手作り弁当

※現代パロディ(会社パロ)

「aaa、社長が来いって言ったんだってね」
同僚が悪い笑みを浮かべてaaaに言った。
ざまあみろとでも思っているんだろうかと考えながら、aaaは同僚を一瞥した。
なぜか同僚は、いやこのフロアの人たちはaaaを良く思っていないような気がする。
「がんばって」
同僚は手を振ってどこかに行った。
aaaは溜息を吐いて社長室に向かった。

「社長、aaaです」
aaaは扉をノックすると、社長の応答ののち、社長室に入った。
「やあ、aaa、久しぶり。会いたかった…◆」
社長のヒソカは両手を広げてaaaに微笑んだ。
「一昨日ぶりですけど…」
aaaは一直線にヒソカへと歩いた。
「aaaとは毎日会いたいくらいなんだ。…っと」
aaaはヒソカに勢い良く抱き着いた。
「…何か、あったのかい?」
「ないよ…なんにも…」
ヒソカの問いに、aaaは首を横に振った。
aaaの頭の中で同僚の笑みが浮かんで、aaaはぎゅっと目をつむった。
ヒソカはそれ以上は聞かず、優しくaaaの頭を撫でるだけだった。

大企業の社長の後継ぎとして生まれたヒソカとは昔から仲が良く、aaaがヒソカと恋人になったのは随分と前の話だ。
社長に就任したヒソカを追って、というわけではなくその企業の活動が合っていたからという理由でaaaはヒソカと同じ会社に就職したのだけれど、ヒソカとaaaはまだ会社員たちに関係を明かしておらず、半端に仲の良い関係のせいで枕営業をしたと噂されたこともあった。
aaaには実力があったから信じる者は少なかったけれど、それでも信じる人は信じているようだ。
同僚もしかり。

aaaは頭を整理してから、背の高いヒソカを見上げた。
「ヒソカ、何か用だった?」
「ん?、aaaに会いたかっただけ◆ なんてね。もう昼だろ?、ご飯食べに行こう」
ヒソカが金の装飾が施された時計を見ると、短針は12を、長針は2を指していた。
「aaa、キミ、ラーメンが好きだろう。おいしいって噂のラーメン屋が近くにあるんだ」
ヒソカはaaaに笑いかけた。
「ごめん、ヒソカ。私弁当持ってきてるんだよね…」
aaaはヒソカに悪いと感じながら、気まずく言った。
aaaがちらりとヒソカを見ると、ヒソカは予想以上にショックな顔をしていた。
「うそ…」
ヒソカは小さく呟いた。
「ご、ごめんね…」
「aaaが手作り弁当作ってるなんて知らない!!ボクには!?」
ヒソカは叫びながらaaaの肩をがっしりと掴んだ。
「え。ないですけど…」
「なんで!?、ボクもaaaの手作り弁当食べたい!」
「無茶言わないでよ」
ヒソカの子供のような懇願にaaaがツッこんだ。
「じゃあもう仕事しない」
ヒソカはそのへんにあったソファの隅で体育座りをした。
「なっ、子供か!、仕方ないなぁ……じゃあ私の弁当あげるよ」
社長が仕事をしないのは困る。
いじけるヒソカにaaaが溜息を吐きながら言った。
「本当かい?、…でもそれじゃあキミは…」
「食堂行ってきます」
aaaは踵を返し、ヒソカに背を向けた。
「それじゃあ意味ないじゃないか。ボクはaaaとご飯が食べたいのに!」
ヒソカはaaaを抱きしめると、腕の力を強めた。
「じゃあどうするの?」
aaaは首だけで振り返り、ヒソカを見た。
「…今から秘書にコンビニで買ってこさせるから、aaaは弁当持っておいで」
ヒソカはaaaの耳にキスをした。
aaaの肩がびくっと跳ねた。
「秘書に何させてんの…」
「コンビニにパシリ」
「社長の言葉とは思えないね!」
aaaは、ふっと吹き出して笑うと、ヒソカの腕を離して社長室を出ていった。

「…コンビニでご飯買ってきて」
ヒソカは秘書にそう言うと、ソファに座ってaaaが来るのを待った。


〇おまけ
「明日からボクにも作ってね◆」
「仕方ないなぁー」
「それかボクと一緒にご飯食べに行こう◆」
「ヒソカのオゴリだったらいいよ」
「ん…いいよ◆」

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