このページは全てゲンマ夢です
※現代パロディ、忍者もの共にあります


41 【壬生忠見】
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか

「……は!?」
「だーかーらー、変な噂たってるわよ」
aaaはびっくりした。
まだ想い始めて間もないというのに、私が恋をしている、という噂が立っているらしい。
せめて、想い相手のゲンマさんにこの噂を聞かれないよう願うしかない。


42 【清原元輔】
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 浪こさじとは

「なんでだよ」
「仕方ないじゃない……あなたが忍である限り、わたしはあなたの死に怯えて暮らすしかないの………そんなのは嫌よ……」
「……約束はどうした」
ポケットに入れていた指輪を取り出した。
それと同じものが、aaaの指に嵌めてあった。
「辛いの、お願い……わたしを解放して」
ぽろりと涙が自然と流れた。
「……aaa、」
「愛してたのよ」
たがいに袖をしぼって、末の松山を波が越すことがないように、心変わりはしない筈だったのだけれど。


43 【権中納言敦忠】
逢ひみての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり

「おかしい……」
「何が」
「いや」
曖昧な会話。
ゲンマは顎に手をあて、考えている。
「……ねぇ、何が」
「なんもねぇ」
「うそ!」
ゲンマはこんな会話さえ愛おしいと感じた。
しかしそう思うことは昔付き合った女達とはなかった。
俺は、恋を想ったことがなかったかもしれない。
「つまり……」
「ゲンマって時々意味わかんない。でもそんなとこも好き」
aaaはちゅ、とゲンマの頬にキスをした。
ゲンマはaaaの頬を口端を上げながら撫でた。
「好きだ」


44 【中納言朝忠】
逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし

「……もう嫌」
「大丈夫?……じゃないわよね」
紅の言葉に、そうよと答え、aaaは涙を目に溜めた。
その視線の先には男女が公衆の面前であることも構わずに絡み合い、キスを求めあっている。
本当は私もそんなことをしてみたいのに、ゲンマは逢ってくれないのである。
それは私が悪いのか、それとも何か事情があるのか。
何があるにしても、aaaには堪えられなかった。
ゲンマと私自身の不遇を恨むほかがなかった。
この世の中から男女が逢うということがなくなれば、こんな思いをしなくて済むのに。


45 【謙徳公】
あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな

辛いこと。
「忍なら遺書は書いておくべきよ」
そう友人に言われ、遺書を書いてみたが、中々進まなかった。
残す言葉も物もない。
読む人もいないだろうし、死んで悲しむ人さえ思い浮かばない。
本当に悲しんで欲しい人はいるのだけれど。
私は想いを伝えられず死んでいくだけ。


46 【曽禰好忠】
由来のとを 渡る舟人 かぢをたえ 行くへも知らぬ 恋の道かな

ゆらゆら。
あっちに行ったり、こっちに行ったり。
舟人が櫂を失ったみたいに行方が定まらない。
「んん、ゲンマ、さ」
激しいキスに呼吸が出来なくなる。
しかしそんなことも気にせずゲンマと舌を絡め合わせる。
「不安なんです」
そう言った、ら、こうなった。
「好きだ、aaa」
瞳と瞳を交わす。
不安が途切れ、幸せに変わる。
恋は複雑。誰がどうなるかわからない。
行方定まらぬ恋の道。


47 【恵慶法師】
八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり

ゲンマはゆっくりと歩いていた。
任務の帰りだった。
さくさく、と枯れ葉を踏み締めながら、木と木の間を歩いていく。
ふと、舗装された道の先に宿が見えた。
そこは雑草が生い茂り、人の気配もないようなさびしいところだった。
ゲンマはその宿に入り、一夜を過ごすことにした。


48 【源重之】
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな

「恋って、すごく辛いものなんです。私は恋が怖いのです」
泣いてしまいそうな声でそう紡ぐaaaは、ゆっくりとゲンマの裾を掴んだ。
「……ここのあたりが、まるで、」
岩を打つ波が激しく体を砕くように、痛くて苦しい。
ゲンマの手を握り、己の胸の辺りへともっていった。
「……」
ゲンマは無言で、その胸の辺りを撫でた。
aaaがぽろぽろと自然に涙を流していることに気がつき、その涙を拭ってやった。
「ゲンマさ……好き、です」
苦しいほどに。
「知ってる」
ゲンマはaaaを抱きしめた。


49 【大中臣能宣朝臣】
みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ

夜は燃えて、昼は燻る。
それはまるで恋みたいに。
「そうだと思わない?」
「?」
わけがわからなそうにクエスチョンマークを頭に浮かべたゲンマに微笑んで、aaaは歩き出した。
「まだ、知らなくていいの」
ゲンマはaaaの後を追った。


50 【藤原義孝】
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな

「あなたに逢えるなら、その後どうなろうがどうなってもよかったんだけどね」
ゲンマに跨がり、覆いかぶさるような体勢だ。
しかしaaaはさも気にしない様子で喋り続ける。
「ゲンマ、あなたに逢った後は」
ゲンマは片手をaaaの背中に手を回し、もう片方の手でaaaの髪を梳いていた。
「もっと生きたいと思うようになったの」
欲張りでしょ、と笑うaaaにゲンマはいや、と言う。
「同じだ。俺もaaaに逢って、生きることが第一になった」
自分の忍道、木の葉を守り忍びとして生き、死ぬことを貫き通すことより、俺は。
「aaaと一緒にいたい」
二人とも、真っ直ぐな瞳だった。
黒い瞳はaaaを見つめて離さない。
「………うん」
そっと顔を近づけ、キスを交わした。


※地名はそのまま使っています。


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