…!あ、んぁ…っ…っ…んぁぁっ…――ッ!」

乳首を弄りながら最奥を激しく突き上げると、椿は身体をビクンビクンと跳ねさせながら自身から半透明な滴を放ち俺の胸にしがみつくように抱き付いた。

椿の後を追いかけるように、俺も椿の中に熱い欲の証を注ぎ込むと俺より少し華奢な椿の身体を強く抱き締めその白銀の髪に優しくキスを落とした。



「なあ…棗?俺が気付かなかったら…棗はずっと俺に片想いしてるつもりで居たの?」

行為の後、俺の胸に頬を寄せながら問い掛けてくる椿に俺は穏やかな口調で答えた。

「…ああ。そのつもりだった。椿が振り向いてくれるなんて事、ありえないと思っていたからな…。」

「…昔はそうだったかもしんないけど…でも、今はもう違うだろー?俺はもう…棗しか見えないんだから…。」

「…そうだな。もう一度、好きって言ってくれたら信じてやってもいいかな。」

頬を赤らめ唇を尖らせながら俺の身体にぎゅうと抱き付いてくる椿が愛おしくて、俺は少し椿に甘えてみたくなった。

椿は一瞬切なげな表情をした後、触れるだけの優しいキスを俺に与えてくれた。

「…棗が好きだよ。大好きだよ…だから…ずっと、棗の傍に居る。今まで苦しめた分…これからはずっと棗の事だけを愛して生きていく…。」

椿の紡ぐ言葉の一つ一つが、俺の胸の奥に深く沁み渡っていく。

俺は椿の頬に手を添えると、その薄い桜色の唇を奪った。

絡み合う舌の温もりが愛おしくて、このまま椿をこの部屋から帰したくないと…俺は本気でそう思った。


ほんの数時間前までは、苦しいだけの恋でも構わないと思っていたのに

気付いたらこんなにも近くに椿が居て、俺だけに微笑みかけてくれている

椿の触れているところが熱くて、涙が出そうになる

これからは、苦しいだけの恋じゃなくなるのかな

愛しくて、切なくて、温かくて、幸せで、恋しくて、優しくて、嬉しくて…

そんな恋愛を、これから椿としていくんだろうか

そう考えたら、何だかすごく幸せな気持ちが胸の中に溢れていくのが解り、俺はそっと椿を抱き締め耳元で囁いた。

「椿…愛してるよ…。もう放さない…。」

「…俺も…棗を愛してる…。ずっと一緒だよ…。」

きっと、幸せな恋になると信じている

だって、俺はもう独りぼっちじゃない

世界で一番大好きな、椿が傍に居るんだから…

今はただ、このまま椿の手を握りながら眠ろう

この幸せが永遠に続くように、繋いだ手にそっと願いを込めて…――。

苦しいだけの恋にさよならをして
(君と二人ならきっと、どんな苦しい事も幸せに変えていけるような気がしているから)

end.


今回は棗椿を書かせて頂きました!
なかなか上手く進んでくれなくてヤキモキしましたが、書いてて楽しかったです。
この二人は陰でこっそりイチャコラしてるのが理想です。
人前では絶対にイチャつかないけど、二人きりになると熱く激しく愛し合う。
それが私の中の理想の棗椿ですね(笑)私の理想はどうでもいいですね。すみません。
読んで頂きありがとうございました。皆さんに少しでも気に入って頂けたら、嬉しいです。



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